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2018.10.18

公取委 プラットフォーマー調査か、問題意識も「何も決まってない」

 アマゾンやグーグルなど巨大IT企業による寡占化が進む中、公正取引委員会がこれら巨大IT企業の実態調査に乗り出す可能性が出てきた。公取委は、これに「具体的なことは何も決まっていない」(経済取引局)とする。ただ、「確かにそういう業種(プラットフォーマー)に対する問題意識は持っている」(同)とも話す。一部報道によると、調査は年明け。公取委の狙いは現段階で不明だが、調査内容によっては競争環境に影響を及ぼす可能性がある。
 
 一部報道では、任意の調査を前提とするものの、巨大IT企業は取引先と秘密保持契約を結んでいることがあり、強制的に内容を開示させることができる独禁法第40条に基づく強制調査も視野に入れているという。
 
 通常、経済取引局が行う実態調査は、特定の業種、業態の取引慣行に注意を促したり、実態を把握する目的で行われる。任意調査で行うのが通例で、条文に定めのある第40条を使うには、より明確に独禁法上の疑いがあるなど狙いを絞る必要がある。
 
 最近では、2016年、液化天然ガス(LNG)の取引慣行や契約条件の実態調査で約40年ぶりに適用した。この時も、不透明な取引慣行の実態がありながら、守秘義務から実態が把握しにくく、第40条に基づく強制調査で明らかにした。供給者が需要者に第三者への転売を制限する「仕向け地制限」(受け取り場所を指定することで結果的に転売できないようにする条項)などの契約を把握する狙いがあった。
 
 ただ、今回、まだ公取委の具体的狙いは見えてこない。「単にプラットフォーマーの契約実態に関心があるから、というのでは適用できない。企業の反発も招く。これまで40年使われてこなかったのも任意で十分で必要なかったということもある」と話す元公取関係者もいる。
 
 今年3月、公取委は、アマゾンジャパンに独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いがあるとして立ち入り検査を実施。現在も審査が続いている。巨大IT企業による寡占化に高い関心を持っていることは間違いないが、審査を担当するのは審査局。実態調査などを担う経済取引局と所管も異なり、実態調査を実際の立入検査につなげたケースもないとみられ、関連性は低い。今後、公取委が何に狙いを定め実態調査に乗り出すか、注視する必要がありそうだ。
 
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