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2018.08.02
楽天の「楽天市場」 「文字多い画像」禁止に、違反点数制度の対象、ユーザーの変化に対応
楽天の仮想モール「楽天市場」では、モール内で販売する商品画像のガイドラインを必須化する。ガイドラインは商品の第1画像(検索結果に出てくる商品画像)を対象としたもので、商品画像に書き込むテキスト要素を減らすことなどを求めている。ガイドラインは今年1月に新設したもので、これまでは守らなくてもペナルティーはなかったが、10月以降はルール違反を犯した際に点数を付与し、累積点数によって罰則を課す「違反点数制度」の対象とする。
10月以降、商品画像に書き込むテキスト要素について、画像面積のうち21%以上にすることを禁止。さらに「黄色い枠で囲んで画像目立たせる」といった手法を使う店舗もあるが、枠線を利用することを禁止する。他にも、商品画像の背景に幾何学模様やデジタルパターン、目立たせるために奇抜な色の背景色を使うことを禁止。商品画像の背景は、写真背景か単色白背景のみが認められる。「商品が探しにくい」というユーザーからの声に対応したものだ。
楽天市場における商品画像はテキストを書き込んでいることが多く、具体的には商品の特徴を入れたり、「送料無料」や価格、ポイント増量、「ランキング◯位」など、さまざまな宣伝文句を強調したりしているものもみられる。上記画像は楽天市場において「エアコン」で検索した際のものだが、文字が入った商品画像が多いことが分かる。これは、モール内検索からの誘導を狙ったもので、こうした手法はこれまで、ECコンサルタントなど、楽天が推奨していた経緯がある。
ただ、楽天によれば、近年はユーザー動向に変化がみられ、テキストを書き込んだ画像と、何も書き込みがない画像を比較した場合、ユーザーは後者を選ぶ傾向が強いという。今年1月の本紙取材に対し、同社の野原彰人執行役員は「店舗には『いかにユーザーの目を引くか』という視点で『こうやると売れますよ』と教えてきたが、トレンドにあわなくなってきている。『この商品を買った』などと、そのままインスタグラムに投稿できるような画像にした方が売り上げは伸びる」と方針転換の理由を説明していた。
今年1月にガイドラインを新設したものの、「あくまで推奨とのことなので対応していなかった」という店舗の声があるように、画像を変えない店舗が多かったことから、禁止に踏み切ったものとみられる。違反点数制度に関しては、違反した際の点数は未定。年内は猶予期間として、来年1月から加点対象とする。ただ、店舗からは「多数のアイテムを扱っており、対応期間としては短い」、「新たな撮影に時間とコストがかかるし、画像編集ができるスタッフが手一杯になる」といった声が挙がっている。
ガイドラインを必須化することについては「店舗独自の見せ方を出せるところが楽天市場の良いところだったので残念」、「楽天らしさが薄れてきた」といった声のほかにも、「型番商品は競合他社との差別化が難しくなるし、機能系商品はどのような機能があるか、ユーザーの判断が困難になる」、「結局同じような画像が並ぶわけで、ユーザーからみて選びやすさや買いやすさが向上するとは思えない」など、自店の売り上げへの影響を懸念する声も出ている。
楽天では必須化の理由について「これまでの調査やA/Bテストなどからも、新しい画像スタイルは、よりユーザーに受け入れやすいという結果が出ている」(コマースカンパニーEC広報課)と説明。その上で、作業負担を軽減する仕組みとして「画像が問題ないかどうかを判定できるツールや、画像加工の関連サービス紹介など、各種サポートも用意していく」という。来年1月以降は違反点数制度の加点対象となるが、実際の運用については「個別の状況を鑑みながら、柔軟に対応したい」としている。