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2018.07.05

【田中恵次社長に聞く ショップチャンネルの現状と今後㊦】 大人の女性の認知アップに注力、今期の業績も「前年以上へ」

 

 前号に引き続き、通販専門放送を行うジュピターショップチャンネル(JSC)に前期の振り返りと今期の方向性について聞いた。
 
                                    ◇
 
 ――目先の売り上げだけを追うのではなく、先を見据えて数年後のエース商品を育成する取り組みを積極的に行っていきたいというのも前期(2018年3月)の方針の1つだったと思うが、未来のエース商品の育成の進捗はどうか。
 
 「積極的に進めてきた。前期から販売を始めた新商品数は前の期の約2割増しだ。もちろん、その中で期待通りのもの、そうではなかったものはあったわけだが、未来のエース商品となる種まきは臆せずにどんどんやっていかなければいけないと思っている。エース商品の育成についても進めてきた。例えば昨年5月に実施した特別編成のセール特番『夏いち!』で『オールニューショップスターバリュー(SSV)』を行った。これまで『SSV』(特におすすめ商品を紹介する特別枠)では紹介したことのないSSV初登場商品ばかりを集めた企画だ。非常にインパクトのある企画でお客様にも喜んでいただけた。このほかにも毎年11月1日に実施する年間最大規模の大型特番『心おどる、大創業祭』でも例年はそれこそ超エース級の売れ筋商品のみを集めて紹介してきたが少しその形を変えた。前期は11月1日だけでなく、1~2日の2日間、『大創業祭』を実施したのだが、2日目には、当社での人気と一般市場での人気を併せ持った"超エース予備軍"や"準エース"の商品ばかりを集めた企画を行ったが非常に手ごたえを感じた。お客様から高い支持を頂いている今の超エース商品は一朝一夕でできたわけではなく、皆が大切に育てた結果であり今後もより積極的に将来の超エース商品を育てるための試みは積極的にやっていきたい」
 
 ――ちなみに『大創業祭』の全体の結果はどうだったのか。
 
 「売上高で言えば2日間トータルで約43億円だった。20周年の記念で様々な試みを実施した前の期の大創業祭はある種、特別でそれには及ばなかったが、当初の見込みは上回ることができ、手ごたえを感じている。商品の力はもちろん、放送に合わせて事前に『今年はダブル』と大創業祭のCMなどを積極的に放送したりなどの試みも奏功したと思う」
 
 ――3月には番組で販売したテレビや冷凍カニの表示が景品表示法に違反するとして消費者庁から措置命令を受けた。業績への影響は。
 
 「業績の面で言えば、明確な影響は出ていない。ただ、お客様からの叱咤激励は頂いた。当社は当社のファンであるお客様に支えられている会社だ。皆様の期待を損なわないよう、そういう指摘は今後、受けることがないように再発防止策をしっかりと立てて取り組んでいる。これまでもしっかりとやってきたつもりだが、今回の消費者庁からの不十分であるというご指摘を踏まえ、お客様に誤認を与えないようこれまで以上にしっかりとやっていきたい」
 
 ――前期は増収増益と好調に着地したが、今期(2019年3月)の業績の見通しは。
 
 「特に公表していないが売上高、利益ともに前期以上にはしたい」
 
 ――12月1日からは「新4K8K衛星放送」がスタートし、ショップチャンネルも4Kで通販番組の放送を始める。
 
 「商品、番組がより美しくお客様にお届けできる素晴らしい機会で非常に楽しみにしている。投資はかさむが将来も見据えてしっかりやっていきたい」
 
 ――投資とは。
 
 「12月1日の4K放送開始時点では現行放送を画像処理して4K画質にアップコンバートする形で放送するが、そのための設備の導入などだ。なお、2021年3月までに必要な放送機材や設備をすべて整え、アップコンバートではない4K映像である『ピュア4K』で放送を始める予定で、それに向けて設備の検討などを進めていきたい」
 
 ――現状の課題は。
 
 「もともと中心のお客様である "大人の女性"にぜひもっと当社を知って頂き、ファンになって頂きたいと考えている。つまり、当該層への認知アップが課題だ。30代後半から40代前半といった"次のお客様"になり得る若い年代の獲得も重要だが、優先順位としてまずは既存のコアターゲット層をもっと深掘りしていくべきだろう。我々は様々な調査を行っているが、他の通販事業者との比較でみてもまだまだ認知度が低い。もっと知って頂ければ、まだまだお客様になって頂ける方は多いと考えている。そのため、今期から新しいお客様への認知拡大施策の際などに打ち出すコミュニケーションワードを『大人の女性に選ばれてNo〓1』とした。これまでは『我々はテレビ通販のナンバーワンの企業です。信頼してお買いものをしてください』と訴求してきたが、何もテレビ通販と限定する必要はない。そうするとテレビ通販自体に関心がない方はそれで興味を失ってしまうかもしれないからだ。我々のビジネスはテレビ通販がコアだが、強みの本質は売り方ではなく、我々が厳選したほかでは買えない"商品"だ。洗練された選択眼の高い大人の女性の方にぜひとも当社の商品の品ぞろえや価値を認めて頂きたく思っている」
 
 ――"大人の女性"への認知拡大策とは具体的には何をするのか。以前はテレビCMを放送したこともあったが。
 
 「マス広告を打つというよりはターゲットに確実にリーチできる方法で訴求していきたい。そのため、料理研究家の大原千鶴さん、バレリーナの吉田都さん、盆栽家の山田香織さん、イラストレーターの石川三千花さんというその道の達人であり、人生を豊かに自分らしく楽しむ『目利き力』を持った"大人の女性"である4人の方にご協力頂き、我々のコーポレートアイデンティティを表現する映像やフリーペーパーを作成した。映像はCMとして自局を中心に放送を始めている。今後は例えばターゲットとしている層がお住まいになる沿線でのデジタルサイネージも検討している。また、『めききの扉』と題したフリーペーパーを4月に創刊して関東圏で新聞折り込みで配布したりしている。なお、創刊号では大原さんへのインタビュー記事や当社のバイヤー、キャスト(司会者)らの記事、お客様によるおすすめ商品紹介と当社番組の視聴方法などを紹介している。このほかにも様々な施策を検討している。大人の女性により当社を知って頂くにはどうすべきかアナログ、デジタルの表面から色々な施策を検討し、実施してお客様基盤をより拡大していきたい」(おわり)
 
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