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2022.03.17
楽天 西友とのOMO戦略強化、ネットスーパー売上高1000億円へ
楽天グループと西友は3月10日、西友が運営する「西友」「リヴィン」「サニー」全店舗において、OMO戦略を4月から本格化すると発表した。楽天子会社の楽天ペイメントと楽天Edy、楽天カードも含めた5社が協業。西友店舗に楽天グループの「楽天ポイント」を導入するほか、ネットスーパーのアプリを店舗でも使えるようにする。両社では、共同運営するネットスーパーの売上高を、3年で倍増となる1000億円まで増やす計画だ(写真左から楽天の三木谷浩史社長と西友の大久保恒夫社長 )。
4月1日より、「楽天カード」としてはスーパーマーケット業界との初の取り組みとなる、クレジットカード機能付きオリジナルデザインカード「楽天カード 西友デザイン」を発行する。これにより、同カードに付帯する電子マネー「楽天Edy」も、西友などの全店舗で利用が可能となる。
4月26日には、「楽天西友ネットスーパー」アプリに店舗でも使える機能を追加し、「楽天西友アプリ」に刷新する。新アプリにおいては、楽天西友ネットスーパーと、共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」、スマートフォン決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」の各機能も盛り込み、ネットスーパーでも店舗でも使えるアプリとする。また、同日からは楽天ポイントカードが西友グループの全店舗で利用できるようにする。
両社では2018年から「楽天西友ネットスーパー」を共同運営しており、西友実店舗からの出荷と倉庫からの出荷のハイブリッド方式を採用。店舗出荷は124店舗で実施しており、多くの店舗で黒字化を達成したほか、近年は相次いで物流センターを新設している。21年の流通総額は前年比26%増の約500億円、このうち物流センターからの出荷は同79%増と急拡大。24年には流通総額1000億円を当初予定から、1年前倒しで達成する計画だ。楽天グループ執行役員兼楽天西友ネットスーパー代表取締役の小森紀昭氏は「食品の市場規模を考えると、あくまで1000億円は通過点と捉えており、もっと伸びるのではないか」とした。
OMO関連としては、すでに西友全店舗に「楽天ペイ(アプリ決済)」、来店でポイントがもらえる「楽天チェック」、レシート画像を送付するとポイントがもらえる「Rakuten Pasha」を導入している。今回の「楽天Edy」と「楽天ポイントカード」導入により、楽天の決済サービスがフルラインアップで揃うことになり、西友が「楽天経済圏」に入るかっこうだ。
プログラム開始を記念して、4月26日~5月8日までの期間中、店頭で「楽天ポイントカード」を提示すると通常より5倍の楽天ポイントを進呈するキャンペーンを開催。楽天カードや楽天Edyの利用で、楽天ポイントの進呈率がアップするキャンペーンも4月より順次する。5月以降も、楽天ポイントカードの提示で通常より2倍の楽天ポイントを進呈する「楽天ポイント2倍デー」を設ける予定。
3月10日の記者会見で、楽天の三木谷浩史社長は「日本の食品EC化率は3・3%で、国内市場全体の8・1%と比較してもかなり遅れている。ただ、コロナ禍もあり、食品のEC化は超拡大フェイズにある」と、ネットスーパー事業が成長産業であることを強調。「ネットスーパーもリアルのスーパーマーケットも、いかにオフラインマーケティングをやっていくか、いかにデータ活用をやっていくかが重要なポイントになっていく。日本にも本格的なOMO時代が到来した。ビッグデータを使い、AIをベースにした楽天のパーソナライゼーションサービスがオフラインでも実現する」と協業の意義を述べた。今後に関しては「人口減少時代という厳しい環境の中、スーパーマーケットは大きな転換点を迎えている。これをビジネスチャンスとして、世界に冠たるOMOプラットフォームを作り、他の中小スーパーマーケットでも使えるようにしていきたい」と展望を述べた。今後は地場のスーパーマーケットにもプラットフォームやノウハウを提供していきたい考えだ。