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2022.03.10

高島屋 ショールーミングストアに参入、高島屋新宿店に1号店開設、5年で10店舗を計画

 高島屋は3月4日、トランスコスモスとの合弁会社であるタカシマヤトランスコスモスインターナショナルコマース(TTIC)と共同でショールーミングストア事業を開始すると発表した。第1号店については4月下旬に高島屋新宿店2階にオープンする予定だ。将来的には国内外の高島屋店舗に加え、アセアンを中心に高島屋以外への店舗への出店も目指す考えで、5年後に10店舗の出店を計画する。

 ショールーミングストアにはD2Cブランドを中心に誘致する。店頭には展示品だけを置き、在庫は持たない。購入は専用のオンラインサイトを用意してEC購入を促す。参加するブランドからは出展料とECで売れた際に手数料を徴収するビジネスモデルとなる。

 今回、ブランド力やきめ細かな接客サービスを強みとする高島屋と、デジタルサービス、システム構築を得意とするトランスコスモス、さまざまなD2C企業との接点を持つTTICが組み、ショールーミング事業のスキームを構築した。

 百貨店ならではの接客サービス、ギフト機能を充実させた専用オンラインサイト、D2C企業を中心とした従来の百貨店にはない品ぞろえを三位一体となって実現することで、百貨店に馴染みのない消費者との接点を獲得するとともに、顧客に新しい価値を提案していくという。

 ショールーミング事業は、店頭では専属スタッフが展示商品の説明やオンラインサイトの利用方法などをアドバイスし、ユーザーニーズに合わせたショッピング体験をサポートする。また、店内には予約式のオンライン接客専用ブースを設置。来店できない消費者も店頭同様の接客が受けられるようにする(画像は店舗イメージ)。

 店内に設置したAIカメラからの取得データ、オンラインストアやSNSから得た閲覧データなどを組み合わせた定量分析に加え、専属販売員が接客を通じて得たユーザーの購買意欲や動機などの定性情報を出展企業に提供する。

 専用オンラインスサイトはTTICが運営するため、出展者は店頭用展示サンプルと販売用商品の手配など最小限の準備でさまざまなユーザーとの接点を持つことができる。

 ギフトに適した商品セレクトに加え、オンラインサイトで購入した商品はユーザーの要望に応じてギフト包装での配送が可能なほか、ソーシャルギフトにも対応し、SNSやメールなどを通じて住所を知らない相手にも手軽にギフトを贈ることが可能だ。

 ショールーミングストアの品ぞろえとしては、「食・グルメ」「ライフスタイル」「ビューティー」「日本アート&クラフト」「エシカル」など、それぞれのテーマに精通する5人の目利きキュレーターが商品の一部をセレクト。当該キュレーターが商品の価値や魅力などを独自の目線で発信することで、思いがけない商品との出会いを提供するという。

 4月下旬の高島屋新宿店を皮切りに国内外でショールーミングストアを出店するほか、同事業で得たD2C企業とのネットワークを、現在TTICで取り組んでいる越境EC事業に生かすことで、参画企業に対して海外販路を提供するとともにインバウンド需要を取り込み、さらなる事業成長を図る。

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