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2022.02.10

ユナイテッドアローズ 3月上旬に自社ECを刷新、最新システムで基本スペック向上、年率25%成長を計画

ユナイテッドアローズのECサイト

 ユナイテッドアローズ(UA)は3月上旬に自社通販サイト「ユナイテッドアローズ オンラインストア」をリニューアルオープンする。最新システムの採用で基本スペックを上げ、将来的なOMO施策の実現を担保する設計とした。また、自社物流センター内にフルフィルメント拠点を構え、各種サービスレベルの改善を通じた顧客体験価値の向上を図る考えで、サイト刷新後の自社EC売上高は年率25%成長を計画する。

 UAは2019年夏に実施した自社ECのシステムリプレイスに失敗し、2カ月以上にわたってサイト休止を余儀なくされた経験がある。そのため、今回のリプレイスでは時間をかけて導入テストを実施。「すでに新システムで稼働できる状況にあることは確認済みだ」(松崎善則社長)とし、3月上旬に新システムへ切り替えてリニューアルオープンすることになった。

 今回、最新のシステムを採用することでサイト表示速度の改善を図るなど、基本スペックを向上させる。検索ワードの入力を補助するサジェスト検索や検索条件の保存を含む検索機能の改善、カート投入から決済までのステップ短縮などでユーザビリティを高める。

 また、販売スタッフの個人アカウントで商品を紹介するショートブログを追加してスタッフコンテンツを拡充。実店舗の接客力をオンライン上で表現する。ユーザーレビューも追加し、買い物をサポートする。セキュリティレベルも高めてより安全に使用できるサイトとした。

 今回はスマホアプリも一新。従来は買い物機能に特化していたが、オンラインストアのニュースや特集、各種スタッフコンテンツなどが閲覧でき、コミュニケーション性を高めることでユーザーとの接触頻度を上げていく。

 スマホアプリでは商品下げ札に付いたバーコードを読み込むことで商品紹介ページを開くスキャン機能も追加。店頭で気になる商品があった際、スタッフに声がけしなくても商品詳細が確認でき、そのままお気に入りにも保存可能だ。

 自社ECの刷新に当たっては、オリジナルの梱包資材を使った店頭品質に近い包装で商品を届けるほか、物流センターの在庫を自社ECの在庫として引き当てられるようになり、最短配送に対応する商品が拡大するという。

 また、実店舗の在庫を確保してから来店し、試着してから購入したいというニーズが引き続き強いことから、前回のリプレイス失敗後から中断していた店頭試着予約サービスを再開する。

 EC購入品の受け取りも置き配サービスを注文時に選択できるほか、商品の返品についても手続きを簡便化し、自宅やコンビニ、宅配ロッカーなどユーザーの都合の良い場所からQRコードを使って送り状を書く手間なく返送できるようになるという。

フリー在庫活用機会ロスを低減

 自社ECのリニューアルに合わせて、同社ではフルフィルメント拠点を自社物流センター内に設置することで効率的な在庫運営につなげる。これまで、自社EC業務の委託先であるゾゾの倉庫に自社EC用と「ゾゾタウン」用の在庫をまとめて配分していたが、今後は自社物流センターのフリー在庫を自社ECに引き当てるため、在庫の奥行きが広がり、販売機会ロスの低下が見込まれる。

 今後、実店舗も絡めたOMO施策を計画するため、実店舗への在庫配分の適正化も含めた在庫の効率化を図る考え。

 コスト面では、SaaSサービスの活用で開発投資額を抑える。システム保守費用など一部コストの固定費化を図り、従来の変動費モデルから運営コストを抑える。自社ECの売り上げ、利益だけで初期投資を2~3年で回収できるという。

 なお、サイト刷新時は安定運用を第一とするため実店舗を含めたOMO施策まではカバーしておらず、今後も継続的に開発投資を行って実店舗のデジタル化も進めながらOMO施策に着手し、実店舗と自社ECをまたいだ買い物体験の課題解決につなげてLTVの向上を図る。

 

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