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2018.03.15
ロコンド 対ゾゾ同盟を今夏にも始動、競合モール間で在庫共有化、販促強化やロコンド店舗も
靴とファッションのネット販売を手がけるロコンドは、ファッションECの取扱高で第2位を目指すとともに、"対ゾゾタウン同盟"を今夏にもスタートさせるべく、競合ファッションECモールと在庫共有化をベースにした業務提携を進める。
ファッションEC市場ではスタートトゥデイの商品取扱高が2120億円(2017年3月期)と圧倒的で、2位グループの丸井やマガシーク、クルーズは200億円前後と大きく引き離されており、「第2位の企業がある程度のスケールを持つことは市場の健全化に必要なこと」(田中裕輔社長)とし、自力での事業規模拡大に加えてゾゾに対抗できるファッションEC同盟作りに向けて動いているという。
参画企業を狭めないよう、まずは業務提携の締結を目指す。その際、取引先ブランドは在庫の分散を嫌うため"在庫共有化"をキーワードに、ターゲット層が近いモールとの同盟を推進する。モール間で在庫共有することで、互いの品ぞろえを補完。購入者への商品発送は在庫を持つモールが行って横持ちの時間を省き、在庫連携であってもすぐに出荷できる体制を構築するという。また、商品撮影などの"ささげ業務"も各モールが行う現状の非効率を解消したい考え。
ロコンドでは競合モールと比べて弱いアパレルカテゴリーの強化が図れるメリットもあり、「数年後にはゾゾさんが販売しているブランドの7~8割をカバーできるイメージ」(田中社長)とし、同社では自力の成長と同盟の成果で当面は前期(18年2月期)見込みの取扱高100億円に対して300億円超を目指す。
同盟を広げていくためには、「自分が前面に出なくてもいい。ファッションEC業界の坂本龍馬になれれば」(田中社長)としている。
同時に、ロコンドは自力での事業拡大にも力を注ぐ。主力のEC事業では、得意の靴をキラーカテゴリーに、21日間返品無料サービスを通じた"自宅で試着できる通販"のコンセプトや、30代後半~50代前半という主要顧客層、アフォーダブル・ラグジュアリー(手が届く高級品)を競合との差別化ポイントに掲げ、ファッションECで第2位を目指す。
今期はプロモーションを強化する計画で、3月10日からタレントのデヴィ夫人を起用したテレビCMを関東・関西を中心に放映。4月からは全国にエリアを広げ、来年1月まで全11パターンのCMを年間1万GRP(延べ視聴率)の規模で投下し、自宅で試着できる通販の認知を高める。
また、オンライン広告の強化にも着手。今年3月は前年同月比で約4倍の費用を使ってウェブ集客を図る。
顧客接点拡充の観点では実店舗も活用する。昨年4月に事業継承したスペインのブランド「マンゴ」の原宿店を3月9日に「ロコンド トーキョー」として大幅刷新(画像)。通販サイト「ロコンド」のセレクトショップという位置づけで展開する。現状、アパレルは主に「マンゴ」の商品を展開しつつ、"アフォーダブル・ラグジュアリー"にふさわしいインポートブランドを販売する。
同店舗ではロコンドが開発した店舗欠品フォローシステム「ロコチョク」や店舗用POSレジシステム「ロコポス」などのプラットフォームサービスをフル活用し、EC・店舗間の在庫と情報の統合を通じてECを軸とする売り上げ拡大を図るとともに、在庫回転率や業務生産性など収益性向上も実現するEC企業ならではのオムニ戦略店舗を目指す。
また、集客力強化に合わせてオペレーションの増強にも着手。倉庫は入庫レーンをこの1カ月で従来の3~4倍に拡張し、1日当たり5万ピースを処理できるようにしたほか、スタジオの撮影レーンも増強した。倉庫の保管能力は、昨年4月と8月に倉庫を移転・増床し、約3万3000平方メートルの面積を持つが、第2倉庫の計画についても近く発表するという。
EC事業以外では、ブランドの自社EC・倉庫支援や店舗欠品フォローシステム、POSレジシステムなどのプラットフォーム事業を展開しているが、今後は基幹システムの提供も始め、取引先のオムニ戦略を高い費用対効果で実現できるようにしたい意向で、2月に業務提携したラオックスグループが導入する予定という。