ゴルフ用品のネット販売などを行うゴルフダイジェスト・オンラインでは、2017年12月期の連結業績が売上高、利益ともに2ケタ増で推移した。ECでの好調を支えたのは、女性向けアパレルでの新規需要開拓をはじめ、昨年6月より開始した新会員制度に基づく他サービスとの連携強化があり、集客につながる大きな効果があった。
前期のECを商品ジャンルで見ると、ゴルフクラブが横ばいだったものの、ウエア類は特に女性向けが伸長した。男性以上にコーディネートに気を配る女性のニーズをくみ取り、トータルコーディネートで購入できるようなMDに注力。リアルの量販店が男性向けの品ぞろえが中心となる中、意識的に百貨店で展開しているような女性好みのブランド商品を増やしていった。また、ECならではの利点としてリアルでは在庫が積みづらい"大き目サイズ"やメーカーが推奨するような定番カラー以外の商品を取り扱ったことも、差別化につながったという。
品ぞろえについては、昨年7月から大きくMDの体制を変更。人員増に加えて、ゴルフクラブ、ウエア、周辺アクセサリーの主力3ジャンルについて、ジャンルごとのグループ制に変えた。これまでは全体で交渉しなければ商品が仕入れられなかったが、グループ単体で進めることができるようになり効率化とスピードアップにつながったようだ。
MDの強化は、元々、在庫欠品の課題を解決すべく始まったもので、特にウエアに関してはポロシャツの種類を増やすなど全体で以前の1・3倍まで商品数を拡大。定番のロングテール商品と違い、賞味期限が3カ月ともいわれるアパレル商品は追加での補充がしにくいため、初回投入の商品量を多くすることで、販売機会ロスの解消を図っていったという。「以前から回転率は良かったが、反面、売り逃しも多かったということ。取扱商品数が増えれば売り上げが伸び、購入点数も増える。何かが深く売れたというよりは万遍なく売れた」(顔写真=リテールビジネスユニットの渡辺貴正ユニット長)と分析する。
さらに、下期からの売り上げ増に大きく貢献した制度として新会員制度「GDOヤードプログラム」を挙げる。同社ではゴルフ場予約サービスも展開しているが、これまではECとの積極的な連携を行っておらず、どちらか片方のサービスしか使っていないという会員の割合も高かった。そのため、それぞれのサービスで持つ顧客リストを使った相互送客について昨年からプロジェクト化していった。
具体的には顧客からのゴルフ場予約受け付けの際に、商品によっては2~3割引きで購入できるようなECでの特典を付与したほか、これまで予約サービス利用者には予約に関するクーポンしかインセンティブで付与していなかったが、ECのクーポンも付与するようにしていったという。
加えて、予約サービスでゴルフに行く日程もあらかじめ分かっているため、「ボールの買い忘れはないか」「新しい手袋が必要ではないか」などの切り口で事前に商品を訴求。「予約やレッスンサービスもあり、プレーの前後で顧客が何をするかデータを持っているので、そこが起点となり双方向で送客が行えた」(同)とする。結果的に下期は予約サービスからの新規顧客開拓を大きく伸ばすことができたようだ。
会社内でのサービス横連携が深まっていくなか、ウェブコンテンツとの相互送客にも力を入れた。その一つとして昨年春にはゴルフウエアやファッション、車、カルチャーを中心としたウェブマガジンコンテンツ「BRUDER」を開設。同コンテンツ内では記事形式の商品情報などとともに、読者が気になる商品をそのままECで買えるような購入導線も設けている。「当社は小売りの機能を持ちながら、メディアも持っている。そこが独自の武器にもなる」(同)と説明する。
また、外部メディアの活用についても、商品詳細ページの経由から集客までできる導線を採用。昨年夏にはスマホ・タブレット向けニュース閲覧アプリの「スマートニュース」チャンネルプラスにおいて、ゴルフ媒体としては初となる専用チャンネル「GDOニュース」を開設した。「何気なく読んでいたところにゴルフの記事を見せることが技術としてできるようになった。そうしたタイミングでゴルフを意識させるために様々な媒体に出して集客している」(同)とした。(つづく)