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2021.01.14
【ゾゾが手掛けるD2C事業とは?㊤】 参加者の熱量と個性を重視 ブランド開発の工程を全面支援
ZOZO(ゾゾ)は今期(2021年3月期)、センスのある個人と一緒にファッションブランドを作るD2C事業「ユアブランドプロジェクト・パワードバイ・ゾゾ」をスタートし、一定の成果を得ている。
同プロジェクトではブランドの立ち上げに必要なすべての工程を「ゾゾタウン」で培った知見とネットワークを活用して全面的にバックアップする。
同社はプライベートブランド(PB)の「ゾゾ」で生産面の土台を作ったほか、販売面では「ゾゾタウン」が順調に成長を続けている。販促面でもファッションコーディネートアプリ「ウェア」で育てた公認ファッショニスタの”ウェアリスタ”を中心にインフルエンサーがプロモーションを仕掛けるなど、生産、販売、プロモーションの体制が整った。
加えて、今期は「MORE FASHION×MORE TECH」をコンセプトにした成長戦略を打ち出しており、従来の”売ること”だけでなく、新たな価値を創造する商品を自ら生み出して世に広めていくことが必要と考え、D2C事業を始動することになったという。
ユアブランドプロジェクトのリーダーは、「ウェア」を中心にインスタグラムやユーチューブ、ティックトックなどのSNSで活躍するインフルエンサーを活用した施策を手がける藤本真美さん(=写真)で、自身もインスタグラムで1万4000人、「ウェア」で約7万7000人のフォロワーを抱える。
プロジェクトは藤本さんが主体となって参加者(インフルエンサー)と二人三脚で推進。自らもブランド作りに初めて挑戦し、「nimiru(ニミル)」を立ち上げることで、D2C事業のプロトタイプ作りに役立てるとともに、参加者の適切なサポートを行えるようにした。
藤本さんのチームで参加者のマネジメントや商品企画を行いながら、生産面はPBの担当部署、販売面ではEC事業本部など各部署と連携している。
「ユアブランドプロジェクト」は昨年6月15日から一般公募オーディションを開始。応募総数は約7000人で、「ウェア」利用者やファッション分野以外で活動する人、学生や主婦も多く、幅広い層から応募があった。
参加者を絞り込む過程では、熱量を持ってエントリーシートに記入している人を重視。意欲やブランド開発に向けて具体的なビジョンを持っている人、ブランドにかける覚悟などが垣間見られる人を選んだ。
合格者を含め、お笑い芸人の丸山礼さんや人気野球ユーチューバーのトクサン、ファッションデザイナーの日髙琴葉さん、スタイリストの濱本愛弓さんなど個性豊かな18組を選出。参加者の大半がブランド開発の経験がないという。
また、ゾゾから声がけしたウェアリスタと、「ゾゾタウン」出店ブランドとのコラボやD2Cブランドを立ち上げており、いずれも「ゾゾタウン」限定で商品を販売している。
10月下旬からD2Cブランドを順次ローンチしたが、7月中旬の合格者発表から約3カ月で各ブランドをスタートできたのは、業務を極力外注せずに内製化するというゾゾの”自前主義精神”によるところが大きく、今回のブランド開発に当たってもコンセプト作りやブランドのロゴといった服作りの手前の制作面でもデザイナーの部署などと連携することで、社内で完結できた。
生産面はPB事業やマルチサイズプラットフォーム(MSP)事業の協力を得るなど、「ゾゾが持つノウハウをすべて生かしてインフルエンサーさんも含めたワンチームで取り組んだ」(藤本さん)という。
また、藤本さん自身もブランド「ニミル」を手がけた。これまで商品企画や販売については経験がなかったが、同プロジェクトではインフルエンサーと短期間でブランドを開発し販売する必要があったため、自身のブランドを約1カ月早く立ち上げることで、課題や成果を共有できるようにした。
藤本さんは「ウェア」やインスタグラムを通じた発信を続けており、D2Cブランドの告知やPR面などの成功事例をアドバイスできるほか、インフルエンサーと同じ目線で取り組めるように努めているという。(つづく)