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2020.07.23

良品計画 中長期でEC化率20%へ、モールでの品揃え拡大図る

 

 新型コロナウイルスの感染症拡大を受けて、実店舗小売企業のEC事業に対する期待が高まっている。良品計画では、これまでECにおいてメインとしてきた自社通販サイト「無印良品ネットストア」に加え、今期からは新たに仮想モールへの出店も行うなど、ネットの販路拡大を図っている。

 同社では国内事業において今第1四半期(3~5月)のピーク時には国内で約66%の実店舗が休業。緊急事態宣言の発令期間中においては平均で92%の実店舗が通常営業を行えないという状況に陥っていた。6月からは客足が回復傾向にあるものの、現在の都市部での感染拡大を鑑みると今後も不透明な状況が続くことは間違いないだろう。

 その一方で、当期の国内EC事業を見ると、実店舗事業とは異なり、大きな飛躍を見せている。当期の売上高は前年同期比23・4%増の82億5100万円で、全体の売上高に占める構成比は同6・3ポイント増の14・1%となっている。直近3年間の第1四半期の売上高・構成比と比較してみると、18年が前年比0・2%増の58億9400万円で構成比が7・5%、19年が同13・5%増の66億8800万円で構成比が7・8%となっており、当期は例年以上に多くのEC利用があったことが伺える。

 特に、3月以降はコロナで巣籠り消費が顕在化したことで、手作り食品キットといった在宅向け商品の販売が伸長した。並行して国内供給事業(卸し)においても、当期はアスクルへの供給量が前年同期比44・0%増となるなど通販経由の販路が好調に推移している。

 こうした背景もあり、”ウィズコロナ”の消費者対応が求められる中で、5月には「アマゾン」、6月には「楽天市場」に立て続けに出店。自社サイト以外のEC販路拡大を図っている。同販路での売り上げについては第2四半期から反映される見通しだが、現状は開始したばかりで、商品数も限られていることから、早期に成果を出すことは難しいと見ている。

 「規模を大きくするためにはアイテムの拡大や、いかにインフラを掴めるかが重要になる。当面はそれに注力して、開いたところを軌道に乗せることを第一に考える」(松﨑社長)と説明し、新たに他のモールへ出店することなどは計画していないという。その上で、自社ECと合わせた売上高構成比として、中長期的には20%程度を目指すことも明らかにした。

 

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