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2018.02.08

ヤフー 〝ビッグデータ〟で事業支援、企業や自治体研究機関対象に、19年度までに事業化へ

 ヤフーは運営するポータルサイト上で蓄積する「ユーザーの行動」などのいわゆるビッグデータを活用して外部の企業などの商品開発や販売促進などを支援する新規事業を開始する。現在、自動車や菓子、アパレルのメーカーや神戸市などの自治体などと実証実験を進めており、18年度までにビジネスのスキームを整備し、19年度にも事業化を目指す。同事業の目標売上規模は明らかにしていないが、今後の同社の収益の柱の1つに育てていく考え。

 
 2019年度までに事業化を目指すヤフーの新規事業「データソリューション事業」は同社が展開する検索サービスや仮想モール、ニュースや乗換案内など100以上のウェブサービスを通じて、日々、蓄積される膨大な「ユーザーの行動」などのいわゆるビッグデータを用いて、企業や自治体、研究機関の活動を支援するもの。
 
「ビッグデータは21世紀の原油と例えられる。成功しているビジネスではビッグデータが必ず使われている。ヤフーもビッグデータを分析して、多面的にユーザーのニーズや世の中の動きを理解し、我々のサービスを強化し、成果を上げつつあるが、これをヤフー内で活用するだけではもったいない。我々のビッグデータやAIを活用することで、多くの企業や自治体、研究機関の活動をサポートできる」(川邊健太郎副社長=写真㊨)とし、ヤフーの各種データと企業などが持つデータを組み合わせ、AI技術やスパコンなどを活用して分析することで、一般企業では商品開発や生産・物流の支援を、自治体では公共サービスの質の向上など、研究所ではより高い研究成果を生み出すことにつながるだろう、としている。
 
 昨年からすでに十数社の企業・自治体などと実証実験を開始させており、例えば日産とはヤフーの検索情報を活用した車の販売台数予想など、江崎グリコとは商品開発、Jリーグとはチケット販売支援など、神戸市とは都市再整備支援や稼働予想による救急車の増車・増員支援、名古屋大学と小児がんの早期発見の研究などを進めているよう。このほか、アパレルメーカーとの商品開発や値付けの最適化も行い、成果を上げつつあるようだ。
 
 今後、こうした実証実験のパートナー企業を募集しつつ、「1つの企業、1つの自治体という枠を超え、データから得られるインサイトを互いが使い合い、企業や自治体、研究機関が成長していく『データフォレスト構想』と呼称するエコシステムを目指している」(佐々木潔チーフデータオフィサー=写真㊧)とし、その中で成功事例のパターンを整理し、製品・サービス化し、横展開を進め、参加企業をさらに拡大させ、実証実験中は基本的には無償で行うデータソリューション事業を2019年度には有償サービスとして行う新規事業として展開したい考え。
 
 なお、事業化の際には「APIでの課金や当社の統計データがみられるダッシュボードのようなツールを用意してその使用料を頂く形などを想定している」(佐々木CDO)としているが、同事業の目標売上高などについては「実証実験段階のため、今のところは決めていない」(同)としている。ただ、今年度から「データの会社」への変貌を標榜している同社にとっては同事業を将来的な収益の柱として、育成していきたい考えのようだ。
 
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