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2018.02.08
住商ブランドマネジメントの川部社長に聞く「フェイラー」ブランドの変革の手応えは? SNS活用で客層広がる、オムニチャネル施策も強化へ
独フェイラー社総輸入元の住商ブランドマネジメントは今年、ドイツの伝統工芸"シュニール織り"で知られる「フェイラー」ブランドが創業70周年を迎える。日本では2013年からリブランディングに着手し、従来の顧客層(50~70代女性)より若い年代も含めた幅広い層に支持されるブランドに脱皮してきている。間もなく社長就任から2年となる川部将士氏にこれまでの変革の成果や今後の取り組みを聞いた。
――リブランディングから4年以上が経ち、フェイラー事業の基盤が整ってきた。
「売上高、在庫水準ともに改善し、晴れてブランド70周年を迎えられる。良い時期ばかりではなかったが宮内前社長がひいた変革の基本路線を引き継ぎつつ、MDでは実ビジネスと顧客層の広がりを見ながら振れ幅を修正したり、SNSでフェイラーファンの開拓を強化するなどしてきた」
――MDの修正とは。
「フェイラーでは『エレガンス』と『クラシック』のふたつが王道のテイストだ。その対極が『カジュアル』と『モダン』だとすると、一時はモダンかつカジュアルな商品などにチャレンジし過ぎた部分があり、目新しくても購入にはつながらなかった。そのため、クラシックな部分を残しながら少しカジュアル寄りの商品を作ったり、エレガンスさを残しながらモダンな雰囲気のある商品を開発するなど、MDのコントロールを重視した。そうすることで、既存のお客様の新しいニーズに応えつつ、新規のお客様にもより楽しんでもらえるようになった」
――SNS活用は。
「15年6月にインスタグラムを始めたときは情報発信だけだったが、16年11月に公式ファンボードを開設し、フェイラーの写真をアップしてくれるお客様に当社からコミュニケーションをとるようにしたことで、フェイラーファンの輪が広がっていった。SNSという共感の世界にフェイラーがマッチしているのだと思う。当社初の旗艦店である銀座本店はインスタグラムを始めてから明らかに来店客数が上がったし、ギフトのコンセプトショップ『ラブラリー バイ フェイラー』と自社ECでも成果が出ている」
――業績に結びついているのか。
「主力の百貨店の売り場は前年比数パーセント増で推移しているが、銀座本店とラブラリー、ECの3チャネルは30%弱から40%を超えるくらいの水準で伸びている。SNSの影響が大きい3チャネルは年齢層や売れ筋などはかなり近い」
――EC関連の取り組み状況は。
「昨年4月、私の直下に『オムニチャネル推進室』を作った。EC部隊は日々のサイト運営を行っているとオムニチャネルのプラットフォームを作るところまで手が回らないため、全社を巻き込む別部署として推進室を立ち上げた。同時にフェイラーの銀座本店とECを同じ責任者が管理するO2Oチームを発足させ、ECで集客したお客様を銀座本店に送客する方法などを模索中だ。最終的には銀座本店だけではなく、百貨店内のショップに送客できる仕組みを作っていくが、まずは銀座本店とECを同じ責任者が見ることで生まれる効果に期待している」
――オムニチャネル化の課題は。
「店舗とECの会員統合ができていない。昨年はシステムを入れ替えてECも刷新し、その後のフォローに時間を割いたが、今年は具体的なオムニ化施策に取り組みたい。O2Oチームでは、従来は期間やアイテムがバラバラだったキャンペーン用のノベルティーを統一したことで、ECのメルマガ読者が銀座本店に来店するという成果も出ている。お客様が自由にチャネルを選択できる環境を整えたい」
――ECへの投資については。
「会員統合も進めたいし、EC会員に店舗受け取りサービスなどで利便性を高めていきたい。情報発信を強化するためにアプリ開発も検討中だ」
――全社的な課題は。
「来店して頂いたお客様にしか情報発信ができていなかったし、離脱顧客へのフォローも十分ではなかった。顧客管理にしっかり取り組むことが大事で、同時に店頭の販売力をもう一度底上げしていく。マーケティングと店頭接客、顧客管理を高いレベルで機能連携させることで、顧客の定着化につなげたい」