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2018.01.25

ジン・コーCEOに聞く「オリジナルスティッチ」の成長戦略は? カスタムメード市場を開拓、プラットフォーム事業も始動へ

 
ジン・コーCEO

 

カスタムシャツの通販サイト「オリジナルスティッチ」を運営するオリジナル社は、カスタムシャツの受注から生産、配送までの仕組みを一括で提供するプラットフォーム事業が近く本格始動する見込みだ。また、スマホ撮影だけでお気に入りのシャツと同じサイズのシャツが簡単に作れる新機能を搭載するなど、テクノロジーを武器にカスタムシャツ市場の開拓を加速する。同社のジン・コーCEOに成長戦略などについて聞いた。
 
 ――昨年の実績は。
 
 「『オリジナルスティッチ』の会員数は世界で40万人を超えるなど順調に伸びた。そのうち日本は15万人強で、残りのユーザー数の8割程度が米国だ。会員数は日本、世界ともに前年に比べて約40%増だった。リピート率も70%程度と高い水準で推移している。当社ではカスタムシャツECに不安を感じる消費者のために、サイズが合わなかった場合、最初に届けたシャツの返品は不要とし、無料で一着作り直している。このリメイク率も昨年は上期に比べて下期は半減した」
 
 ――半減した理由は。
 
 「初回購入時にいかに最適サイズのシャツを届けるかが大事になるが、このアルゴリズムを昨年は何度か修正した。当社では作り直しする際、初回のシャツのどの部分が合わなかったかを聞いており、そうしたデータを蓄積しアルゴリズムに反映することで、よりピッタリくるシャツを初回から提供できるようになった。リメイク率は会社の経営にとって大事だが、顧客満足度を高める上でも非常に大切だ」
 
 ――リメイクの対応期間は。
 
 「従来、商品到着後30日以内であれば仕立て直しを行っていたが、1月からは期間を1年間に延長した。シャツが本当に自分にフィットしているかを判断するにはもっと期間が必要という顧客インサイトを反映した」
 
 ――昨年は「ボディグラム」やプラットフォーム事業の開始など話題が目白押しだった。
 
 「お気に入りのシャツをA4用紙と一緒にスマホなどで撮影すると、そのシャツと同じサイズ、シルエットのシャツが簡単に作れる新機能『ボディグラム』を昨年8月に発表したが、必ずしも評判が良いわけではない。技術的にチャレンジングな部分が多く、万全なスタートにはならなかった。格段に進化したバージョン2を開発中で、今年中に公開できると思う」
 
 ――プラットフォーム事業は。
 
 「カスタムシャツのECに必要なすべての機能を提供するプラットフォーム事業を昨年3月に発表し、アパレルメーカーやECが初めての企業、小売自体が初めての企業など幅広い業種、商材の企業から予想以上に多くの反響があった」
 
 ――カスタマイズのECトレンドがきている。
 
 「『オリジナルスティッチ』を創業した5年くらい前から予想していた波だ。カスタマイズECは既製品を販売するECとはノウハウが異なる。サイトの作り方だけでなく、サプライチェーンの問題もある。注文を受けてから工場に発注する商売であっても、原材料をどのタイミングで仕入れるかなどは難しく、こうしたノウハウが日本のアパレルに刺さった。また、市場分析を含めて世界にリーチできる部分も評価してもらっている」
 
 ――プラットフォームの導入のされ方は。
 
 「導入先が『オリジナルスティッチ』ブランドでカスタムシャツを販売するケースもあれば、当社ブランドとは切り離して、導入企業のブランド名でシャツやその他のアパレル商材のカスタムECを展開することもある。今後、シャツに限らず、日本で販売されるアパレル商材のカスタムECのかなりの部分が当社のプラットフォーム経由になると期待している」
 
 ――「オリジナルスティッチ」ブランドのシャツを販売する企業のメリットは。
 
 「日本でカスタマイズできるアパレル商材のECは少なく、既存顧客に新しい体験を提供できる。その際、当社ブランドの展開であれば、時間とコストをかけずに事業を始められる。導入先が自社の通販サイトでジャケットやジーンズ、靴などのアパレル商材を販売しているのであれば、品ぞろえのひとつとしても当社のカスタマイズシャツを薦められる」
 
 ――プラットフォームの提供開始時期は。
 
 「第一弾の導入先は当社にとっても非常に大事になるため慎重に進めてきたが、早ければ1月中にもローンチできる。第一弾の導入先は有力企業で、『オリジナルスティッチ』ブランドのシャツを展開してもらうことになっており、サービスがスタートするとシャツの生産枚数は少なくてもこれまでの2~3倍になるのではないか」
 
 ――プラットフォーム事業ではシャツの販売にこだわらない。
 
 「当社サイトの『オリジナルスティッチ』は当面、シャツのブランドとして展開するが、プラットフォーム事業はシャツにこだわらない。さまざまなアパレル商材に対応して米国の特許を取得している。もちろん、メンズとレディースのどちらにも対応できる
 
 ――今後はKPIも変化しそうだ。
 
 「『オリジナルスティッチ』ブランドのシャツ販売枚数というよりも、プラットフォームを使って販売するカスタムメードのシャツやアパレル商材がマーケットでどれくらいのシェアを獲得できるかを重視する」
 
 ――今年、重点的に取り組むことは。
 
 「ソフトウェアの開発を加速したい。ソフトウェアを改良すると、プラットフォームの導入企業すべてがメリットを享受できる。サイジングはアルゴリズムを改良することで精度をさらに高める。デザインや生地などのカスタマイズ部分は、顔と手首の写真を撮影するだけで被写体に合うシャツの色や形が分かるアプリ『スタイルボット』の本格ローンチを含めて使いやすさを追求する。サプライチェーンは、できるだけたくさんの世界中の工場と連携することで汎用性を高めていきたい」
 
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