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2019.04.25

【アクティブソナー 中古ブランド品ECの成長戦略は?㊤】 海外比率が40%超に拡大、中国市場がけん引し中古の潮目変わる、MD精度の向上も奏功

 ハイブランドの中古品を扱う通販サイト「RECLO(リクロ)」を運営するアクティブソナーは、中国向けを中心に海外販売比率が高まっている。

 同社はリユース品の引き取りから鑑定、写真撮影、出品、配送までをワンストップで手がけ、100%本物保証の安心感を武器に中古品を販売。販売額の最大90%を出品者に還元する委託販売型のCtoBtoCビジネスとして成長しているが、早く現金化したい顧客には買い取りも行う。

 在庫連携をベースにした売り場のネットワークを国内外で広げて販売力を強めており、海外市場に向けては「タオバオ」や「アリババオークション」「ジンドン」「ボロミー」「ワンドウ」「リーボンズ」「VIPプラザ」「イーベイ」などを通じて販売している。

 現状、同社では海外販売比率が40%超に拡大。従来は「イーベイ」を介した北米向けが中心だったが、最近ではアジアの割合がもっとも高く、メインは中国向けだ。

 中国では土地の値段が下がり始め、景気後退を指摘する声が強まる中、生活水準を落としたくないという消費者心理も働き、アウトレット品やブランド中古品に対する考え方が変化。メンツよりもお得に買いたいニーズが高まっているようだ。

 こうした状況もあり、中国国内ではブランド中古品を扱う企業が増えているが、まだ消費者の信頼を得ていないプレーヤーも多く、「リクロ」の日本で鑑定された”チェックド・イン・ジャパン”が評価されている。

 加えて、中国市場の開拓を始めて約2年半が経過。同国市場で売れる物と売れない物のデータが貯まり、MD精度が高まってきたこともあって昨年秋頃から急激に伸び始め、年末までの4カ月程度で売上高が3倍になり、今年に入ってからも伸びているという。

 現在、中国では常時5000点以上を出品。ハイブランドのバッグやアクセサリーが中心で、全般的に日本よりも派手なアイテムが売れやすく、ブランドのアイコン的な商品が売れる傾向にあるようだ。

 売り場としては、「タオバオ」や「ジンドン」などの大型モールに出品するだけでなく、ブランド品を扱いたい中国のEC事業者と提携し、黒子として「リクロ」の商品を供給するケースもある。また、アリババが百貨店内で運営する店舗に中古品の買い取りコーナーを設けている。

 中国展開強化に向けて設立したアクティブソナー上海には約10人の中国人スタッフが常駐する。「リクロ」では現在、日本でフルフィルメント業務を行い、在庫も管理。上海では商品説明の翻訳や中国版サイトの運営、営業、バックオフィス業務などを手がけているが、同国内で中古ブランド品ビジネスの成長を期待する向きがあることから、良い人材を獲得しやすい環境にあるようだ。

 ある調査では、世界の新品ラグジュアリー市場の消費国トップが32%を占める中国で、世界市場は年率約5~6%で拡大しているため、中国には新品のラグジュアリー商材が多く存在することになる。一方、日米などは新品市場の20%台後半から30%くらいの二次流通市場があるが、中国の二次流通は1・4%にとどまっていることから、大きく伸びる可能性が高いという。また、中国は急速に裕福になったため、比較的に新しいブランド品の埋蔵量が多いと見られている。

 アクティブソナーでは、今年中にも中国での売上高が日本を上回る見通しで、当面は中国の売り上げ構成比を50~60%に高める。また、現状は日本で調達した中古品を世界で販売しているが、今後は「中国で集めて中国国内で販売する地産地消型を日本品質で展開したい」(青木康時社長=写真)とし、現地企業と組んで次の成長フェーズを目指す考え。(つづく)

 

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