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2019.01.24

【通販支援の仕掛人に聞く りらいあデジタルの向川啓太社長に聞く】 チャットボット強化へ、返品対応や配送日変更も自動で

 コールセンター大手のりらいあコミュニケーションズは昨年10月、デジタルサービスに特化した子会社「りらいあデジタル」を設立した。新会社ではチャットボット「バーチャルエージェント」の提供を行っていく。バーチャルエージェントはアスクルやオルビス、アダストリアなどネット販売実施企業への導入実績を持つ。これまでバーチャルエージェントの事業を統括し、今回りらいあデジタルの社長に就任した向川啓太氏(=写真)に、新会社設立の狙いやチャットボットの可能性などについて聞いた。

 ――子会社設立の経緯は。

 「バーチャルエージェントの事業は2012年頃から企画開発を行っていた。ここ2、3年はコールセンターが労働力不足で、AIを活用していこうという流れがあった。その代表的なソリューションがチャットボットで、本格的に使っていこうというお客様が増えてきた。そのニーズに応える体制を作るために子会社にした。加えてエンジニアは各社で奪い合いなので、それに適した待遇などは新しい組織でやったほうがいいというのも目的としてある」

 ――サービスの特徴は。

 「バーチャルエージェントはカスタマーサポートに特化している。通販やECのお客様の場合、アフターセールスの中で大量の問い合わせを受けていて、その内容の8割以上は定型的な回答で対応できる。業種業態にもよるが、ECは効率化に向いている」

 「カスタマーサポートに特化している理由の1つとして親会社とのシナジーがある。ECではオンライン上で完結したいというニーズが強く、チャットボットと有人チャットを上手く連携させながら顧客対応をする企業が多い。チャットボットも100%は解決してくれないので、人間のチャットオペレーターにスムーズに切り替わってオンライン上の購入をきちんと支援するような体制を作る。その際に当社と親会社が連携して業務を進めることができるのが強みとなる」

 ――導入の費用は。

 「バーチャルエージェントの標準価格は初期導入費が400~500万円程度。月額費用はシステム利用料が40万円で、そこにチューニングなどの運用担当者を付けた場合は月額で合計70万円程度になる。チャットボットとしては高額だが、プラットフォーム自体を長い間運用してきたノウハウを反映しており、学習させやすい仕組みになっている。加えてそれを運用する体制もセットで提供できる」

 「100人のコールセンターにアウトソースする場合、企業側の年間予算は数億円になる。そこで単純に人を100人用意すのではなく、省力化する仕組みも入れる。例えばチャットボットの月額費用が70万円とすると、派遣社員や契約社員の2人分の費用をもらうことになる。仮に仕組みを導入して5%の問い合わせが減れば、100人のうち5人分の仕事量が減る計算になる。つまり『2人分のコストであればペイする』というのが大規模なコールセンターでのロジックだ」

 ――これから強化していく点は。

 「バーチャルエージェントの機能を増やしていく。そのために顧客の行動履歴を見る外部ツールなどと連携していく。CRMシステムとの連携なども増えている。通販の会社からは配送や返品、交換などの問い合わせに対応できるようにしたいという要望は多い。今までであれば、顧客が返品したいとするとチャットボットは返品ルールを回答していた。それが今後は、顧客に商品番号を尋ねて返品手続きをしたり、配送日を変更するといった個別の対応をCRMシステムと連携して行う。技術的にはそうしたことも可能だ」

 

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