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2018.09.11
【NY2019春夏 ハイライト3】ロンシャン、エスカーダなど欧州の老舗ブランドがNYでショーを開催
NYファッションウィーク(NYFW)の中盤戦では、「ロンシャン」「エスカーダ」といった老舗ブランドが、初めてNYでランウェイショーを開催した。NYからパリに舞台を移すブランドもあるなか、反対に新しいイメージ獲得のためにNYFWで発表するヨーロッパブランドも目立つ。ここでは「ロンシャン」「エスカーダ」「マンサ−・ガブリエル」「ボス」のランウェイを紹介しよう。
ロンシャン(LONGCHAMP)
「ロンシャン」はブランド初となるランウェイショーを、NYで開催した。会場は3ワールドトレードセンタービルの68階。眼下にNYの街並みが広がっている。フロントローには、ケイト・モス、ケンダル・ジェンナーらのセレブが並び、スケールの大きい舞台となった。
クリエイティブ・ディレクターのソフィー・デラフォンテーンは、70年代のグラマーと、カリフォルニア・スピリッツにパリジャンのエレガンスを加えてみせた。
アニタ・パレンバーグとヴェルシュカという2人を永遠のミューズとして、砂漠のドライブやLAの夜を舞台にした夢のシナリオを作りあげ、フェミニンで透け感のあるアニマルプリントのドレスをレザーのビキニの上から着たり、柔らかなマクラメのドレスの上にフリンジのジャケットを重ねてみたりという着こなしを提案した。レザーフリンジの上にプリントを施したり、繊細なチュールファブリックの上に刺繍をしたりといった多彩な表現も特徴的だ。
フリンジはキーモチーフとなっていて、スエードの服にも、グラディエーターサンダルにもバッグにも登場する。イカット柄とアニマルプリントもシグネチャーなモチーフとなって表れた。
カラーパレットには鮮やかな夏の日のイメージを展開。バッグはフリンジやストーンで飾られたり、ストラップはパイソン柄であったりと、ロックフェスな雰囲気が醸し出される。旬のカイア・ガーバーがランウェイに登場して、フィナーレの先頭を闊歩した。
エスカーダ(ESCADA)
「エスカーダ」はNYFWでランウェイを開催した。「エスカーダ」の歴史は、1970年代後半に、実業家のヴォルフガング・ライと、パリコレのモデルだったマルガレッタ・ライが、上流階級が集まる競馬場で出会い、共に賭けた馬が優勝したことがきっかけで結婚したことに端を発する。その優勝した馬の名前が「ESCADA」。ふたりは、この名前が持つエネルギーに惹かれて、それをブランド名にした。
昨年グローバル・デザイン・ディレクターに就任したナイル・スローンは、今回のコレクションで、そのルーツに焦点を当てた。ショーの始まりには競走馬が走る足音が流れ、ファーストルックは肩パッド入りのビビッドなイエローのジャケットにフューシャのタイトスカート。続くルックもレッド、ロイヤルブルー、ケリーグリーンなどビビッドなカラーが展開され、ブランドロゴが大きくあしらわれたグラフィックも登場。肩パッドの入ったジャケット、ボディコンシャスなドレス、パンツスーツ、ゴールドのチェーンなど80年代末から90年代初頭の華やいだ空気がよみがえる。
競馬のモチーフがそこかしこに見られ、ジョッキーウェアからインスパイアされたシルクのシャツやカラーブロック、馬のプリントなどが打ち出された。軽いクレープ素材のキャンディーカラーのカクテルウェア、ベルベットのアニマルプリントのドレスなど、華やかで強い女性像が浮かびあがってくる。そして同ブランド最初のフレグランスボトルからインスパイアされたというゴールドのハートモチーフが多くちりばめられた。
マンサー ガブリエル(MANSUR GAVRIEL)
「マンサー ガブリエル」は、メイン会場であるスプリングスタジオで「シーナウ・バイナウ」のランウェイショーを打った。会場にはテーブルが設えられ、ラデュレのマカロンやケーキが用意されているという設定だ。参加者たちはそのスイーツをつまみながらランウェイを見ることができる。
甘くてフェミニンな世界を舞台として、登場するアウターやニット類も、キャラメルからピンク、ミントグリーンとパステルカラーが展開される。シューズにはラメを施してスパークルを添える。立体アップリケを施したパーティガウンもきらめきを放っていた。
マンサー・ガブリエルの得意とするミニマルなスタイルで、丸みを帯びたシルエット、ふわふわとした素材のコート、オーバーサイズのニットなどで、ソフトなフェミニンさを醸し出しながら、トート、バケット、サークルクロスボディバッグなどのバッグとの組み合わせを提案してみせた。
ボス(BOSS)
「ボス」はメンズウェアとウィメンズウェアの2019春夏コレクションを、一挙同時にランウェイで発表した。今季のインスピレーション源をカリフォルニアに求め、ビーチと、そこに臨むモダンで都会のスタイルを取り入れた。
カラーパレットはクールでエアリーだ。淡いピンクから幕をあけ、ペールブルー、バーガンディ、ネイビー、オールホワイトといった爽やかな色彩に、オレンジ、イエローなどの鮮やかな差し色が挟まれる。
ボスのシグネチャーであるテーラリングはそのままに、よりリラックスして、ソフトなスタイルが提案された。皺加工されたコットンや紙のような触感の布から作られたスーツがある一方、ライトウエイトのナイロンコートやジャケットは思いがけないクリスプな手触りとなっている。光るナイロン素材でできたフードパーカやアウターは、スポーツとシティーを同時に感じさせた。
またウィメンズでは、ブラウスやドレスがシャープなカットでありながら、流れるようなビスコースサテン素材を使って、リラックス感を出していた。そしてサーフボードのストライプが、ドレスやアウターやテイラードスーツなどにちりばめられ、カリフォルニアの風が漂うコレクションとなった。
取材・文:黒部エリ