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2018.07.17
【2019春夏NYメンズ ハイライト】ミニサイズ化するNYメンズ 日本のN.ハリウッドらがショーを開催
画像:N.Hoolywood
2019春夏シーズンのニューヨーク・メンズ・ファッション・ウィーク(以下、NYMF)が、2018年7月9~11日に米・ニューヨークで開催された。
ニューヨークではコレクションの発表時期に異変が起きている。「アメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA以下、CFDA)」が主宰する、ニューヨーク・ファッション・ウイーク(以下、NYFW)は今年6月3~7日に暫定的なコレクション発表を行った。
参加ブランドは「アレキサンダー ワン(Alexander Wang)」を始めとして、「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez NARCISO RODRIGUEZ)」「ロージー アスリン(ROSIE ASSOULIN)」「ロロド(LOROD)」の4ブランドだ。
NYFWは9月に次年度の春夏コレクションの発表を行うのが恒例だ。ところが「アレキサンダー ワン」が、コレクションの発表を今後一年に2回に集約していくために、6月に春夏コレクションの発表を変更。それに伴いミニサイズのNYFWの開催となった。
「アレキサンダー ワン」は6月3日に、「コレクション1」と名づけて、ウィメンズとメンズのコレクションを同時に発表した。
また「サンローラン(SAINT LAURENT)」も6月に、ニューヨークで2019春夏メンズコレクションのショーを開催した。これはアンソニー・ヴァカレロがクリエイティブディレクターになってから、初のメンズ単独のショーであり、かつて70年代にサンローランが香水「オピウム」の発表をニューヨークで行ったことにちなむものだ。
一方、NYMFは6月の2週目に開催された。9日には「ニューヨークメンズデイ」として合同の展示会が開かれ、日本の「ターク(TAAKK)」らも参加した。しかしながら今季はメイン会場もなく、参加ブランドも減り、ショー全体が縮小傾向となっている。その中でランウェイを打ったブランドからハイライトをレポートしよう。
N.ハリウッド(N.Hoolywood)
尾花大輔が手がける「N.ハリウッド」は、10日にチェルシーでランウェイショーを打った。
ファーストルックは、オレンジ色のチェックで、ブランケットを思わせるオーバーサイズのアウターに、足元はカラーブロックしたソックスでスポーティさを組みあわせてみせた。
フリンジやチェックなど、ネイティブ・アメリカンや南西部のモチーフが色濃く表れた。ドロップショルダーのオーバーサイズのトップスにワイドパンツ、ビッグサイズのショートパンツなど、尾花大助らしいボリュームあるシルエットが続く。
そこに裾にスリットが入ったトラックパンツや、鮮やかな色のトラックジャケット、ベースボールジャケットなど、アスレティックなモチーフが組み合わさって、「N.ハリウッド」らしい世界観が打ち出された。
また「ディッキーズ(Dickies)」のワークウエア、および「アンブロ(Umbro)」のスポーツウェアとのコラボレーションも披露された。足元はカラフルなソックスに、カラフルなサンダルを提案してみせた。
グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(Gustav Von Aschenbach)
ロバート・ゲラーが手がける「グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(以下G.V.A)」は、7月10日に3シーズン目になるランウェイを「インダストリア・スタジオ」で打った。
モデルに混じってダンスカンパニー、「ハーレム・シェイク」のメンバーがランウェイを歩き、ブレイクダンスを披露。ブランドが立脚するストリートカルチャーを象徴してみせた。
今回のコレクションの特徴としては、タイポグラフィが大きく扱われたことだ。グラフィックデザインの金字塔である、スイスのバーゼル造形学校のエミール・ルダーらのタイポグラフィを再解釈して、ブランドのロゴも新たに造形。ジャケットの背中やTシャツなどに、ロゴやタイポグラフィをあしらった。
シルエットはG.V.A.らしいリラックスしたラインで、素材はすべて日本製であり、風合いも凝っている。ワークジャケット、クロップド・ジーンズ、トレンチ、カーゴパンツ、ポロシャツ、縦ライン入りのトラックパンツ、ショートパンツなどが登場し、ストリートウェアとワークウエアを融合してみせた。
色彩パレットの美しさも定評あるところで、ベージュやグレー、ライトピンクといった中間色に、イエロー、ボトルグリーン、ネイビーなどのカラーが差しこまれていく。首元にはフーシャやネオンイエローのネッカチーフで、鮮やかな差し色を加えた。
最後には「ハーレム・シェイクス」のメンバーたちが踊る、ダンスバトルとなって、ストリート感が溢れた。
トッド スナイダー (Todd Snyder)
「トッド スナイダー」の19年春夏コレクションのテーマは「アメリカン・ツーリスト」。ファーストルックにはスーベニール風の風景写真がプリントされたTシャツに、タック入りのパンツ、そしてカンゴールのバケットハットが登場。
ランウェイには80年代後半から90年代前半にかけてのヒット曲がかかり、ノスタルジックなムードを盛りあげた。
タンクトップやジム・ダッフル、トッド・スナイダーのロゴがあしらわれたカラフルなサッカー・スライド、プレイドのサックスーツ、ニーレングスのパンツ、トラウザーに縦のラインをあしらったシアサッカーのスーツ、サテンのボマージャケット、タイダイ、ハワイアンプリントなどが次々と登場。カンゴールのバケツハットを多用して、80〜90年代感が醸し出される。
白いソックスにローカットのスニーカーを合わせたり、スーツにサンダルを合わせたりする着こなしの提案で、ナード・シックともいえる世界を展開。
トッド・スナイダーの得意とするコラボが多く登場して、チャンピオン、レイン・スプーナー、ノヴェスタ、リーヴァイスの「リ/ダン」、カンゴール、モスコットの眼鏡といったコラボレーションが披露された。
さて今後のNYMFWの行方が気になるところだが、CFDAは2019年から6月の第1週目に開催すると発表。開催時期を6月に変更することによりロンドンやミラノ、パリなどヨーロッパ各都市のファッション・ウイークに先駆けての開催となる。
一方、2月に開催する秋冬のNYMFWは、引き続きウィメンズのNYFWと合体した形で催される。開催時期のずらし方が今後どのようにニューヨークファッション業界に影響を与えていくか、気になるところだ。
(取材・文:黒部エリ)