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2023.10.16
「フミエ タナカ」がUAのライブパフォーマンスとのジョイントショーで2024春夏コレクションを発表
「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は2023年10月11日、東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで2024春夏コレクションを発表した。「フミエ タナカ」2024春夏コレクションと、アーティストUAのライブパフォーマンスによるジョイントショーとなった今回。“islander(島の人)”をテーマに、コード刺しゅうや手描きの柄など手仕事や職人技を駆使して、架空の民族のための服を創り上げた。
ジョイントショーは「フミエ タナカ」2024春夏コレクションからスタートした。オープニングはコード刺しゅうのトップスと、どこか異国風の雰囲気も漂うワイドパンツやプリーツスカートなど、黒のシリーズ。オールスタンディング。床に貼られた、曲がりくねった黒の導線で創られた、わずかなスペースをランウェイにして、観客の目の前を歩くモデルたち。モデルの顔はクモの巣を思わせる黒い糸で覆われていた。
透け感のある黒のコートやジャケット、黒のワンピースやドレス、更にレザーのキャミソール、ポロシャツなど、様々なテクニックや素材を使った黒のアイテムが続く。黒いドレスの行進する様子は、1980年代の黒の衝撃という言葉も思い出させるが、その服は軽やかで、コード刺しゅうやレースは繊細で温かみがある。
次は花や植物にも、太陽と風の動きのようにも見える手描きの柄を使ったエスニック。幾何学的なブラトップとスカート。また、オープニングを飾った黒のシリーズを白で表現したような白のコートやパンツなど、白い服を身にまとったモデルたち。都会的な要素と民族的な要素、過去と現在や未来、地球と宇宙、リアルとクリエーション。様々な要素が共存する。アクセントカラーとして太陽を思わせる赤を使ったジャケットとスカートなどには、ミリタリーテーストの大きなポケットが付いている。
後半に登場したのは青のコレクション。花柄のシャツやスカート、ワンピース。フリルなどを使ったデザインや透ける青を用いたデザインは水のような印象も与え、服の中で泳いでいるようにも見える。コレクションは民族的なムードと手仕事を前面に打ち出したような青のアイテムでフィナーレを迎えた。
今シーズン多くのブランドでも見られた黒、白、赤、シアーな素材、リアルなバランスなどを使いつつ、コード刺しゅうや柄を加えることでオリジナリティーを強調したコレクション。また、コレクションに続いてUAのライブパフォーマンスでは、田中文江さんがデザインしたという、31玉分のゴールドの糸を編んで作ったというUAの衣装が登場した。
「民族という概念を外して、見たことのない民族を表現しました。概念を1回外して新しいものを創造してもいいのでは、というのも裏テーマになっています。デザインはコード刺しゅうにこだわりました。糸から組み合わせてコードを作るなど、硬さにまでこだわり、工場に足を運び『こういう感じで作りたい』と説明し、1から作りました」と田中文江さん。
ジョイントショー形式で発表したことについては「音楽とファッションショーを混ぜ合わせてやりたかった。昔から好きだったし、こびない女性、力強く、芯があって、かっこいいし自然体ということからUAさんしか思いつきませんでした。
イベントで久しぶりに彼女の歌声を聴いたとき、昔のことや今までのことが走馬灯のように頭によぎり、すごく胸に刺さって。ナンパするぐらいの勢いで連絡を取りました。UA世代の人も、初めて聴く人たちも、私が感じたように、何年か後にあのときこうだったなと思ってもらえたらうれしいなと思ってやりました」と説明した。
文・撮影:樋口真一