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2023.07.15

「コグノーメン」2024春夏コレクション サッカーの試合後にユニフォームを交換しあう姿をショーとして表現  

 大江マイケル仁がデザインする「コグノーメン(COGNOMEN)」が2023年7月14日、東京・品川区の大井ホッケー競技場で2024春夏コレクションを発表した。2回目のショーとなった今回。“empathy”をテーマに、サッカーの試合後、選手たちが血と汗の付いたユニフォームを交換しあう姿をショーとして表現した。
 
 会場に選ばれたのは東京2020オリンピック競技大会でホッケー競技の会場として使用されたメインピッチだ。蝉の声と夏の夜の涼やかな風。青い人工芝と森の緑を背景に、サッカーより若干小さいという、フィールドホッケーの競技フィールドのサイドラインをモデルたちが進む。

 スタンドから見つめる観客の前に登場したのは、スポーツブランドやラグジュアリーブランド風のグラフィックが付いた青いフーディ風のスポーツ観戦ポンチョ。ブルーを使った、ブランドの得意とするニットとスカート、ライトブルーのシャツとショートパンツ、遠くから見るとデニムのようにも見えるパンツなど、人工芝からインスパイアされたような鮮やかな青。サイドラインのような白のブルゾンとパンツへと続く。

 赤や黒などのグラデーションボーダーのニット、グラフィカルなパンツなど、様々なボーダーが交差するニットやグラフィックは、ロッカールームに向かう、両チームの選手の動きから着想した。袖を取り外し半袖にできるトップスやショートパンツにできるパンツなど、トランスフォーメーションのデザインは、ユニフォームを交換し、印象が変わることから生まれたという。ブルーのシリーズやミックスボーダーシリーズにプラスされるフリンジも、軽やかさや涼しさとともにミックス感覚や変化を強調している。
 

 スタンドから見るとわからなかったが、Tシャツなどに施されたピクチャープリントは、ブラジルの選手とイングランドの選手がユニフォームを交換している様子をぼかし、グラフィックに落とし込んだものなど、2002年のサッカーワールドカップのシーンをプリントしたもの。ぼかすことでブラジルの選手もイングランドの選手に見えるなどの意味が込められている、という。
 

 また、素材は幅を広げるため同ブランドとしては初めてナイロンやポリエステルを使ったという。文字は前回も登場した、サインからの着想。スーツはサッカーの監督からのイメージだという。ショーはファーストシーンに登場した青のポンチョと共通する黒や赤のスポーツ観戦ポンチョでフィナーレを迎えた。自分の好きな世界を続け、進化させながら、ホッケー競技場のカラーなど、異なる要素をサッカーの動きから生まれたグラフィックと織り交ぜ、新しいものを生み出したコレクション。

 前回のファーストコレクションでは、秩父宮ラグビー場の南スタンド後段席前にある通路をランウェイにしたコグノーメン。大江マイケル仁は、来場者がスタンドから見るという、今回の方法について「サッカーの試合後、選手がユニフォームで交換するときに、テレビカメラで近くから見るとその物質しか見えない。だが、スタンドから遠目で見ると、いろいろな人種や所属の違う人たちが入り混じっている空間が見える。それを見せたかった」と説明。

 
 また、原点であるサッカーからのイメージをモードに落とし込んだコレクションを、ラグビー場に続いてホッケー競技場で発表したことについて聞くと、「フットボール(サッカー)もスポーツという世界の1つなので特に意識していないが、アイスホッケー場や体育館とか、競技場で続けていきたい。今回のブルーも、このホッケー競技場でやることを決めていたので、最初の3ルックは青でやりたいと思った。会場の青に合わせることでディテールに人の目が行くようにしたかった」などと話した。

 

取材・文:樋口真一

Courtesy of COGNOMEN

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