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2018.03.25

【2018秋冬東京ファッションウィーク最終日】シセが4年ぶりにショーを開催 「TOKYO FASHION AWARD 2018」受賞者たちもコレクション披露

 2018年3月24日、2018秋冬アマゾン ファッション ウィーク東京(以下、AFWT)最終日。AFWT初参加のWEWILL(ウィーウィル)や4年ぶりのショーを開催となるシセ(SISE)が登場。また、「TOKYO FASHION AWARD 2018」の受賞ブランドたちがランウェイショーやインスタレーションを行った。

シセ(SISE)

 “Moonlight(ムーンライト)”をテーマにランウェイショーを行ったシセ(SISE)。内幸町のビル屋上で大都会のビル群を背景に、スポーティながらも艶っぽいコレクションを披露した。テーマであるムーンライトは、アカデミー賞を受賞した同名の映画からインスピレーションを受けている。少年が多感なティーンエイジャーとなり、そして20代の大人へとなっていく映画の流れのように、ハーフパンツやキャップ、デニムにシャツスタイルというあどけなさの残る表現から、ブラック一色のテーラリングや滑らかなサテン地など、大人の男性の表現まで幅広く展開した。コレクション全体に統一感をもたらしているのはフィットシルエット。程よいリラックス感をもたせながらも絶妙なバランスで男の色気を加えている。また、今シーズンのキーカラーは、ブラック、グリーン、ワインレッド。そのキーカラーで描かれた人の顔のモチーフは、今シーズンのキーヴィジュアルとしてレザージャケットやテーラードジャケットにのせられた。

 4年ぶりのショー開催となったシセ。ショー終了後、今後もこの様な形でコレクションを発表していきたいと、デザイナーの松井征心は語った。

「シセ」2018秋冬コレクション

ウィーウィル(WEWILL)

 ウィーウィル(WEWILL)は、”トランスレーション”をテーマに、イギリスとフランスのミックススタイルを紡ぎ上げた。イギリスのソリッドなテーラリングに、フランスのフェミニンな遊び心のある要素を取り入れる。その要素とは、ドット柄であったり、ラメが輝くツイード、ふんわりとした起毛素材、そしてアニマルパターンなど。モノトーンのテーラリングに柔らかさを加えている。

 髪の長いモデルや、体型・国籍が様々なモデルを起用したのは、着る人も多様であって欲しいから。AFWTの公式スケジュールでは初のランウェイショーとなったが、公式会場のヒカリエではなく、あえて渋谷のクラブを選んだのも、触れられそうなほどの距離感でコレクションを見てもらうことによって、お客さんの生活の一部としてウィーウィルを受け入れてほしかったから。

 昨年の秋冬シーズンと比べて約2割アイテム数も増えたという今シーズン。ウィーウィルというブランドとしてはまだ始まったばかりだが、経験豊かなデザイナー福薗英貴が今後このブランドをどのように成長させていくかが楽しみだ。

「ウィーウィル」2018秋冬コレクション

TOKYO FASHION AWARD

 世界をフィールドに活躍するポテンシャルの高い東京の旬なファッションブランドを選定、表彰し、海外での展開をサポートする「TOKYO FASHION AWARD」。第4回目となる今回は、「ボディソング(BODYSONG. )」の青木俊典、「クオン(KUON)」の石橋真一郎、「ソーイ(soe)」の伊藤壮一郎と高木佑基、「ディガウェル(DIGAWEL)」の西村浩平、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」の志鎌英明、「エフ シーイー(F/CE.®)」の山根敏史と山根麻美が賞を受賞。今年1月のパリ ファッションウィーク期間中に合同展示会を開催し、AFWTの最終日である今日、”TOKYO FASHION AWARD WINNERS’DAY”と題し、ランウェイショーやインスタレーションを行った。

 デザイナー山根敏史と山根麻美によるブランド、エフシーイー(F/CE.)。コレクションはいつも“旅”から構想をスタートさせる。今シーズンはフランス。デザイナーたちが実際にフランスを旅し、そこで出会ったフィッシャーマンやハンターの身につけていたアイテムにインスピレーションを得て、古いテキスタイルやスタイルに新しいデザインや機能性をミックスさせていく。テーマは「OLDNEW SCHOOL」。ブルゾンやコートに貼られた反射テープや工具入れのようなベストなど、ワーキングユニフォームのようなディテールを取り込みながら、ロロ・ピアーナの完全防水テキスタイル、「ストームシステム®」など高品質かつ高機能な素材を用いながらモダンなワーキングスタイルをつくり上げている。トレンドのオーバーサイズシルエットは、ヨークのレイヤードや極端なラグランで立体的に仕上げていた。また、バッグから始まったブランドらしく、完全防水の機能性に優れたバックパックも発表した。

「エフシーイー」2018秋冬コレクション

 クオン(KUON)は「美しいものはいつまでも美しい」というブランドコンセプトのもと、約150年以上も前の生地を使用したり、昔の服を解体してパッチワークにしてアイテムを紡いだり、独特の表現手法で新たな東京ストリートの形を提示した。

 

 

 

 チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)は、“rhythmatic”をテーマに、デザイナーの志鎌英明が90年代、ニューヨークで受けたグラフィック文化やヒップホップミュージックに対する衝動をコレクションで表現した。また、ファッションに対するリスペクトから、古い洋服をはさみを入れずに解体し、現代の生地と融合させ再構築する。フィナーレで登場したトレンチコートはすべてリメイクで、すべて1点ものであるという。

「ボディソング」(上2枚)/「ソーイ」(下)

 乃木坂46などアーティストへの衣装提供を積極的におこなっているボディソング(BODYSONG. )は、「インプロビゼーション(=即興の意)」をコンセプトとするブランドらしく、バンドの生演奏の中ランウェイショーを行った。ソーイ(soe)はインスタレーションでコレクションを発表。大胆な写真プリントとキルティング、レザー×ムートンなどのハイブリッドアイテムが印象的。

「ボディソング」2018秋冬コレクション

 初参加ながらもAFWTのトリを飾ったディガウェル(DIGAWEL)は、2006年にデザイナーの西村浩平がスタートしたブランド。シンプルながらもシルエットや素材にブランド独自の捻りを加えるのが特徴。今シーズンは、ポケットやフード、袖部分に異素材を用いたり、レイヤード風に見せるディテールなどを盛り込んだ。

「ディガウェル」2018秋冬コレクション

 同日にはTOKYO FASHION AWARDトークセッションも行われ、過去の受賞者であるダブレット(doublet)の井野将之とベッドフォード(BED J.W. FORD)の山岸慎平も登壇し、賞を受賞したことで世界へ眼を向けられるようになったことや、世界でビジネスを拡大するためにはブランドの世界観をより強く確固たるものにしていく必要がある、ということなどを語った。ブランドやデザイナー自身の成長にも大きく貢献しているTOKYO FASHION AWARDだが、今後受賞者たちがどのように活躍の場を広げていくのか注目したい。

文:山根由実
撮影:土屋航(SISE、WEWILL、F/CE、BODYSONG. 、DIGAWEL)
   山根由実(Children of the discordance、soe、TOKYO FASHION AWARD)

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