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2018.03.21

【2018秋冬東京ファッションウィーク2日目】大掛かりなショーを行ったアンブッシュ、セクシーを追求したドレスドアンドレスド――若手デザイナーたちもコレクション発表

 2018秋冬アマゾン ファッション ウィーク東京(以下、AFWT)2日目。パリでプレゼンテーションを行ったアンブッシュ(AMBUSH)がランウェイを開催。会場にはモデルで女優のローラや、水原希子、EXILEのAKIRAなどのセレブや、サカイ(sacai)の阿部千登勢、ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)の相澤陽介などデザイナーも多く駆けつけ、その注目度の高さを感じさせた。

 またAFWT常連のドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)、そしてグローイング ペインズ(GROWING PAINS)、ジェニー ファックス(Jenny Fax)、AFWT初登場のリロト(liroto)、ミドラ(MIDDLA)など、2日目はウィメンズを発表するブランドが多く出揃った。

アンブッシュ(AMBUSH)

 1月、パリ メンズファッションウィーク期間中にプレゼンテーション形式でコレクションを発表したアンブッシュ(AMBUSH)が、アマゾン ファッションが主催する「アット トーキョー(AT TOKYO)」の一環でランウェイショーを行った。

 会場は港区のスターライズタワー。2つの異なるスペースで演出を変えるという手の込んだ手法を見せた。1つの会場は草が敷き詰められ野外にいるような雰囲気。そこでは、ショーの前にアマゾンの配送に使われるボックスと同じ箱に入ったお弁当が配られた。料理は、神出鬼没のアート料理人集団”ゲットー ガストロ(GHETTO GASTRO)”が、アンブッシュのコレクションテーマにあわせて作ったもの。食事中にはラッパーでDJのバーバルがゲットー ガストロのメンバーと登場し、料理の説明を行うというサプライズも用意された。

 そしてもう一方は、オールスタンディングで備え付けの梯子まで観客が埋まり、まるでライブ会場のような雰囲気を醸し出していた。

 コレクションのインスピレーションは、デザイナーのYOONが生まれ育ったシアトルの自然。ティーン時代の記憶を遡り、紡ぎ上げたアイテムたち。ニルヴァーナの曲が流れる中、当時を思い起こさせる古着のようなネルシャツやスラッシュ、つぎはぎのディテールで生み出したグランジスタイル。撥水加工が施されたコートや巨大なツバをあしらった帽子、ラグジュアリな素材感でそんな90年代風のスタイルをモダンなモードへと昇華した。ショー終了後にはアフターパーティーも開催され、ブランドらしいクラブカルチャーを見せつけた。

・「アンブッシュ」2018秋冬コレクション

ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)

東京ファッションウィークの”朝の顔”として定着したドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)。今シーズンは、セクシー要素を増した。クリーンでシンプル、そしてストイックな同ブランドが、セクシー要素を取り入れたのは、先シーズンから。ランジェリーをとり入れたり、半身を露出してアイテムそのものを見せたショーが印象的であった。今シーズンは、「I’m Sexy」というテーマを掲げて、ドレスドアンド流セクシーを追求。肌見せや、ランジェリーディテールをふんだんにとり入れた。中でも、背面が大きく開く「破れ」のテクニックが目をひく。クリーンなビッグシャツやブラックデニムジャケットにそのテクニックをとり入れて肌を見せたり、テーマの「I’m Sexy」を見せたり・・・。その他、ヌーディーカラーのシアーアイテムや、ミドルフ丈のトップス、ハリ感のあるシーアーコートなども見られた。また、ロングトレンドであるユーティリティーアテイムも見られ、袖が4つあるMA-1などのユニークなアイテムも登場した。

「ドレスドアンドレスド」2018秋冬コレクション

グローイング ペインズ(GROWING PAINS)

 ファッションアイコンとして知られるユリアが手がけるブランドも、3シーズン目を迎えた。戦場のナースをテーマにミリタリールックを提案したファーストシーズン、小笠原伯爵邸を舞台にモガを再構築したセカンドシーズン。そして、今シーズンはプラネタリウムで星空をテーマにコレクションを披露した。星空といってもロマンチックなものではなく、SFのB級映画を思わせるもの。宇宙人や流れ星をテーマにし、シルバー、ブルー、ホワイト、蛍光色のカラーパレット、ラメ、セーラ服を着た女学生風宇宙人のアイコンやなどが印象的。セクシーな真紅のベルベットドレスやタイトなワンピース、ヘビーデューティーアイテムを変形させたピースなど、SFブームが起きた1970年代後半の日本を思わせるものも登場した。

「グローイング ペインズ」2018秋冬コレクション

ジェニー ファックス(Jenny Fax)

ジェニー ファックス(Jenny Fax)は「悲劇英雄」をテーマに、家族、特に母親の人生に焦点をあててストーリーをつくり上げたという。デザイナー、シュエ・ジェンファンの実の妹が描いたという家族写真のような絵。その絵を囲むようにランウェイが設置され、コレクションでも時代の流れを描写していく。

ベースは80年代のムード。タイトなミニスカートや肩パッドを誇張したかのようなショルダーシルエット、オーバーサイズのアウター。ネオンカラーやフラワーパターン、チェックなど、トレンドの要素も忍ばせつつ、歳を重ねた母親の体型を表現したという立体的なスカートやウエストのディテールで、ジェニー ファックス流シュールレアリズムも忘れない。クッキーなど、お菓子の缶をつなげたようなアクセサリーや、ズレ落ちたような極端に小さいエプロンなども、ブランドらしさを感じさせる。

今回、初めてプロのモデルをメインに起用したジェニー ファックス。そのすらりとした長身のモデルたちに、独特のデフォルメしたアイテムを纏わせることによって、その対比がより楽しめた。

「ジェニー ファックス」2018秋冬コレクション

サポートサーフェス(support surface)

「Still life」というテーマを掲げ、静なる佇まいや静物へのこだわりを表現した。ブラウスとハイウエストのロングタイトスカートというシンプルなルックでショーがスタート。スモーキーなカラーブロック、バイヤスのタータンチェック、千鳥格子などのカラーやモチーフ、ねじりやラップなどのテクニックが作り出すソフトコンシャスなシルエットなどが魅力的なコレクションだ。静をイメージさせる上品で控えめなルックが多い中、動を思わせるパンチの効いたピースが際立つ。フロントに大きなバイヤスチェックモチーフをあしらったトップス、ファースカート、藁のように加工させた白黒のエプロンなどが登場した。

「サポートサーフェス」2018秋冬コレクション

リロト(liroto)

トリコ コムデギャルソンにてパタンナーを務めていた富塚尚樹が始動したブランド、リロト(liroto)。新たな表現を追い求めたいと立ち上げた自身のブランドでは、パターンからのデザインや、立体的なシルエットで生まれる新たな形を追求する事から、新しい価値観をもたらすような服を提案したいとのだという。

今シーズンAFWT初参加ではありながら、ショーでは独特のシルエットと演出で確かなブランドの世界観を見せつけた。中世ヨーロッパの貴族を思わせるドレスを纏ったモデルたちが朗読をするところからショーは始まるのだが、そのドレスはよく見るとPVCのレイヤーがされている。そして特徴的なのはやはり立体感。ギャザーや生地の合わせ方によって複雑かつ絶妙なシルエットを生み出している。そしてダウン。ただでさえボリュームの出るダウンを、さらに複雑なパターンによって紡ぎ上げることで、前後左右、どこから見ても構築的なシルエットに仕上げていた。

ミドラ(MIDDLA)

大手アパレルメーカーを経て独立した安藤大春が2014年にスタートさせたミドラ(MIDDLA)。ブランドコンセプトは「とある日の東京の日常着」とし、日常という枠の中でのプレタポルテを提案している。今シーズンは、メンズイメージの英国調テキスタイルを使用したソフトエレガンス。メインモチーフは千鳥格子だ。プリント、型抜き、レースなど様々な表情のアイテムをとり入れた。それらを同柄異素材や別柄とドッキングさせたり、レイヤードさせたりしてルックを組み立てた。鳥の羽根で作られたヘッドピースも印象的。白と黒のピースが、まるで白鳥と黒鳥のよう。ショーのストーリー作りに効果的に働いた。

「ミドラ」2018秋冬コレクション

文:山中健、山根由実
撮影((AMBUSH、DRESSEDUNDRESSED、GROWING PAINS、Jenny Fax、support surface、liroto、MIDDLA)):土屋航

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