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2019.03.07
【2019秋冬パリコレハイライト8】マスキュリンとフェミニン、不協和音、ナチュラル、リラックス…相反する要素の組み合わせとリアリティがポイントに
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2019年3月5日に閉幕した2019秋冬パリコレクションでは、相反するものの組み合わせやリアリティもポイントになった。
ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)
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「ヨウジヤマモト」はモードが始まる以前の服作りを「ヨウジヤマモト」ならではの視点で再解釈するによってアンチモードを表現した。糸を残したデザインや布を巻き、直線と曲線を自在に操り、しわさえも間として楽しむデザインなどはヨウジヤマモトらしいもの。
だが、そこにプロフェッショナルデザイナーが、生まれる以前のカッティングやディテール、子供の絵のようなプリント、ミシンがけを失敗したようにランダムに糸が飛び出したデザインなどをミックスすることで、不協和音のような新しさを生み出している。また、手袋をそのまま袖や服にしてしまったシュールレアリスム的なデザインや円形のカット、スカートで顔を覆い、目だけを見せることで誘惑する古代民族からインスピレーションを得たというフィナーレのブラックドレスなども印象的。
思索するデザイナーらしく迷いまでもデザインにしてしまったようなデザインを見せた今回。ピカソが子供の絵やアフリカからインスパイアされたように、山本耀司はヨウジヤマモトとは全く違う要素を取り入れることで次に進もうとしているようだ。
アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood)
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「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド」は前回のストリートムードから一転。ヴィヴィアンらしいクラシックでありながらも実験的なデザインを並べた。スカーフのようなスーツやトップスから顔を出さずにそのままフードのようにかぶったようなデザイン、コルセットのようにウエストを絞ったデザイン。そしてビッグシルエットのジャケットや布を巻き付けたような形。アーカイブとも言えるデザインだが、かつてのようなスペクタクルではなく、今のバランスに仕上げられている。
オーラリー(AURALEE)
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「FASHION PRIZE OF TOKYO」第2回受賞者岩井良太がデザインする「オーラリー」はミニショー形式のプレゼンテーションを開催。メンズとレディースの両方を発表した。ゆったりとしたコートやパンツなど、ナチュラルでリラックスしたムードやチェックなどは今シーズン、多くのブランドで見られたものだが、パリコレクションの中で見るとリアリティやシンプルさがより際立って見える。「今シーズンは白や淡いグリーンなど冬っぽくない色を使った。ショーは初めて。急遽決まったがモデルが着て、歩くというのは新鮮だった」と岩井。次回はパリメンズコレクション会期中に作品を発表する。
アニエスベー(agnès b.)
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「アニエスベー」はクリエーションの新たな表現として、今シーズンはレディースとメンズを合同で発表した。シックなデザインからスポーティーなデザイン、デザイナー自身が撮影した、パリの風景のプリントやメタリックで未来的なトップス、ウエディングドレスまで、バリエーションの豊富さはいつも通り。今回はレディースとメンズで同じ柄やプリントを使ったデザインやレディースの横に合うメンズを同時に発表することで、相乗効果や新しさが感じられた。
シャッツィ・チェン(SHIATZY CHEN)
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「シャッツィ・チェン」はガーディアンをテーマに、中国の少数民族モン族の神話やあでやかな装い、複雑さなどからインスパイアされたコレクション。フェニックス、7つの太陽、蝶などの神話のモチーフを刺しゅうやプリントなどで表現したデザインや、ビッグシルエット、金属糸を使ったきらびやかなスタイル。抱っこひもからイメージしたデザインもアクセントになっている。
アー・ペー・セー(A.P.C.)
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「アー・ペー・セー」は今シーズンも時代もトレンドも自由自在にミックスし、リアルに仕上げたコレクション。ナチュラルでリラックスしたカジュアルから、60年代の未来的なムードを取り入れたようなトップス、自然のモチーフを取り入れたワンピース、90年代を感じさせるものまで、様々なデザインが登場した。
セドリック シャルリエ(CÉDRIC CHARLIER)
マスキュリン・フェミニンとも呼べそうなコレクションを見せたのは「セドリック シャルリエ」。ジャケットとパンツ、シャツなどのメンズアイテムをベースにフェミニンな要素をプラスしたデザインやパワフルなボディコンシャススタイルなどを見せた。