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2019.02.25

【2019秋冬ミラノコレ ハイライト4】ジョルジオ・アルマーニ、ミッソーニがメモリアルなショーを開催

 4日目は「サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」に始まり、「エルマノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」、「フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY DI LORENZO SERAFINI)」 、「アニオナ(AGNONA)」、「エリザベッタ・フランキ(ELISABETTA FRANCHI)」、「ミッソーニ(MISSONI)」、そしてメンズ・ウイメンズ混合ショーを行う「ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)」など。

エリザベッタ・フランキ(ELISABETTA FRANCHI)

 今シーズンの「エリザベッタ・フランキ」のテーマは“RETRO FUTURE”。60年代風のポップでキュートなテイストに、コズミックでフューチャリスティックな雰囲気がブレンドされている。

 膝上ミニスカート、ジャンプスーツ、Aラインコート、ワイドパンツ、マキシ丈ドレスなど60年代を象徴するアイテムのオンパレード。カラーパレットもアイボリーからフューシャ、アプリコット、そしてブルー、ジェイド他、当時のカラフルな色使いを彷彿させる。

 だが、そこに宇宙服のようなアイボリーのビニールを使ってタートルなどインナーとして使ったり、それ自体に装飾を加えてパンツやスカートにしあげたものとコーディネーションを多用している。ジャンプスーツやドレスに使われるきらきら光るラメ入り素材は銀河のイメージなのだろう。また多くのルックで使われているヘルメットのような帽子は、60年代のツィギーがかぶっていた帽子のようであると同時にテレタビーズのアンテナのようでもあり、ファンタジックな雰囲気でコーディネーションに不思議さを与えている。

 ただの“60年代風”では、当時の焼き直しで終わってしまうところを、全く違う要素を入れいることで独特のものに昇華したコレクション。当時のハッピームードと未来への夢、という2つのポジティブな要素のマッチングで明るい雰囲気が流れていた。

ミッソーニ(MISSONI)

 パラッツォ・デル・ギアッチョというスケート場にて、青い光で全体を包まれた舞台演出の中ショーを行った「ミッソーニ」。コレクションノートによるとこの青い光はクロマキーであり、またスターゲート的なのイメージを包含しているとか。クロマキー合成によってどんな時代や場所にも飛んで行けるように、「ミッソーニ」がその歴史の中で作り上げてきたアイコンたちや、またこれまでしばしばテーマとして使ってきた旅やノマド的な様々な要素を現代的にテレポートさせる……、という感じだろうか。

 そこにはプリントonプリント、ジグザグやストライプ、ジャガードコートやラメのミクロプリーツドレスやジャンプスーツなど、「ミッソーニ」らしいアイテムが続々登場。

 ロングカーディガンやマント、ロングマフラーなど縦に長いシルエットをレイヤードでコーディネートし、流れるようなフォルムを作っているのも特徴的。また着物の帯のようなベルトやミニケープ、フード使い、またはイカット風やオルテガ風の柄やなど民族的な要素も見られる。

 老舗ブランドの原点回帰というのは最近よく見られる流れだが、昨年65周年のアニバーサリーを祝うショーを行った「ミッソーニ」も、その歴史が持つ価値を再認識し再構築。デザイナーの交代劇で全くブランドが変わってしまう潮流もある中、この姿勢は大いに評価したい。

ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)

 4日目の最後を飾ったのが、「ジョルジオ アルマーニ」。初の本格的なメンズとの混合ショーを、「アルマーニ・シーロス」で行った。いつもの広大なシアターと違って、普段はギャラリーとして使われている建物の廊下部分をランウェイにしているため、コレクションピースのディテールや素材の美しさが間近に迫ってくる。

 テーマは“RHAPSODY IN BLUE”。「ジョルジオ アルマーニ」が愛するミッドナイトブルーとブラックだけを使ったコレクションだ。これまでも、ブルーやグレーなどある特定の色だけをテーマに用いて、そのカラートーンでコレクションを構成したことはあったが、今回は見事にこの2色だけ。それをサテン、ベロア、シャンタンなどお得意の素材を中心に、透け素材や刺繍、ビジューやスパンコールなど様々なディテールが盛り込まれている。

 ウエストシェイプのロングドレスやジャンプスーツ、ハイウエストのパンツ+ショート丈トップなど、視覚的にスレンダーに縦に伸びるフォルムがメインだが、ジャケットには光沢素材でブルーのカーヴィ―なラインを入れたり、ジョッパーズパンツやルーシュやあしらったトップスなど各所に曲線的なアクセントをつけている。

 また、印象的なのはバラのモチーフで、それはコサージュからプリント、刺繍、ビジュー使いにいたるまで様々な表情で登場してアクセントを加える。

 それに対するメンズコレクションはクラシックなスーツスタイルが多い。だが、シングル、ダブル、スリーピースと様々で、ピークトラペルあり、ナローラペルあり、ゴージラインが高いものも低いものもあり……、とバリエーション豊か。多くのルックはそれに光沢素材のカラーシャツを合わせて色気を醸し出す。ブルゾンやダウンなどのカジュアルピースも登場するが、あくまでオーセンティックな雰囲気だ。

 決してぶれない「ジョルジオ アルマーニ」の美学。この世界観は、彼にしか作れないだろう。それを見せつけたようなこのショーは、きっとファッションの歴史に残るものになるだろう。

「ジョルジオ アルマーニ」2019秋冬コレクション

ジミー チュウ(JIMMY CHOO)

 4日目も、アクセサリー類を中心に展示会のラッシュ。「ジミー チュウ」は“モダン・ヒロイン”というテーマで、「ジミー チュウ」のブランド精神でもある、強く野心的、情熱的でありながらデリケートな部分も持つ現代のヒロインをイメージしている。

 そんな女性のために、見た目の美しさと同様に機能性を備えたアイテム達が登場。ストラップやベルトが取り外し可能だったり、使い方によって表情が変わる仕掛けが。トレンドのロングブーツや今年のキーカラー、赤、白、黒など、今シーズンらしいアイテムも。

 また、今回はバッグ類が強化され、耐久性や実用性にも富む「ヴァレンヌ」がバリエーション豊富に揃っている。また「ダイアモンド」、「レイン」など「ジミー チュウ」ならではのクチュール感溢れるスニーカーにもバリエーションが追加。また今回はイニシャルJCをカッティングで断面をつけた新ロゴがお披露目され、これは新コレクションの各所に使われている。

バリー(BALLY)

 「バリー」の今シーズンのテーマは“PEAK OUTLOOK”。会場の真ん中には線路が敷かれ、その両サイドには登山列車が。各コンパートメントの中にモデルや商品が鎮座し、列車の窓にはスイスの雪山の景色のビデオが流れている。ブランドルーツを探るべく、同ブランドのあるスイス、特にその山々からインスピレーションを得たモチーフや、カントリースタイルおよびマウンテンギアが登場する。

 山頂をモチーフにして50年代にできたロゴからのインスピレーションのギザギザ柄や、スイス国旗、チロル風モチーフなどが各所にほどこされた。1943年のアーカイブを復活させたハイキングブーツ、「ハディ」も登場。

プラン C(Plan C)

 「マルニ(MARNI)」創始者の娘、カロリーナ・カスティリオーニによって昨年設立された「プランC」は2シーズン目のコレクションを発表。本人が着たい服を作るというコレクションには自由な感覚が溢れる。ユニセックスでも着られるようなビッグフォルムに楽しい色使い満載のダイナミックでアクティブなコレクションだ。

「プランC」2019秋冬コレクション

アニオナ(AGNONA)

 「アニオナ」のアーティスティック・ディレクター、サイモン・ホロウェイの今シーズンのインスピレーションは、テキスタイルアーティストのアンニ・アルバース。彼女の触覚性のアイデアに惹かれたという。また写真家コリン・デイの初期の作品や、1992年のアメリカンヴォーグのスティーブン・マイゼルとグレース・コディントンによる画期的なグランジのストーリーに、今日のファッションのカジュアル化のルーツを見出し、このコレクションに結びつけたとか。

 確かにコレクションにはシアリングやテディベアコートなど立体的なボリュームのあるピースが登場したり、チェックやアーガイルを多用し、グランジ的雰囲気を醸し出しているだが、羊毛の原毛のようなカラーやシンプルなカットに、オーセンティックでクラシックな部分の「アニオナ」の要素が強調されるようだった。

「アニオナ」2019秋冬コレクション

 

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