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2019.02.11
【2019秋冬NYコレ ハイライト2】欧州ブランドも参加し、ウィメンズウィークがスタート
ウィメンズをメインとするNYファッションウィークが9月7日から開幕した。トライベッカにあるスプリングスタジオをメイン会場として、ピア59のスタジオなども利用されている。
規模が縮小しているNYファッションウィークだが、その中でコンスタントにショーを打ち続けるブランドもあれば、ショーを取り止めたブランド、反対にめきめきと力をつけてビッグな会場で繰り広げるストリート系ブランドも台頭している。その中からハイライトを紹介しよう。
タダシ ショージ(TADASHI SHOJI)
今季の「タダシ ショージ」は東南アジアの旅からインスピレーションを得たといい、伝統的な寺院やストゥーパ(仏舎利塔)をシルエットに落とし込み、あるいは僧衣をテーラードドレープに表現してみせた。
オープニングからの数ルックはベルベッドを打ち出し、ミッドナイトブルー、レッド、グリーン、パープルなどの深みのあるジュエルトーンが展開された。
今季目立つのが胸元を大きくVカットにあけたスタイルで、センシャルなフェミニンさが際だち、タダシの得意とする、流れるようなラインが披露された。またアジア的な金色の刺繍や花モチーフの刺繍も登場し、ラストにはオーガンジーのボールガウンも披露した。
ランウェイではプラスサイズモデルが積極的に起用されていたが、目を奪われたのが、プラスサイズの女性たちのボディのほうが、よりグラマラスに魅力的に映ることだ。女性の曲線を引き立てる「タダシ ショージ」のドレスが全米で人気を誇るのがわかるところだ。
ケイト スペード(kate spade new york)
前シーズンから、クリエイティブディレクターがニコラ・グラスに交替した「ケイト スペード」だが、今回のランウェイは名門レストラン、チップリアーニで披露。会場にはピンクの絨毯が敷きつめられ、シルバーに光るインスタレーションがレトロモダンだ。
今季、ニコラはブランド本来の価値である“前向きな女性らしさ”の表現にフォーカスしたという。
ファーストルックはきれいなマスタード色のワンピースで、ミニを打ち出し、編みあげブーツをあわせてみせた。モデルたちはターバンをかぶるスタイリングで、ベルベットのベルボトムパンツスーツや、細い横縞のラメニット、ハイウエストのワイドパンツ、編みあげのブーツが70年代調を醸しだす。
カラーパレットは美しく、マスタード、ラベンダー、ラズベリー、深みのあるブルーなど、ジュエルトーンを中心にして展開された。とろみのあるシルクや光沢あるブロケードを素材として打ち出し、バッグもパイソン柄やクロコダイルの型押しなど、グラマラスさをより色濃くしたラインナップだ。
「ケイト スペード」のシグネチャーとなっているカラーとプリントは健在で、今季はヒョウ柄プリントを主力にして、赤いヒョウ柄のジャンプスーツやパープルのヒョウ柄コートなどが存在感を放っていた。
「ケイト スペード」らしいブライトな色彩を保ちつつ、よりニコラの世界が反映されたコレクションとなった。
パーム・エンジェルス(Palm Angels)
フォトグラファーであり「モンクレール」のアートディレクターでもあるフランチェスコ・ラガッツィが手がける「パーム・エンジェルス」。今季初めてNYファッションウィークに登場して、2月9日にメンズ、ウィメンズのコレクションを同時発表した。
ヴェニスビーチやマンハッタンビーチのスケーターのスタイルやストリートカルチャーをインスパイア源としている「パーム・エンジェルス」だが、会場にはローマ風の彫刻が設置されて、フランチェスコのルーツを印象づけた。
今季に目立ったのはテイラードされたルックで、ジャケットとジレが多く登場して、そこにチェーンをつけたスタイリングで、ハードに演出してみせた。バイカーのジッパーと、フィッシングベストのポケットも、キイモチーフとして繰り返し登場する。
エイリアンをプリントしたビッグTシャツなどスケーターらしいアイテムも目立つ一方で、クラシックなイタリア調プリントがシャツやワンピース、ダウンコート、あるいはレギンスにもあしらわれて,ヨーロピアンな香りを醸し出した。ストリートに、イタリアンクラシックを加味した、新しいブランドの色を覗かせた。
セルフ ポートレート(self-portrait)
ロンドンを拠点として、ハン・チョンが手がける「セルフ ポートレート」。2014年の設立以来、クリスティン・スチュアートやビヨンセらセレブの着用もあって最も急激に伸びているブランドだ。
今季は「シックでなおかつ冒険心のあるスタイルを目指した」とハンは語る。シルエットはフォーマルだが、過剰にドラマチックには転ばず、エフォートレスにエレガンスなスタイルを目指したという。
オフショルダー、ワンショルダーでセクシーさを演出し、「セルフ ポートレート」が得意とするレース使いをあちこちにあしらって、センシャルな女性像が描かれた。
ぴったりとボディに沿ったブレザー、タキシードカラーのコートドレスなど、テイラードと柔らかさの合わせ方も絶妙だ。素材もメタリックラメ、ベルベットなどのグラマラスなテキスチャーを見せ、さらにボールドカラーのギンガムチェックや水玉プリントを自在に組みあわせた。
官能性を匂いたたせながら、同時に強い女性を感じさせ、デイタイムからナイトタイムまで使えるクローズが魅力的なコレクションとなった。
クスト バルセロナ(Custo Barcelona)
「クスト バルセロナ」は、個性と独自性をセレブレートする“インスタ・グラム”と題したコレクションを、ピア59スタジオで発表した。
すべてのピースに、「クスト バルセロナ」のシグネチャーであるプリントのミックス&マッチとパッチワークが展開された。アウター類はオーバーサイズで、ジュエルやメタリックなアップリケで飾られていて、どのピースもデコラティブだ。また鮮やかなマルチカラーのファーが派手で、クストらしい。
特筆すべきは、子ども服のコレクションを打ち出す予告として、少女モデルが3人登場したことだろう。ウィメンズのクローズをそのままミニチュアにしたデザインだが、子ども服として非常にかわいらしく、ユニークだ。子ども服のコレクションは、ヨーロッパとアメリカで、次の秋冬から販売される予定だ。
取材・文:黒部エリ