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2018.10.10
“おしゃれなプラスサイズ”に商機 ウォルマートなど有力企業が続々参入
米国女性の60%以上はサイズ14以上、日本サイズでいうところの「XL」というぽっちゃりさんがたくさん存在し、今や210億ドル(約22兆3,700万円)にも及ぶビッグマーケットになっています。イメージ中心のファッション業界において、プラスサイズに取り組む企業は少なく、プラスサイズが大幅に欠如していることを以前こちらのコラムでお伝えしました。その後、少しづつですが、プラスサイズ展開に取り組む企業が出てきているようです。
プラスサイズをスタートした企業
オールドネイビーの「SIZE YES」キャンペーン
「オールドネイビー(Old Navy)」は、今年8月に「SIZE YES」キャンペーンを立ち上げ、オンラインのみで取り扱っていたプラスサイズ商品を、実店舗75店舗で販売し始めました。サイズは0~30、1X~4XLなど、全51サイズ・レングス12種類を揃えました。背の低い人や高い人、ビッグサイズの人など、すべてのサイズの女性に対応するサイズを提供。ノードストロームでは、「トップショップ」「ラグ&ボーン」「レベッカテイラー」「ナイキ」「ハロゲン」など、顧客に人気の60以上のブランド商品でビッグサイズを展開しています。
「Jクルー」は今年7月、「UNIVERSAL STANDARD」とのコラボで、XXS~5XLのサイズコレクションをスタートしました。姉妹ブランドの「メイドウェル(Madewell)」でも、デニムサイズを37まで展開。婦人服ブランドの「ロフト」でも、サイズ16~26のプラスサイズコレクションをスタートしました。さらに、プラスサイズ版のショップボップ「CoEdition」、オフプライス店の「TJマックス」や「バーリントン」に続き、ニーマンマーカスの「ラストコール」でも、サイズ14~24までのアパレルを開始。そのほか、「H&M」や「フォーエバー21」、「アバクロンビー&フィッチ」などのティーンアパレルもプラスサイズを揃えています。
ウォルマートがプラスサイズの「エロクイ(ELOQUII)」を買収
プラスサイズ市場に取り組む企業が増加する中、ウォルマートが、サイズ14~28のぽっちゃりさん向けレデイースアパレル&ファッション雑貨を扱う「エロクイ(ELOQUII)」を買収し、話題になりました。買収額は発表されていませんが、1億ドルとも伝えられています。
「エロクイ」は、2011年にリミテッドグループの傘下としてスタートした後、2年弱で閉鎖となりましたが、2014年にEコマースで再スタートを切りました。試着して購入できる、ぽっちゃりさん向けの店舗が極端に不足している中、実店舗もスタート。現在、シカゴやテキサスなどに6店舗を運営しています。
トレンドを取り入れたデザインは、スタイリッシュなファッションを求めていたぽっちゃり女性の熱烈なファンをつかんでいるようです。昨年買収した、ヴィンテージ&レトロテイストのECショップ「モドクロス」も、プラスサイズに力を入れている先駆者の1社です。こちらのメインターゲットがティーンから20代中心なのに対し、「エロクイ」は30代以上の女性向きといった印象です。
ぽっちゃり男性もターゲット
「ボノボス」のウェブサイトから
ウォルマートが昨年買収した「ボノボス」でも、ストレッチ・チノパンツやボタンダウン・シャツなど、人気商品のビッグサイズをローンチしたばかり。Tシャツで4XL、ウエスト54までに延長。サイズの大きな男性にとって、スタイリッシュなシャツやパンツというと、単にサイズが大きくなっただけで体にフィットしないことがしばしば。かといってモダンなスリムカットだと、シルエットが気になりナーバスになることが多いようです。「ボノボス」の場合、ネック部分のサイズを大きくしたり、前下がりにすることで、大柄で首の短い男性にも心地よいフィットを実現。パンツにエキストラ・ベルトループをつけたり、隠しゴムを取り付けるなど、ぽっこりお腹が出た体型でも、より快適に、見た目もスッキリするような工夫をしています。
メンズのビッグ&トールサイズは、年間4%の成長、130億ドル(約1兆4,690億円)市場と言われていますが、婦人と同様、ファッショナブルな商品が不足しています。今年の9月にスタートしたばかりですが、レギュラーサイズの商品を凌ぐ勢いで売れているそうで、今後の成長が期待されています。
プラスサイズ市場に多くの企業が参戦し始めましたが、体型にフィットした製品を提供するには、単にグレーディングしただけでは非常に難しく、各社ともテスト段階、あるいは3Dスキャンなどを利用した研究をまだまだ必要としているようです。“MADE FOR ALL”のコンセプトを掲げたユニクロでも「EXTENDED SIZES」を展開していますが、ノードストロームなどの競合店がプラスサイズ体型のマネキンやモデルを起用しているなか、通常サイズのモデルを使用しているので、アピール度が低い印象を受けます。
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