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2025.01.26
【NRF 25 vol.1】「トミー ヒルフィガー」の創設者であるトミー・ヒルフィガー氏がリテールビッグショーの基調講演に登壇

写真左から、NRFのマシュー・シェイCEO、トミーヒルフィガー
2025年1月12日から14日まで、米ニューヨークで全米小売業協会(National Retail Federation、以下NRF)による「リテール ビッグショー(以下ビッグショー)」が開催された。2日目の基調講演に、2025年に40周年を迎える「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の創設者、トミー・ヒルフィガー本人が登壇した。
トミーはNRFのマシュー・シェイCEOとともに登壇し、18歳のときに始めた小さな店からグローバルブランドへと成長した軌跡や、成功を支える哲学を語った。
前半では、「トミー ヒルフィガー」創設前の思い出について語る。「私はずっと音楽が好きでした。イギリスからアメリカに来たロックスターたちの格好良さに魅了されていました。そういった服を自分の店で売りたいと思ったのです。ニューヨークまで4時間半かけて行き、クールな服を仕入れて自分の店で販売していました。そこから ‘People’s Place’ という店名にもなったコンセプトが生まれたのです」。
また、2010年に傘下に入ったPVH社のステファン・ラーションCEOとのパートナーシップについても語った。「ステファンには明確な戦略とビジョンがあり、それに沿ってカルバン・クラインとトミー ヒルフィガーを成長させていこうとしています。2つのブランドは全く異なりますが、ほぼ同じ規模です。グローバルなライフスタイルブランドへと成長させていくというビジョンを共有しています。そのための戦略と指針があれば、目標に向かって着実に進んでいくことができます」と述べた。

写真、登壇したトミーヒルフィガー
後半では、今回のビッグショーのテーマである「ゲームチェンジャー」に相応しい姿を聴衆に示した。たとえば、現在のファッション業界のマーケティングで主流となっている「セレブマーケティング」、ファッションヒエラルキーを崩壊させた「シーナウバイナウ」などをいち早く取り入れている。しかし、これまでにいくつもの障壁を乗り越えてきたという。「障壁は機会をもたらします。課題は毎日ありますが、それをポジティブに捉えることが重要です」と語った。
年齢を重ねても挑戦し続けるトミー。彼は、自分より優れた人材を積極的に採用し、チームを強化することに注力してきたそうだ。「自分の力を最大限に発揮するためには、優れた人材を集めることが不可欠です。それによって、新しいアイデアが生まれ、ブランドが強くなります」と、謙虚さと実行力が成功の基盤であることを強調していた。
トミーはまた、2025年のNRFリテールビジョナリー賞を授与されている。
取材・文:山中健
Coutesy of NRF