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2024.09.03
「ティート トウキョウ」2025春夏コレクション 映画「胸騒ぎのシチリア」にインスパイア
岩田翔と滝澤裕史による「ティート トウキョウ(tiit tokyo)」は、2024年8月29日、国立競技場VIPラウンジで2025春夏コレクションを開催した。テーマは“Their vacations”。映画「胸騒ぎのシチリア」にインスパイアされた今シーズンは、リゾートという非日常的な場所でやがて愛憎の渦を巻き始める奇妙な人間模様、そこで交錯する静かな感情のうつろいをコレクションに落とし込んだ。
バカンスのリゾートを思わせる雰囲気の中、コレクションは、美しいボディラインを強調しながら、どこか脱ぎかけやレイヤードのようにも見えるアシンメトリーなニットとレースを用いた白いパンツでスタートした。リラックスしたガウンとブラトップ、レースのスカートをコーディネートしたスタイルや、ブラジャーやキャミソールなど、さまざまな下着のレイヤードと組み合わせた透けて光るミニスカートが登場した。レースや透ける素材に加え、同ブランドらしいスキンカラーやクロップドトップ、肌を見せるデザインを重ねることで、開放的なデザインの中にリゾート地での物語が暗示されているようだ。
レースとさまざまな素材のドッキングや、クラシックな素材を用いたデザイン。レトロなスポーツカーがプリントされたスカーフをトップスのように巻き付けたスタイリングや、スカーフを繋ぎ合わせたスカートなど、避暑地で見かけるような着こなしを意識したスタイル、マニッシュなパンツなども、レースやシアーな素材の繊細さ、女性の体の美しさや妖艶さを強調するスパイスとなっている。レースや透ける素材を使用し、リゾートウェアを思わせる開放的なムードと重さを兼ね備えたコレクション。避暑地で見た真夏の夜の夢のようなショーは、カーテン用の織機を使って作られたデザインで幕を閉じた。少女のような透明感や爽やかさ、ピュアなムードと、女性の妖艶さ、艶やかさ、体の美しさや強さが共存するデザインやスタイリングが印象に残る。
デザイナーは「開放的なバカンスのはずが、感情が次第に揺れ動く様子が生々しく、表層的でない魅力を感じました。ここ数シーズン、人間らしさやハイテクとは対照的なテーマをファッションで表現しようとしており、今回はそのムードをブランドの世界観に合わせて表現したいと思いました。あの映画は、不思議なテンションがあり、フランス映画のようなオシャレな雰囲気で進行します。恋人とバカンスに訪れた主人公が、プール付きのコテージで過ごす中、徐々にクライマックスに向かいます。事件的な展開はなく、じんわりと重さを感じさせる対比が、ファッションとしても魅力的だと感じました」とコメント。また、「やることを絞ることを意識しています。物が溢れている現代では、飽きられる怖さよりも、薄まる怖さの方が大きいと感じています」と話した。
取材・文:樋口真一
Courtesy of tiit tokyo