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2018.05.09
カギは“バリュー・利便性・補充” サブスクリプション(定期購入)・ビジネスで成長している業界
ユニリーバが1,000億円を投資して買収した「ダラーシェーブクラブ(Dollar Shave Club)」の事例に見るように、サブスクリプション(定期購入)・ビジネスは、様々な分野において、根強い人気を得ています。マッキンゼー・アンド・カンパニーの調査報告によると、サブスクリプションECは、過去5年において100%を超える成長を見せており、2016年には26億米ドル(約2,860億円/1ドル=110円)に達しています。人気のファッションやコスメ以外にも、ビールやワインなどのアルコール飲料から、キッズ&ベビー関連、ミールキット、ペットフード、ビタミン剤、ファッションや下着類、コンタクトレンズやコスメなどの常備品まで、様々なカテゴリーで見られるようになりました。
しかし難点は、新規顧客の獲得、サービスの継続、顧客をキープすることが、非常に困難なビジネスであるということです。マッキンゼー・アンド・カンパニーが5,000人を対象にした実施した調査によると、40%の人が定期購入を解約し、3分の1の人が3カ月後に解約しているのです。特に、「ブルーエプロン」に代表されるミールキット(人数分の材料とレシピをセットにしたキット)は、60~70%の人が6カ月後には解約しています。利便性を求めて定期購入をしてみたものの、口に合わなかったり、飽きたりと、全てのケースがうまくいくわけではないようです。しかし、そんな状況でも、アマゾンやウォルマートなどの大手企業が、続々参入をしています。新しくスタートしたサービスや、成功している例を挙げてみたいと思います。
ターゲットも参戦 成長するキッズのための「パーソナライズ・ショッピング・ボックス」
忙しい親たちにとって、成長著しいキッズ商品の定期購入は、サプライズと利便性を備えた絶好のサービスといえるでしょう。キッズ商品の定期購入は、サブスクリプション・ビジネスを持続させるための鍵となる「バリュー」「利便性」「補充」という3つのキーワードにマッチするということもあり、年々人気を集めています。2016年7月にスタートし、初年度で、何と20億ドル(約2,200億円)を販売したPBブランド「キャット&ジャック(Cat & Jack)」も、同様のサービスをスタートしました。
ブランド名 |
詳細 |
ターゲットのPB |
新生児~24ヶ月対象。6~7品。 |
ギャップのベビー&トドラー 「アウトフィットボックス」 (OutfitBox) |
3カ月おきに6品。 |
ギャップ |
3カ月おきに3セットのスリープウエア。 |
オールドネイビー |
3カ月おきに6品。 定期購入額:59.99ドル(100ドル相当) 送付&返品は無料 |
「キッドボックス」 (KidBox) |
新生児~14歳対象。著名ブランド6~7品。 年5回の定期購入額:98ドル 送付&返品は無料 |
「ロケッツオブオウサム」 (Rockets of Awesome) |
スタイリング費:20ドルで16~38ドル相当の商品が8品。 年4回の定期購入額:150ドル 送付&返品は無料 |
届くのが待ちきれない キッズ向け“学んで遊べる”サブスクリプションも人気上昇中
アパレル商品ではありませんが、キッズ対象の体験型のクラフトボックスも人気が上昇しています。2歳から16歳までを対象にした「(キウイ・クレート(KIWI CRATE)」は、月に19.95ドルで、年齢に合わせたアートやエンジニアプロジェクトなど、“学んで遊べる”クラフトのDIY資材が届く仕組みです。現在、「ターゲット」でも販売されており、年商は、2015年で1億ドル(約110億円)。
この企業が先駆けとなり、科学実験に特化した「ブルームーン(Blue Moon)」などが登場しました。1つの箱に2~3種類の実験アイテムとインストラクションが梱包されているのですが、6~11歳を対象に、1カ月、3カ月、6カ月、12カ月と購入期間を選ぶことができます。1カ月で25ドルですが、12カ月では、ひと月分が17.50ドルに割引きされます。
アマゾンでも昨年、「ステイム・クラブ(STEM CLUB)」をスタートしており、知育玩具として登場。日本でも「科学」と「学習」の様な教材がありましたが、昨今のキッズに向けた、よりハイクオリテイで創造性を豊かにするものが息長く支持を得ている様です。
ファミリーの一員、ペットのためのサブスクリプションが急成長
「バークボックス」には、“ニューヨーク”をテーマにしたサブスクリプション・ボックスも。
サブスクリプション・ビジネスの中でも見逃せない急成長を続けているのが、不況知らずのペット業界。米国家庭の45%が猫、56%が犬を所有、その他の種類も含めると、8,460万人がなんらかのペットを飼っており、2017年は695億ドル(約7兆6,400億円)の市場規模に拡大しています。
ミレニアル世代の82%は、ペットは家族の一員と考えており、洋服やアクセサリーを頻繁に購入しているそう。売り上げの42%はペットフードなのですが、売り上げ全体の147億ドル(約1兆6,180億円)は、洋服や首輪などのアクセサリーやギフト商品。ペット向けのサブスクリプションサービスが続々登場しています。中でも、ダントツで人気なのが、2012年にスタートした「バークボックス(Bark Box)」で、現在の会員は50万人。そのうち95%もの人がこのサービスを続けて購入しているそうです。月額21ドルで、テーマに沿ったフードやおもちゃ、洋服などが届けられます。「ペットスマート(PETSMART)」や「ペトコ(PETCO)」などの大手チェーンでも、ペットフードなどのオートシップメントサービスなどを行っていますが、「バークボックス」は、上の写真でも見られるような、ユニークな遊び心が受けているようです。
持続性が必要となるサブスクリプションのビジネスモデルは、競合の増加とともに、バリュー、利便性、補充的要素に加え、サプライズ感、経験、パーソナライズ化が重要となってきそうです。
マックスリー・コーポレーション
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