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2019.03.14
パリ・セカンドセッションのトレードショー 出展者減に歯止め掛からず
2019-20年秋冬パリファッションウイーク中に開かれたセカンドセッションのトレードショーは、「TRANOI Paris WOMEN’S(トラノイ・パリ・ウィメンズ)」「Premiere Classe(プルミエールクラス)」(WSNディベロップモン主催)「WOMAN(ウーマン)」の主要3展およびイブニングドレス系の「Vendome Luxuary(ヴァンドーム・ラグジュアリー)」で変わらなかった。ベンチマークとなる3展の合計出展者数は17年3月が1,166、18年3月が1,077、そして今年は898と大幅な落ち込みを見せた。ここへ来て急激なトレードショー離れが起こっているとも言えそうだ。
各展の概況と日本からの出展者を紹介する。
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トラノイブルス
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トラノイ(カルーゼル・デュ・ルーブル会場)
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ウーマン
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プルミエールクラス
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プルミエールクラスのポップアップストア「ジャン・ルイ」
「プレコレシーズンの比重が高まっている」との声が聞こえて久しい。だが、「パリコレの華やかさとセットで捉えられるセカンドセッションには、まだ力があるのでは」との意見も飛び交う中、今年1月のプレコレシーズンには「トラノイ」「マン/ウーマン(MAN/WOMAN)」「フーズネクスト(WHO’S NEXT)」の3展でウィメンズ・プレコレの出展者数が900を超えていることは間違いなく、「セカンドセッションの出展者数を超えた」と言えなくもない状況だ。
3展とも3月1日から始まりプルミエールクラスとトラノイは4日間。ウーマンは3日間の会期で開かれた。
トラノイは、前回同様パレ・ド・ラ・ブルスとカルーゼル・デュ・ルーブルの2会場で377ブランドが出展し、前年同期比18.4%減となった。服飾雑貨のプルミエールクラスは、前回からドレッシングという洋服のエリアを作ったが、今回は今までのアイテムごとのエリア別展示方法を改め、バッグ、シューズ、アクセサリーと服を含め、すべてのアイテムをミックスして配置した。チュイルリー公園のテント会場は相変わらずだが、その呼称がA、B、Cから、「コンコルド」「チュイルリー」「ルーブル」と西側から順に変更された。出展者数は436ブランドで前年同期比20%減、一昨年比では29.8%減と大幅に落ち込んだ。イラストレーターのジャン・ルイを起用した一般入場可能なポップアップストアもコンコルドテントで開かれた。ウーマンは、引き続きヴァンドーム広場の1会場で開き85ブランドが出展、同21.4%増となった。
3展全体の出展者数は前述の通り898ブランドで、前年同期比16.6%減、2年前と比べると23%減と8掛けの出展者数になった。
次の春夏に関しては、ウィメンズ・プレコレが6月下旬から7月初旬、ファーストセッションのフーズネクストが9月初旬、セカンドセッションが9月下旬と分散するため、単純な比較はできないが、セカンドセッション春夏の主要3展の出展者数が17年9月1094、18年9月1024と推移しており、今回のような約17%もの縮小を余儀なくされるかが焦点となりそうだ。
さて昨年の3月には「来場者が少し増えている気がする」「来場は悪くない」といった声が多く聞かれた来場者数については今回、「7掛けといった実感」「明らかに減っている」という声しか聞かれない。「いくつかのブランドとともにコレクティブショールームを開こうかと話している」といったトレードショーに対する懐疑的意見も多かった。ただし、「フランス国内や欧米は減っているが、アジアは多い」という声もあり、新興国の来場には期待が持てるようだ。
また長年出展していて、固定客を持っており、毎回のトレードショーでオーダーを受けることをルーチンとしている出展者は、それほど影響を受けておらず、安定した受注と来客があるという。新しいブランドに手を出すことに慎重になっており、「2~3回、出展実績と様子を見てから」「既存ブランドを回ることで手いっぱいで、新規を見る余裕がない」といったバイヤーの声も聞かれ、新規出展者にとっては辛抱の時期なのかもしれない。今年1月のショールームの状況を見ていても、「取引先でない限り、さらっと見て去って行ってしまう」もしくは「寄ってもくれない」といった状況が生まれていたが、これらの問題はトレードショーに限ったことではないようだ。さらに「トレードショーの時代は終わった」と厳しい意見を述べる出展者も居た。とは言え、根本的な原因はグローバルSPAの面的拡大とECの発展に伴う直販の広がりが大きい。小売店を通して卸販売する流通が劇的に減少している証でもあり、それは取りも直さずショールームビジネスをも直撃している。個展やショールームへと歩を進める手前のブランドにとって、トレードショーへの出展は出発点であり、拡販の第一歩でもあった。それが崩れつつあるものの、アジアや東欧の新興国からはデザイナーや新ブランドの出展が増え、更に品揃え専門店の来場も増えている。問題は、高止まりする出展料に見合うだけの受注が取れないことにあり、それがトレードショーに対して厳しい目を向けさせている面も否めない。出展コストと発注量の需給バランスが崩れているという点を考えても、早晩、調整局面を迎えるだろう。大手のトレードショーに代わる新しい形態のマッチングスペースの登場を期待したい。
さて、ここからは日本ブランドを一部紹介していく。
<トラノイ・パレ・ド・ラ・ブルス会場>
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「Six coup de foudre」は、米国、イスラエル、トルコ、イタリア、デンマークなどから20件を超えるオーダーが入った模様。http://www.six-clothing.com/
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「CA4LA」は、リピーターが好きだったものを強化して展示し、追加オーダーの獲得も追求するなど取引先に寄り添うスタンスに。https://www.ca4la.com/
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有松鳴海絞りの「SUZUSAN」は、ストールなど服飾雑貨からスタートしたが、コートなどの洋服も定着してきた。http://www.suzusan.com/
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「BASE MARK」はイタリア、ドイツに契約ショールームを持ち、トラノイでは新規獲得を目指す。http://www.basemark.jp/
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昨年、マレ地区に直営店を出した「DUREN」は紙に見える革バッグを展示。https://www.duren.jp/
<トラノイ・カルーゼル・デュ・ルーブル会場>
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「VLAS BLOMME」は得意のリネンを起毛させたウーリーな布帛、カットソーに当たりがあった https://vlasblomme.jp/
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ニットファクトリー・米冨繊維の「COOHEM」はノルディク柄のセーターやカシミヤの受けが良かった https://www.coohem.jp/
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佐藤繊維の「M.&KYOKO」は、継続出展でリピーターが確実に来場する仕組みを作り上げている https://www.mkyoko.com/
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プルミエールクラスに「manipuri」で出展するフラッパーズがサポートする「enrica」は、海外取引先も多い http://enrica.jp/
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糸から作り込む「FACTORY」はヤクの評価が高く、以前はアジアが多かったが、今回は欧米が多いと感じている https://factstory.jp/
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継続出展する「ma’ry’ya」は、ミラノ在住日本人ブランドで、ナチュラルなイタリア製ニット
<ウーマン>
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「F/CE」はショールームトーキョーにも出ているが、その時期はウィメンズが弱いので、ウーマンにも出展した http://fce.tools/
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「(ki:ts)」はロンドン在住日本人のレザーブランドで、継続的に出展している http://www.kits-london.com/
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自然モチーフのシルバーメインのアクセサリー「CALL MOON」は初出展で、日本ではECのみで展示会は行わず、海外から攻めるという https://call-moon.com/
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「REPRODUCTION OF FOUND」はビンテージのミリタリートレーニングシューズを復刻させたシリーズが豊富 http://eye-found.com/category/products/reproduction-of-found
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ナットソー・ハードワークカンパニーは「Ts(s)」のメンズ・ウィメンズを昨年6月のマン/ウーマンに出展させたのに引き続き、ウィメンズの「TOUJOURS」でウーマンに出展
<プルミエールクラス>
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パリは5回目の出展となる「ne Quittez pas」は、インド製のナチュラルなワンピースが人気 https://www.nequittezpas.jp
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「メゾン・エ・オブジェ」にも3回ほど出展した合同展の「LIGHTS」は親和性の高いプルミエールクラスに移して3回目の出展となり、今回は6ブランドを披露。出展ブランドは、 「ECRETTE」「Lijou」「siki」「CLAS」「Fruitsjolie」「27.Allen」 http://lightlights.com/
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「Rei Yamasaki」は2回目の出展で、植物モチーフの曲線を生かした革のバッグやアクセサリーを披露 https://www.reiyamasaki.com/
トラノイ http://www.tranoi.com/
プルミエールクラス https://www.premiere-classe.com/en
ウーマン http://manwomanshows.com/shows/woman-paris
ヴァンドーム・ラグジュアリー http://www.vendomeluxury-paris.com/
フーズネクスト http://www.whosnext-tradeshow.com/
久保 雅裕(くぼ・まさひろ)
ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。 大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。複数のメディアに執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストア、国内合同展の企画なども行い、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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