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2018.10.12

第15回のゲストはアバハウスインターナショナル取締役の原清浩さん SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」

 USEN(東京、田村公正社長)が運営する音楽情報アプリSMART USENで配信中の「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。ウェブメディア「ジュルナルクボッチ」の編集長/杉野服飾大学特任教授の久保雅裕氏が、ファッション業界で活躍するゲストを招き、普段はなかなか聞けない生の声をリスナーに届けるが、アパレルウェブでは、その模様をレポートとして一部紹介していく。第15回のゲストは、アバハウスインターナショナル取締役・商品本部統括部長、原 清浩氏。

 

 

<前略・イントロ>

 

:僕は最初、洋服というより車のデザイナーになりたかった。車好きだったので。高校入ったばかりまではそういう思いもあったけど、日本の自動車メーカーって欧米から比べれば、まだまだ下に見られている時代でもあったし。海外に行くといろんなデザイン事務所、イタリアに行けばピニンファリーナがあったり。そういう感覚で日本では仕事出来ないし、まさかね、日本人が欧米に行って仕事をなんて、まだ高校生の自分では想像もつかないじゃないですか。でも今は、結局日本人じゃないですか、引っ張っているのが。イタリアのザガートで働いたり、ピニンファリーナでフェラーリのチーフデザイナーを日本人の奥山さんがやったり、BMWでIシリーズとかをデザインしているのが永島さんだったり、錚々たる人たち、ほとんど日本人の人たちがトップレベルのメーカーの一番先駆けのデザインをやられているよね。

 

久保:想像できないですよね、そういう時代が来るのは。

 

:できない。でもだいたい僕と同じくらいの年の人たちで、やっぱり彼らは先見の明があって、俺は全くそういうのができないダメな人間だったんだって感じはすごくするけどね。(笑)

 

久保:男の子としては、洋服っていうよりむしろ車の方とか、そっちに興味が行くのは普通ですもんね。でも中学の時には、もう自分でこういう洋服が良いとかって。

 

:まあどっちも好きだったけど、いろんな意味で自分の中にそういう風な仕事ができるかもってリアルな感じがあったのが洋服の方だったのかもしれないですね。僕の頃はVANがアメリカで、JUNがヨーロピアンみたいな感じのイメージの時代ですよね。そこに、たけ先生(菊池武夫)みたいな人が出てきたばっかりっていうね。

 

久保:例えばその頃、どこへ買い物に行ってました?

 

:いやそれこそ、最初にビギがあのガレージみたいな店作ってたりしたね。たけ先生とよしえ先生がやり出した頃の店も見て回ったし。あの頃、原宿界隈なんかも静かでしたもんね。

小さいお店がぽつんぽつんとあって、そこがやっぱり面白い店で。ラフォーレができてから一気に原宿がどんどん変わっていったけど。

 

<中略・専門学校からアバハウスの前身の会社への就職>

久保:原さんの中では、今のアバハウスの焦眉の課題はありますか。

 

:今、マーケットが、どんどんシュリンクしていって、全体が縮小している中で、きちんとした価値を感じていただけるようなことをちゃんとやってけるのかっていう。大きい会社とはまたちょっと違う価値観みたいなことが、どういう風に提案していけるのかっていうことが。我々の所でも、ちょうど団塊ジュニアのアラフォーぐらいが一番マーケットの人口の中心になってきているし、欧米みたいに大人社会になってきている面もあるのでね。その中で、洋服を通して、どういう新しい価値みたいなことを作っていけるかっていうのが、一番考えていかなきゃいけない仕事なので。それと今やっていることが、そういう風になっているかどうかっていうことも、常に考えていかなきゃいけないっていう。それを考えてどうしていくかっていうのが、まぁ今自分がやらなきゃいけない一番の仕事かなって思ってますけどね。

 

久保:そういう意味でいうと、新しい価値ってデザインであったり、機能であったり、品質であったり、企画というか、その部分の仕事って結構あるんですか。

 

:ものの作り方だけじゃなくて、そこからどう見せていくかもそうだし、どう提案していくかもそうだし。

 

久保:サービスとかね。

 

:どういう風に売っていくのかもそうだし、お客さんにとって、「こういう価値が新しくない?」というのを、その商品の中にも勿論盛り込まなきゃいけないし。安心感もそうかもしれないし。

 

<中略・現場の力を活かす、現役デザイナーの頃のうるっと来るエピソード、趣味のサーフィンとクルマの話>

石田:若い方へのメッセージをいただきましょうか?

 

:若い人たちには全く新しい価値観を、ファッションを通して作っていくってことを是非考えて欲しいなあって思うし、そういうことにチャレンジしてもらいたいな。若い人というのは僕らと何が違うかって言ったら、やっぱり時間っていう資源をいっぱい持ってることじゃないですか。

 

久保:そうですね。

 

:その時間っていうのは財産なんで、その時間を使って、いろんなこと考えて、洋服を勉強してるような人たちにも、時代を感じながらいろんなもの見たり聞いたりとか。若い時って乾いたスポンジみたいに水をいくらでも吸えるじゃないですか。だから、そういう時期にやっぱり計り知れない可能性があるんでね。どこかで今自分は時間という資源も含めて持ってるんだってことをちょっと頭の片隅に置きながら、その有効な資源を使って新しい価値みたいなことを創造することを是非洋服でやってほしいな。

 

久保:時間は本当に資源ですよね。紗英ちゃんは、まだたっぷり資源があるからいいけど。

 

石田:いえいえいえ!

 

久保:僕ら、残された資源はもうほとんど無い。(笑)枯渇しちゃってる(笑)

 

:早く近くのスタンド行って給油しなきゃって感じですよね(笑)

 

久保:給油できるならしたいですけどね、残念ながらこればっかりは(笑)

 

石田:これからも引っ張って行ってくださいよ、もう~。今回のゲストはアバハウスインターナショナル取締役・商品本部統括部長、原 清浩さんでした。ありがとうございました。

詳細は、SMART USENでお聴きください。

 

▼公開情報
USENの音楽情報サイト「encore(アンコール)」
http://e.usen.com/

 

第15回のゲストはアバハウスインターナショナル取締役の原清浩さん SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」

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