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2012.06.08

米百貨店に見られるO2O

 最近自分の買い物のパターンを振り返ってみるとアメリカで暮らす様になってから、オンラインショッピングする回数が以前に比べ益々増えて来た様に思えます。私は仕事柄ニューヨークを中心にアメリカのファッションマーケットにおけるリテールやトレンド、消費者の動向などといったリサーチを行っているのですが、そこで感じるのは今の人たちのライフスタイルは以前にも増して仕事やプライベートの予定でいっぱいだということ。そうなってくるとリテールはどうするかというと当然その多忙な最近の人たちに合わせたサービス向上を意識し始めます。

 

 時間の有効化。そしてよりお得な情報を求め“オンライン”で購入する頻度が増える傾向は、アメリカのみならず日本でも言えることでしょう。そうなってくれば、オンラインショッピングでのサービスに対するお客様からの要求も必然と高くなって来ます。

 そこで日本の方にもよく知られているアメリカの百貨店、ニーマンマーカス (Nieman Marcus)ノードストロム (Nordstrom)ロード&テイラー (Lord & Taylor)ブルーミングデールズ (Bloomingdale’s)メーシーズ (Macy’s)JCペニー ( J.C. Penney)シアーズ (Sears)サックス フィフス アベニュー (Saks Fifth Avenue)バーニーズ ニューヨーク (Barneys New York)、そしてバーグドルフ グッドマン (Bergdorf Goodman)のサービスを比較してみました。

Bloomingdale’s Big Brown Bag

 調べてみるとこれらの米百貨店のうち、バーニーズニューヨーク、ロード&テイラー以外の「ニーマンマーカス」、「ノードストロム」、「サックス・フィフス・アベニュー」、「ブルーミングデールズ」、「メーシーズ」、「バーグドルフグッドマン」、「シアーズ」そして「JCペニー」はなんらかのモバイルアプリを提供していることが分かりました。

 

 最近でいえば先月ブルーミングデールズが “59th Street” iPhoneアプリ、“iCatalog” iPadアプリに続き、ストアイベント、お買い得情報、ウェディングギフトのレジストリ、商品詳細やレビューが確認出来る商品スキャン機能、bloomingdales.com上の商品検索そしてモバイルショッピング機能、そしてブルーミングデールズのクレジットカードの支払いなど、スマーフォフォンだからこそ便利なサービスを揃えたiPhone及びAndroidアプリ “Big Brown Bag”を更にリリースしました。

 

 スマートフォンの普及が広がると共にファッション業界も積極的にアプリ開発に投資。
 お客様に“いつでも” 、そして “どこでも” ストアが提供する最新のサービスを体験して頂き、売上げにつなげようと努める姿勢が伺えます。

 

 オンラインショッピングをする際に重要となってくるのがカスタマーサービス。
「ニーマンマーカス」、「ロード&テーラー」、「ノードストロム」、「サックス・フィフス・アベニュー」、そして「バーグドルフグッドマン」は分かりやすい位置にライブチャット(オンラインチャット)でもカスタマーサービスへの問い合わせが出来ることがすぐに分かりました。
 「ブルーミングデールズ」はやや分かりづらく、お買い物かご (My Brown Bag)を開いてみるとチャットのアイコンが表示され、ライブチャットサービスがあることを確認出来ました。「シアーズ」に関してはお問い合わせページ(Contact)を開かないとオンラインチャットサービスがあることが分からず、Eコマースサイトの改善が必要なのではという印象を受けました。
 因に「JCペニー」に至ってはライブチャットのサービスはないものの、毎日24時間対応の電話でのカスタマーサービスを提供しています。

 ところで皆さんはライブチャットのカスタマーサービスを利用した事がありますか? 私は最近bloomingdales.com で利用させて頂きました。
 ライブチャットで商品の細かい質問や店舗での在庫状況など確認。かなり丁寧にいろいろと調べて頂いた結果、やっぱり買おうと決めたところ最寄りのブルーミングデールズ店でその商品が取り扱われていることも分かり、そのままその商品を店舗でお取り置きしてもらいました。ライブチャット終了後、さっとお取り置きしてもらった店舗へ。空振りすることなく、時間を無駄にすることなくお買い物を済ませる事が出来ました。まさにこれこそO2O(オーツーオー : Online to Offline)化されたサービスですよね。

 この他にもO2Oという観点から「ノードストロム」や「サックス・フィフス・アベニュー」のように、オンラインで購入した物をストアに持ち込み返品が可能なサービス(※一部ストア返品除外品もあるようです)。さらに「メーシーズ」や「ブルーミングデールズ」のようにEコマースサイトの各商品ページから、その商品がどこの店舗で在庫を持っているかを検索出来る “FINT IT IN STORE” の機能など、ゆっくり買い物をしている時間がない時に事前に調べられるとても便利サービスが提供しています。
 アパレルウェブの社長でCEOの千金楽さんのブログでも書かれていましたが、スマートフォンやタブレットが普及する中、オンラインとオフラインのサービスが益々シームレスになり、互いに良い影響をもたらしあう構図がスタンダードになりつつあるようです。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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