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2013.05.17

ノードストロムの一歩行くカスタマーサービス

 この春に日本を訪れて改めて感じた日本のサービスの素晴らしさ。きめ細やかな対応に加え、日本のサービスには‘思いやり’というものが常に感じられます。このように店舗を訪れ体験するオフラインでのサービスをどのようにオンラインの世界でも近づける事が出来るのか、常にEコマースサイトの担当者等の課題だと思います。

 米国で代表される百貨店というと Bloomingdale’s(ブルーミングデールズ)、Saks Fifth Avenue(サックス・フィフス・アヴェニュー)、Lord & Taylor(ロード&テイラー)、Nordstrom(ノードストロム)、Macy’s (メイシーズ)、Nieman Marcus(ニーマンマーカス)あたりや、更にはBergdorf Goodman(バーグドルフグッドマン)、Barneys New York(バーニーズニューヨーク)なども思い浮かべると思います。

 

 ニューヨークのマンハッタンには現在、ノードストロムを除くそれら全ての百貨店のストアが存在しますが、そのノードストロムも2017年中もしくは2018年にマンハッタン初となるストアが開店する計画と言われています。
米国の百貨店では店舗で展開されているブランドやホームコレクション、アクセサリー類までフルラインナップでEコマースサイトでも購入することが可能です。 商品の入荷は基本、オフラインである「店舗(Store Only)」を中心に、ストアとオンライン共に「同時展開(In Store & Online)」や、「オンラインオンリー(Online Only, Online Exclusive)」など様々なケースで展開されます。

 

 オンラインで買い物を体験する際に一番困るのが、商品について聞きたい事がある時。以前その際は「カスタマーサービスへEメール」するという方法が取られていたかと思います。しかしオンラインストア上での顧客対応も日々進化され、現在、米国百貨店の多くでは「オンラインチャット」での問い合せ対応も選択出来るようになりました。

 

 オンラインチャットでのカスタマー対応はある意味、店舗で販売員さんと話しているような感覚。
以前冬物のコートを購入の際に‘レギュラー’の0サイズと‘ペティート’の0サイズの袖の長さや肩幅をオンラインチャットで問い合せたことがありました。その時の的確な回答に非常に満足したのを覚えています。

 この他にも積極的に「レビュー」を書いてもらえるよう促したり、買い物を予定していなくてもECサイトへ再び訪れて頂けるよう、オンラインストアページに 「ブログ」や「Webマガジン」といった読むコンテンツの形で商品の紹介をする手法はもはや定番と言って良いでしょう。

 

 そこへ百貨店の中でもノードストロムは、更に一歩行くカスタマーサービスをオンラインで実行しています。
商品に関して直ぐの問い合せにはオンラインチャットが対応してくれますが、そこまで急ぎでない場合には 「ask question」 を各商品ページに用意しています。
この’ask question’ は、顧客がその商品ページにあるリンクより気になる商品に関しての問い合せをすることが出来るサービスです。

 

 実際どの程度のサービスなのか、気になっていたkate spade New Yorkのクロスバディーのバッグについて、‘実際どのくらい物を入れられるのか’問い合せをしてみました。(商品の詳細ページを開く)。すると問い合せを投げた翌日にはノードストロムより回答がされた通知が届きました。

(*’ask question’ のリンクは通常商品名の下に用意されていますが、誰かしらが問い合せなど商品に対するディスカッションを開始すると’ask question’ から’1 question ’ など幾つの質問がその商品に対し行われているかが表示されるようになります。)

 今回はすぐにノードストロムのカスタマーサービスより回答がされましたが、もちろん他の顧客がその質問を見て回答をしてくれる場合もあるようです。

 

 途中まではEメールでの問い合せとなんら変わらない手順なのですが、それらがオンラインストア上に掲載され、他の顧客とそれらの情報を共有、共感するというところがこのサービスのポイント。ソーシャルネットワーク的な要素があるのです。
問い合せに対し、ノードストロムの販売員のエキスパートより的確な返答がもらえるのも安心ですが、同じ商品に興味を持っている他の顧客からの意見も知る事が出来るというのは買うか買わないかの大きなポイントにもなりますよね。

 

 いまいち活気がないサイト、流行らないサイトにはやはり理由があると思います。
売る場所が店舗(オフライン)であろうと、オンライン上(EC)であってもターゲットにしているお客様は同じです。
店舗のビジュアル・マーチャンダイジングをこだわる様に、オンラインストアでも同じ様に商品の見せ方や伝え方を工夫することは、お客様にはサービスの一貫として感じてもらえるはずです。

 ノードストロムの様に、オフライン、オンラインの二つの店舗環境がシームレスに感じるようなカスタマーサービスの対応を行う努力をすれば、販売する側も店舗で体験するお客様とのつながりを必ずオンラインの世界でも実感することが出来ると思います。 
店舗でお客様に声をかけていくように、ソーシャルメディアを活用して接客をしてみるのもカスタマーサービスのひとつの手ですよ!


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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