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2023.12.14

「見澄ませ、台湾ファッション」~台北から生まれるニュー・ウェイブ~

 東京から飛行機で3~4時間、手軽な海外旅行先としてお馴染みの台湾。

 グルメやスイーツがたびたび話題となるが、今ファッションにも注目が集まっていることをご存知だろうか?
今号のファッション力では、そんな台湾の首都、台北で行われた台北ファッションウィークと台北の注目すべきファッションエリアを現地取材。

 

 楽天ファッションウィーク東京に参加した台湾発のブランド「セイヴソン」「アイレンセンス」のデザイナーへのインタビューも行った。

 

 お隣のファッション事情をチェックする。

 

 

Text & photo : Masahiro KUBO 

Photo : Taipei Fashion Week 

Illustration : Hiroko Fukuchi

  • オープニングショーをヒップホップダンスで飾った「.67ARROW(ドット67アロー)」と「(A)crypsis®(アクリプシス®)」

ユースカルチャーに寄せた振興策を図る台湾
台北ファッションウィーク2024春夏

 

 

 台湾最大級のファッションイベント「台北ファッションウィーク2024春夏」が、文化部(文化庁)、経済部(経産省)、台北市などの共同主催で10月11〜17日、松山文創園区で開催された。11日には、オープニングファッションショー「青・春」が行われ、「ユースカルチャー」をテーマに6つの次世代ブランドがティーンの好む要素を解釈し、台湾のストリートファッションを世界に発信した。ウィーク中には15のブランドが参加し、4つの合同ショーを行うなど若手ブランドのインキュベート機能も果たしていた。

 

 またショー会場の並びでは12〜16日に、「ビジネスマッチメイキングトレードショー」と名付けられたバイヤー商談会も開かれた。さらには「台北ファッションウィーク・セレクトショップ」と題して11〜29日、台北SOGOデパート復興館5階でポップアップストアも開催された。

 

 会期中、海外メディアの取材に応じた文化部の王時思次長は、「比較的強い台湾の川上の背景と若いクリエイターを繋ぐことでファッション産業をより強くしていきたい」と意気込みを語った。

 

  • 王時思文化部次長

  • オープニングショーでインパクトのあるアイテムを多く見せた「JUST IN XX」(ジャスティン ダブリュー エックス)

  • 漫画と掛け合わせたアイテムが印象的な「oqLiq」(オクリク)

  • デザイナー団体の副会長を務めるベテランの「GIOIA PAN」(ジョイア パン)

  • 郊外の商業施設「NOKE」で小ぶりなランウェイを行ったロンドンでも披露している「RAY CHU」(レイ チュウ)

  • 工芸との掛け合わせを仕込んだ合同ショーで、金工の蘇小夢とコラボした「Jamie Wei Huang(ジェミーウェイフゥァン)/黃薇」

  • 様々なテキスタイルや柄を同じ型に落とし込んで見せた「WEI.TZU-YUAN」(ウェイ ツィユェン)

 

ポップアップストアやバイヤー商談会でも支援

 

 

  • ショー会場のすぐ近くで開かれた「ビジネスマッチメイキングトレードショー」に参加した韓国人と台湾人によるウィメンズブランド「URNAVY」のシンディ・ヤンさん

  • 忠孝復興駅の上にある台北SOGOデパート復興館の5階で開かれたポップアップストアには、40ブランドをラインナップ

  • 忠孝復興駅の上にある台北SOGOデパート復興館の5階で開かれたポップアップストアには、40ブランドをラインナップ

TAIWAN DESIGNERs INTERVIEW

 

 

Interview : Ewori Wada Photo : Brand official

 

 

【IRENSENSE】

デザイナー/ソウ ゲンイ
台湾彰化出身。実践大学のファッションデザイン学科を実験グループ第3位の成績で卒業。同年、NEW ORDER OF FASHIONに出展し、台湾ゴールデンピンデザイン賞にノミネート。2019年にはTOKYO NEW DESIGNER FASHION GRAND PRIXに参加し、優秀賞を受賞。2020年デザイナーブランド「IRENSENSE(アイレンセンス)」を創設。

Q.台湾ではなく東京をコレクション発表の場に選んだ理由は?
A.ブランドのスタイルが日本のファッション市場にハマると思い、ファッションウィークを皮切りに日本市場に進出したいと思いました。

 

Q.日本のマーケットや消費者意識に対して感じることは?
A.日本市場では様々なお客様が違ったスタイルを受け入れることができると思います。

 

Q.日本の消費者にアピールしたいブランドのセールスポイントは?
A.花のモチーフ、レース、ニットをたくさん使用しており、男女問わずスタイルに落とし込みやすいことです。

 

Q.東京と台湾のファッションを見比べて、何か違いを感じることはありますか?
A.東京は台湾に比べて多様なスタイルを持っており、果敢に自分だけのスタイルを演出しているように感じます。

 

Q.今後のブランドの展望など教えてください
A.ブランドが日本、全アジア、ひいては全世界に広がって私たちをもっとたくさんの人に知ってほしいです。

 

 

 

【seivson】

デザイナー/ヅゥチン シン
2年連続で台湾文化部の新興デザイナーに選出。2016年にはアジア新興デザイナートップ6に選ばれ、NYコレクション、東京コレクションでランウェイ形式の発表を行う。2017年に「Seivson(セイヴソン)」を設立し、台湾だけでなく、日本やパリ、ニューヨークなど活動の幅を広げている。

Q.台湾ではなく東京をコレクション発表の場に選んだ理由は?
A.台湾でもコレクションは発表していますが、東京はアジアファッションの中心地であり、世界の人々にセイヴソンというブランドを知ってほしく、先に東京で発表するのを目標にして頑張っています。

 

Q.日本のマーケットや消費者意識に対して感じることは?
A.少し保守的で、現実の生活を重視するリアリストの傾向があると思います。

 

Q.日本の消費者にアピールしたいブランドのセールスポイントは?
A.セイヴソンは女性の魅力を中心に様々な服のデザインを行っています。服は少しフィット感がありますが、体型を気にせず、自信を持って好きな服を着てほしいです。

 

Q.東京と台湾のファッションを見比べて、何か違いを感じることはありますか
A.台湾のファッションはまだ未熟で色々なことを勉強中です。東京のファッションは全体的に成熟、安定していて、いろいろなスタイルを試していることなどは台湾も学ぶことが多いです。

 

Q.今後のブランドの展望など教えてください
A.国際イベントへ参加することを目標に、海外に広げていきたいと思っています。

 

 

■「ファッション力 (Fashion Ryoku)」

杉野学園出版部が発行しているフリーマガジン。2008 年 6 月より、毎回パリ プレタポルテ、オートクチュール終了時を目安に年 4 回発行。
デザイナーインタビュー、コレクション報告、スナップ、座談会などを掲載している。

 

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