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2017.09.13
アマゾンに勝てるか!? 学生500万人市場を狙うTARGET(ターゲット)の戦略
ターゲットは米国内に1,800店舗以上を展開している、ディスカウントチェーンに分類される小売り店。アパレル、ファッション雑貨、電化製品、文房具、インテリア雑貨などの幅広いアイテムを扱っており、近年ではウォルマートに対抗し食料品にも力を入れているストアです。
小売業界が、ミレニアル世代やジェネレーションZの獲得を使命としているなか、競合アマゾンが先月、プライム会員の学生を対象にした「インスタントピックアップ」を米国の大学5カ所で開始しました。専用のロッカーを使用し、注文からたった2分で商品の受け取りが可能というものです。アマゾンも注目する学生市場で事業を拡大しているのが、この「ターゲット」。同社の新たな取り組みと最近の動向をレポートしたいと思います。
若年層をターゲットにしたスモールフォーマットの店舗
ターゲット社では、従来のレギュラーサイズ(平均4,200坪)の店舗と別に、若年層が多く住む都心やキャンパスにフォーカスしたスモールフォーマットの店舗を加速しています。マンハッタンのメイシーズ旗艦店と向かい合う形でヘラルドスクエアにも出店を予定しています。店舗の平均面積は、1万7,000~5万スクエアフィート(約480~1,400坪)。現在34店舗まで拡大しており、3年以内に100店舗体制とすることを目標に掲げています。小ぶりながら、生活必需品や食料品をコンパクトに揃えています。スモールフォーマットの店舗で狙うマーケットは以下の3つとなっています。
(1)アーバンセンター | 都心に住む若年層 |
(2)郊外エリア | 都心に近い街路沿いのモール |
(3)カレッジ・キャンパス | 大学生を対象にしたキャンパス内店舗 |
書籍チェーン「バーンズ&ノーブル・カレッジ」とのタイアップ戦略
全米800カ所の大学のキャンパスで、教育関連の書籍やグッズを販売する「バーンズ&ノーブル・カレッジ」とタイアップし、500万人の学生を対象に、ターゲット・カレッジ・エッセンシャル(学生の必需品)を販売することが発表されました。一部のバーンズ&ノーブルブックストアでは「Target.com」で注文した商品をピックアプできるプログラムも試験的に導入。全800店舗で可能となれば、1年の中で最も販売が期待される「Back To College」シーズンには、アマゾンのインスタントピックへの対抗策として有効なプランと言えるでしょう。
将来有望な消費者層!バジェットコンシャスな学生のライフスタイルにフィット
バーンズ&ノーブルブックストアとのタイアップや、大学近隣のスモールフォーマットの店舗はレギュラーサイズの店舗に比べスペースは限られ、キーアイテムのみにフォーカスされますが、車を所有しない多くの生徒達にとって、非常に利便性の高いサービスと言えるでしょう。シャンプーや石鹸、シーツ、食料品等、寮生活の必需品を調達できるコンビニエンスストアとしての活用が期待できます。今年7月、カリフォルニアのオレンジカウンティにオープンした店舗では、3分の1の商品がグロッサリー(食料品)で、ここではビールやワインなどのセレクションも充実しているようです。彼らは卒業後も、長期にわたり米国を支える非常に重要な消費者層として、注目されています。
ローカライズ&パーソナライズが戦略キーワードに
今年は、全米で12店舗のスモールフォーマット店舗がオープンしていますが、それぞれの地域によりローカライズされた商品を展開しています。例えば、シカゴのベルモント店では、ベースボールチーム「シカゴ・カブズ」のギアやフラッグなど試合観戦に活用できるアイテムを販売し、地元消費者に向けたパーソナライズマーケテイングが行なわれています。アーバンアウトフィッターズ社でも、地域毎のイベントに合わせた商品オファーや、SNSによるタイムリーな宣伝を活用、ローカライズ戦略が重要視されています。
「アマゾンプライム・スチューデント」は、通常会員価格の半額の49ドル。最初の6カ月は無料でトライアルできます。即日配達をはじめ、音楽やビデオ視聴など、多くの特典がつき、他者がこうしたサービスに打ち勝つには厳しい状況ですが、ターゲットも、品揃えやサービスを若年層向けへと刷新し、学生が好むストアとしてランクインしています。数年前からスタートした「カレッジ・ギフトレジストリー」では、ターゲットの商品で欲しいアイテムを登録しておくと、友人ファミリーがギフトとして購入してくれるというサービスを導入。また、エコフレンドリーな交通機関として知られる「Gatch Ride」とのタイアップで、学校近隣のストアまでの無料送迎サービスも行っているようです。ワービーパーカーやボノボスなど、利便性の高いECが好まれる中、それぞれの消費者のライフスタイルに寄り添い進化したサービスが勝敗の分け目となりそうです。
■ Barnes & Noble College http://www.bncollege.com/
■ Target https://www.target.com
■ Gatch Ride https://www.thegotchagroup.com/
マックスリー・コーポレーション
マックスリー・コーポレーション ( CHIZU NISHIDA ) ■ビジネス関連のお問い合わせ:小林まで
【公式サイト】http://www.maxrecorp.com/ |