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2019.02.12
【注目ブランドをピックアップ】国際色強めた「プレイタイム東京」 10周年迎え原点回帰へ
仏パリ発ベビー・こどもブランドの合同展示会「プレイタイム東京」2019秋冬コレクションが2月4日(月)~6日(水)、東京・恵比寿「EBiS303」で開かれ、約15カ国・地域から約70ブランドが参加したが、今回は全出展者数の約7割が海外勢となった。海外での展示会スケジュールに合わせ、通常の東京展より約2週間ほど前倒して開催。日本のディストリビューターによる出展ではなく、海外ブランドによる直接参加も多く見られた。
「インターナショナルな展示会、というプレイタイム東京のビジョンがよりクリアになった」とプレイタイム創始者セバスチャン・ド・ユッテン氏。「海外ブランドの出展が増えたのと同時に、海外で戦える日本ブランドも増えている。10周年は、プレイタイムの原点をもう一度見直す機会となった」という。次回展も従来の8月から、7月31日〜8月2日に前倒しして開催する予定だ。スケジュールや運営体制の変更の影響から、前回2018年8月展から出展者数の減少が見られるが(2018年8月展は93ブランド)、「経済状況や市場規模を考慮すれば、(今回出展した)70ブランドほどの規模が適正だと考えている」という。
プレイタイムを運営するピカフロール社は、今シーズンからキッズ・ベビーの新展示会「キッズハブ(Kids Hub)」を米ラスベガスでスタートした。クリエイティブなブランドを厳選した「プレイタイム」に比べ、より商業的なブランドを集めたビジネスショー。「プレイタイム東京」と同時期に開催したが、「大きな反響があり、いい出だしとなった」という。
加えて今夏には、「プレイタイム上海」を中国・上海で初開催する。東京に続きアジアでは2拠点目。上海展開催の理由についてユッテン氏は、「東京展は、日本国内からの来場がほとんどだが、上海展では国内外からの来場が見込める。両者は目的が異なるため棲み分けられる」と説明。初回は、45ブランドほどの参加を計画している。
10周年を記念した開いたポップアップショップ。参加ブランドによるアーカイブ商品などを販売した。
2シーズンぶりにトレンドスペースも復活(右)
【注目ブランドをピックアップ】
もこもこの可愛いぬいぐるみがパーカーに早変わり 「Cubcoats」
ふわふわと触り心地のいいパンダやキツネのぬいぐるみ。背中のチャックを開いて中を広げると、あっという間にパーカーに様変わり。米LA「Cubcoats」は、弁護士やマーケッター出身の創業者3人が2017年11月に立ち上げた新ブランド。ユニークなデザインやアイディアが評価され、2019年1月の「ピッティビンボ」の“注目すべき賞”のデザイナー部門に選出された。
対象年齢は2〜10歳。動物シリーズのほか、ディズニーキャラクターなどのライセンス商品もある。ギフト需要も高く、2018年12月のクリスマス商戦では品切れも出たため、生産体制を強化。現在は北米を中心に販売するが、アジアも加えワールドワイドに販路を広げるため、プレイタイム東京に出展した。
小売り価格は約5,000〜5,500円。今後は、2歳未満や大人向け商品の開発のほか、ダウンジャケットやダウンベストなど新商品の開発も計画している。
繊細な手刺繍で魅了 「Jupe by Jackie」のキッズ&ホームコレクションが日本初上陸
オランダ発「ジュープバイジャッキー(Jupe by Jackie)」は、インドの熟練した職人による緻密な刺繍使いが魅力。日本初上陸のキッズとホームコレクションを同展で初めて披露した。ウィメンズではコム・デ・ギャルソンとのコラボレーション実績もあり、キッズでも感度の高いショップなどでの取り扱いを期待しているという。
カットソー7,000〜8,000円。トートバッグ1万4,000〜1万8,000円。クッション3万〜8万円。
初の秋冬コレクションを発表 「the new society」
2019春夏にデビューしたスペイン発キッズウエア「ザ・ニュー・ソサエティー(the new society)」は、前回2018年8月展に続き2回目の参加となった。“タイムレスな美しさ”をコンセプトに、ポルトガル産のオーガニック素材などの自然素材を中心に使ったナチュラル&シックなコレクション。2シーズン目となる2019秋冬コレクションは、ピンクやイエローを挿し色に、ハッピーなムードを創出。キルティングのプルオーバーやインディゴデニムのボトムスなどを新たに企画したが、どのアイテム同士を組み合わせてもスタイリングできるの着回しの幅広さが同ブランドの特徴でもある。
シルクのよさを赤ちゃん と家族に 新潟・五泉市発「しろずきんちゃん」
真っ白なシルクでできた赤ちゃん用のずきん型帽子で来場者の目を引いていたの新潟・五泉市から参加したシルク織物の横正機業場。呉服や僧侶が着用する僧衣などを長年に渡り製作してきた同社だが、シルク離れが進むなか、シルクを新しく活用できる方法はないかを模索し開発したのが「白ずきんちゃん」。シルクストールブランド「絽紗」に次ぐ同社の2つ目のファクトリーブランドでもある。
シルクは吸水性が高く、赤ちゃんの敏感な肌にも優しいのが最大のポイント。繊細な光沢のある生地に、ヘリンボーンや動物の柄を施し、さり気なく可愛さをプラスした。発売前に試着してもらったモニターたちからも好評で、「よだれかけは、1枚着けるだけでフォーマルな装いに変わるので便利」という声も。ギフト需要にも対応する。
一方、高級で手入れが難しいイメージもあるシルク。手洗いの方法を伝えたり、赤ちゃんの成長後は、ストールなど新しい使い方を提案したり、リメイクを受け付けるなどして、「長く愛用してもらいたい」と同社。「商品の魅力を伝えながら、まずは国内での認知を上げていきたい」という。
帽子の小売り価格8,000円。おくるみやよだれかけなども揃える。
ワイルドな口と鋭い歯が目印 ストリートカジュアルの「Zombie Dash」
ポーランドから参加した「ゾンビ ダッシュ(zombie Dash)」は2013年デビューのカジュアルブランド。シンプルでスタイリッシュなストリートウェアにデザインされたのは、サメや恐竜のような大きな口と鋭い歯。ヒップ部分のチャックを開くと同時に口元が開く、通称“ハングリー・ワン”や、フードそのものに歯をデザインしたものなど、フォトジェニックなアイテムが並ぶ。「アクティブで、少し反逆的なムードがブランドの持ち味」という。キッズ、ウィメンズ、メンズがあり、ファミリーでお揃いコーディネートができるのも魅力の1つだ。
中心小売価格は40ユーロ。ポーランド国内で素材を調達し、すべてポーランド生産。すでにイタリアやロシア、英国、フィンランドなどポーランド以外でも取引先があり、上海や東京などアジアでの販路開拓にも積極的。スタイリッシュでユニークなデザインに、同展でも感度の高いセレクトショップなどのバイヤーから好反応を得た。
今後は10代向けのコレクションも企画したいという。
モスリンのボンネットが話題に 日本でもSNSでファン広がる 「liilu」
「最初のお客様は、日本のバイヤーだった」と話すのは、ドイツ発のキッズウェア「リルキッド」。コレクションのルック画像をSNSのインスタグラムに掲載したところ、日本のバイヤーからコンタクトがあったのだという。特に、モスリン素材の“ピクシー・ボンネット”(ずきん型のヘッドウェア)は、着用画像をSNSに掲載する人も多く、ヒット商品になっている。
ポルトガルのオーガニックコットンなど、天然の素材や染料にこだわったコレクションは、同じ素材のアイテムを色違いで揃えているため、どのアイテムを組み合わせてもスタイリングしやすいのが魅力。「シーズンをまたいでコーディネートできる“continuative(継続的)”なコレクション」にこだわっている。最新コレクションでは、コットンニットを使ったアイテムを拡充。同素材のボンネットも企画した。
日本の展示会参加は今回が初めてだが、すでに日本のファンを獲得している同ブランド。レイヤードスタイルを好む日本のファッションにも共通点を感じている。すでにメキシコやロシア、オーストラリア、韓国、中国、香港、タイなどにも取引先を抱えるが、プレイタイム東京参加を機に、日本での販路をさらに広げたいという。
モード界も注目 「チャーミーちゃん」はシルバー&ゴールドなど新作を発表
「プレイタイム東京」の常連となったソフトビニール製人形の「なかよしキャドルチャーミーちゃん(愛称:チャーミーちゃん)」。1930(昭和5)年創業の児玉産業TOYが昭和40年代から製造・販売するロングセラーだが、ヨーロッパやアジアなど海外での人気が高い。日本国内での販路開拓にも力を入れており、今回は、阪急うめだ本店との共同企画で製作したシルバー&ゴールド、紅&白のほか、新色の柿色、メロン色のチャーミーちゃんを披露した。