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2015.06.10

正当派はつまらない!新世代の最新ブライダル事情

 今月に入ってウェディング関連のニュースが多くなってきましたが、The Wedding Report社の2013年の調査によると、この年に結婚したカップルは216万4200組。ウェディングにかける平均コストは、2万5200ドル(約302万円・1ドル=120円)、平均ゲスト数127~137人。2012年から2014年にかけて13%増加しており、米国のウェディング市場は$54ビリオン(540億ドル=6兆4,800億円)と言われています。ちなみにこの数字には、$4ビリオン~8ビリオン(40億~80億ドル=4,800億~9,600億円)市場と言われるハネムーンの費用は含まれていません。平均9日間のハネムーン旅行で、平均費用は4,000ドル。現在の平均初婚年齢は、女性28歳、男性29歳、なかでもNY州は晩婚化の傾向が強いそう。世代が変わればファッションの好みも異なる、望まれるウェディングにも変化有りと、米国のブライダル市場では、どの様な状況で、どんなスタイルが望まれているのでしょうか。

Uアウトフィッターズのウェディングライン「ビーホールディン」が好調 ギフトサービスで新規顧客取り込みも

BHLDN(ビーホールディン)のピンタレストより

 アーバンアウトフィッターズ社の姉妹店「アンソロポロジー」の第一四半期、既存店の売り上げは1%の微増、スローなセールスが心配される中、唯一の明るい話題として、同社で運営しているウェディングコンセプトの「BHLDN(ビーホールディン)」が絶好調であると伝れられています。「ビーホールディン」の店舗は現在8店舗しかありませんが、専属のスタイリストとはいつでもコンタクトが可能で、一人一人の個性にあわせたヴィンテージテイストのガウンやヘッドピース、ジュエリー、シューズ等のスタイリング、ブライドメイドやお母さん達、フラワーガールのドレスまでカウンセリングしてくれるのです。

 

 もう一つ、このブランドが好まれている要因の一つに、昨年9月にローンチしたアンソロポロジーのウェディングギフト・レジストリーのオンラインサービスがあります(ギフトレジストリーとは、新郎新婦が欲しい品物を登録し、その中から友人・ゲスト達が選ぶ仕組み)。アンソロポロジーが展開する、キッチン雑貨からインテリアグッズ等、日頃から憧れているストアの商品がレジストリー出来るとあり、同社の売り上げ増にも繋がっています。意外にも、ギフトを購入するゲスト達の40%は、今までアンソロポロジーで購入した事が無いことが分かっており、新規顧客を導入する手助けにもなっています。

ビーホールディン: http://www.bhldn.com
アンソロポロジー: http://www.anthropologie.com

ブライダルでも“エフォートレス”が人気

フリーピープルの「FP EVER AFTER」より

FP EVER AFTER: http://www.freepeople.com/fp-ever-after/

 

 「ビーホールディン」が好調だと聞けば、やらない手は無いという事で、姉妹店「フリーピープル」も「FP EVER AFTER」というボヘミアンスタイルのコレクションをスタート。ビーチや山等のアウトドアで、自然と一体化したロケーションが提案されており、一風変ったエフォートレスなボーホースタイル。ベールの代わりにフラワークラウン、シルクハイヒールの代わりに裸足にビーズの付いたフットジュエリー等、自由な発想の個性派スタイル。以前から「Houghton」や「Stone fox Bride」等のインディ系のブライダルブランドが人気の中、ボヘミアンスタイルを代表するブランド「フリーピープル」が、満を持してスタート。ボヘミアンも個性の一つですが、今のファッションの傾向と同様、アウトドアでリラックスしたくつろいだイメージが好まれており、“パーソナライズ・ウェディング”は、ミレニアルズ世代を象徴する重要な要素として注目を集めています。

インディ系のブライダルブランド「Houghton」より

晩婚&ミニマル化が進む レンタル世代のウェディング

 以前「所有権を望まない世代のレンタルワールド」というコラムを書きましたが、結婚観に関しても慎重な状況が現れている様です。2014年の米国国勢調査では、18~34歳のうち結婚をしたのは33%と、2000年の46%から更に低下しています。知人の子供達を思い起こしてもまさに当てはまります。理由の一つには大学卒業後、仕事を得るにもキャリアを積むにも苦労をしてきた世代なので、家庭を作る前に出来るだけ働き稼ぎたいという事があるようです。親世代と異なり、ウェディングコストは新郎新婦でシェアする傾向が強く、新郎がウェディングプランに熱心なのも特徴的。64%のミレニアルズが親しい友人や家族等の少人数でのセレモニーを好んでいるという調査結果も。少人数の分、個性的なアイデアを取り入れ食べ物をアップグレードするのが彼ら流。会場は森や砂漠、洞窟だって彼らにとってはクールなロケーション。リセッションと共に成長した節約家でもあり、洋服よりも飲み食いにお金を使い始めた新世代ならではの傾向と言えます。

THE SAME IS LAME !(人と同じは超ダサい!)

 ユニクロとファレルがコラボした時に使われたワード。若い人達が頻繁に使う“LAME―レーム”は元々、「不自由」「不十分」という意味を持った単語ですが、スラングでは「ださい」「かっこ悪い」「独創性にかける」等の意味で使用されているようです。人と同じ事を好まず、ユニークで個性的な面白い事を好む世代ならではのキーワード。540億ドルという市場規模を見ると、ドレスに限らずジュエリー、ギフトレジストリーのアイテムから、ゲスト達が着ていく洋服、パーティグッズ、ロケーションアイデア等、様々な市場に影響を与えるビッグ市場です。それぞれのカップルのライフスタイルにあわせ、どの様にパーソナライズし、個性的なアイデアを提案するか、ウェディングプランナーだけでなくファッション業界にとっても、ビジネスを左右する大きな課題と言えるのではないでしょうか。


 

 

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