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2015.07.08
中小ブティックの“苦手分野”サポートで急成長 女性向けマーケットプレイス「ショップティックス」とは?
海外に旅行する目的はショッピングという人も多いと思いますが、急激なオンライン化が進み、ジェイクルーやアンソロポロジー等、どこにいても購入する事ができるようになりました。しかし、現地にはそんな大手チェーンや専門店ばかりではなく、現地ならではのユニークな商品を扱うブティックが、たくさんあります。今日は、そんな中小の小売店を対象にした興味深い、ニューヨークベースのスタートアップ企業「ショップティックス」のビジネスモデルを紹介したいと思います。
パリで出会った1足のシューズがきっかけに
「ショップティックス」を立ち上げたのは、17歳の時にロシアからやってきた、Olga Vidisheva(オーガ・ヴィディシーヴァ)さん、現在29歳。学生時代、日本食レストランでバイトしていた時にスカウトされモデルをしていたり、卒業後はゴールドマンサックスでアナリスト、その後ハーバード大学のビジネススクールに進んだというユニークな経歴。出張の多かったアナリスト時代にパリのブティックで購入したシューズが友人の間で話題となり、その店のサイトをグーグルで探してみたが見つからなかったという経験を元に、ハーバード2年目の時にNYの中小ブティック約800店舗を対象に調査を決行。調査の結果、オンライン化が進んでいるこの時代に、意外にもデジタル関連に関する知識に乏しくEコマースを持っていないオーナーが多い事に衝撃を受けたそうです。
1,000都市1500店舗のアイテムが手に入る エッツィ+オープンテーブル形式のマーケットプレース
ITが苦手だというオーナー達に代わり、販売ができるオンラインマーケットプレースが出来ないかとスタートしたのが、ショップ+ブティックをミックスした「SHOPTIQUES」。2012年にスタートした、女性を対象にしたEコマース。現在、米国(48州)を中心に、ロンドン、パリの3カ国、トータル1,000シティにも及ぶ中小のユニークな小売店1500店舗が集められ、それらのEコマースを一つ屋根の下にまとめたオンラインマーケットプレースだ。在庫マネージメントを行うソフトウエアと一体化しているので、商品の在庫数が購入者にも分かるシステムで、言うならば、レストランの予約サイト「オープンテーブル」と世界中のハンドメイド商品の売買ができる「エッツィ」の仕組みを応用したアイディア。
ローカルからグローバルへの橋渡し
「エッツィ」はハンドメイド商品を売買したい人達の為に構成されたプラットフォームですが、中小ブティックに特化し、Eコマースのテンプレを何種類か準備しデザインされたのが「ショップティックス」。購入者達は、NYに居ながらにして、テキサスのウエスタンレザー小物や、サンタフェのカラフルな食器、マイアミのキュートな水着や、パリで人気のブティックの洋服を購入する事ができるのです。気に入ったブティックが見つかれば、フォローして、新しく入荷した商品をいち早くチェックする事ができます。アメリカで最も利用率の高い口コミサイト「YELP」とも初めての提携をしており、ショップティックスの“SHOP NOW”ボタンが設けられました。実際に購入した人達のレビューと共に、YELPのサイトからダイレクトにショッピングが可能に。現在1000店舗がYELP内で購入する事が可能となっています。
2年で年商70倍に 「ショップティックス」 成長の理由
商品が売れると、売値の25%を手数料として徴収されており、それが主な収入源。高い手数料の様に思えますが、Eコマースの準備、宣伝費、マーケティング等を考えると理にかなっているのかもしれません。それが証拠に、2013年の年商30万ドル(約3,600万ドル)から、2014年には300万ドル(約3億6,000万ドル)、そして今年の年商は2000万ドル(約24億円)に向かい順調に売り上げを伸ばしているといいます。取り扱い店舗数は、スタート3年目に入り、半年前の2倍となる2,000店舗を突破。年内に5,000店舗を目標としているそう。成長と共に取り扱うブティックを厳選しており、申し込み社の80%は却下されています。選ばれる基準として、店舗自体もキュートで、価格帯に見合うユニークさを重視しており、クオリティの高い商品でなければならないそうです。
マンハッタン・バワリー地区のオフィスでは、取り扱いブティックの80%の商品撮影が行われている。2名のモデルを使用し、週に800点の写真撮影。各ストアのEマーケティングの為のカスタマーサービスから、ギフトパッケージや送付に必要な資材まで提供しています。
日本の地方都市にも応用できるビジネスモデル
様々なスタートアップ企業が誕生している中、意外な盲点をカバーしたこのビジネス。セレクトショップなら、ブルーミングデールズ等の店舗と同じ商品があるのではないか、このサイトで買う意味はなんなのかと考えながら調べているうちに、ユニークな店舗(商品)を厳選している事や、そういったオーナー達がデジタル知識に乏しい事がベースにありました。今回このビジネスモデルをピックアップした理由は、日本市場にも参考になると思ったからです。例えば、地方で営業しているユニークな店舗はEコマースがあるでしょうか?地方の手ぬぐい専門店に訪れた外国人が本国から買い物できるシステムはあるでしょうか?興味はあっても、セットアップ費用や宣伝費もかかるし、お金の回収や出荷等を考えると、なかなかトライできないという方が多いのではないでしょうか?デジタル知識だけでなく、英語も苦手なオーナーに代わり、英語版のオンラインマーケットプレースが実現すれば、中小小売店のビジネス拡大の手助けになるのではないでしょうか。MADE IN JAPANが注目される中、日本のユニークな商材を集めたオンラインマーケットが実現すれば、“第2のエッツィ”“第2のショップティック”として誕生するかもしれません。
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