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2018.11.15

ライザップ、19年3月期第2四半期は赤字に 通期も大幅下方修正

 ライザップグループ【2928】は14日、2019年3月期中間決算(18年4~9月期)を発表した。売上収益は1,091億500万円(前年同期比74.3%増)となったが、営業利益は88億2,900万円の赤字(前年同期49億8,700万円の黒字)、純利益は85億3,200万円の赤字(同29億3,200万円の黒字)となった。過去1年以内に買収した企業群の業績が想定を大きく下回った影響によるものとしており、通期予想も下方修正し、売上収益は前回予測より191億円下回る2,309億円、営業利益は230億円の黒字から33億円の赤字、純利益は159億の黒字から70億円の赤字とした。配当も無配に剥落した。

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 同社は2003年、健康食品の通信販売会社として設立した。その後、様々な企業買収や増資を繰り返しながら事業を拡大してきた。その中でパーソナルトレーニングジム事業が人気となり、2016年12月より持ち株会社化された。

 中間期の売上収益は7期連続の増収となったが、2018年期に買収した6社が計74.5億円の赤字を計上し、大幅な減益をもたらした。また、積極的なマーケティングや新規出店と事業拡大も費用の増加を促した。

 この状況に対して同社は構造改革方針を策定。新規M&A(買収・合併)を原則凍結し、グループ会社の経営再建を早期完遂させ、経営資源は成長事業へ集中するとしている。

 一方で、この方針は利益を押し下げる可能性がある。同社がこれまで大きな利益を計上できた理由の一つに、「負ののれん」と言われる会計手法を用いてきたことがあるからだ。同社は近年、業績が低迷し株価が純資産を下回る企業を買収してきた。この手法を行えば、純資産と株価の差額を「負ののれん」という名目で利益計上することができたが、今回の方針転換により、この手法による利益計上は難しくなる。通期予想の下方修正にも、負ののれんの見通しを修正したことも影響したとみられる。

※同社の会計は国際財務報告基準を採用していたが、これによって負ののれんは営業利益に計上することができる。

 配当に関しては業績の早期再建を優先するため、これまで純利益の20%としてきた方針を転換し、無配を決定した。

 同社は積極的な買収政策で多くの人のライフステージを向上させる総合企業になることを目指してきた。しかし、低迷した企業を再生させるためにはノウハウが不足し過ぎていたようだ。今回の経営責任を明確にするため、瀬戸健社長は今期の役員報酬を返上することも決定している。今後はメインの収益源である本業を軸とした巻き返しに期待したい。(記事:福井廉太・記事一覧を見る

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