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2018.10.04
ニトリHD アプリ起点にO2O加速、店舗の「ショールーム利用」歓迎
ニトリホールディングスでは、かねてより掲げている2022年でのグループ売上高1兆円達成に向けて、国内事業ではO2Oの推進を重要テーマに位置付けている。有店舗企業が抱える"ショールーム化問題"についても前向きに捉えており、アプリなどを通じて顧客の購買行動の変化に対応できる体制を構築する。
同社の通販事業は16年より2期連続で前年比30%前後での増収が続いており、今中間期(3~8月)についても同30・4%の増収を達成した。成長をけん引しているのは公式スマホアプリを起点とした実店舗との連携施策で、特に昨年度の上期から開始した来店客の通販利用を促す「手ぶらdeショッピング」が大きな効果を挙げている。
同機能は来店客が実店舗で展示している購入希望の商品のバーコードをスマホなどで読み込み、その場で自社通販サイトの「ニトリネット」や店頭で配送・決済手続きをすることで、商品を持ち運ぶことなくそのまま買い物が完了できるというもの。スマホのカメラで写した写真にサイズをメモできる「サイズwithメモ」といった機能も合わせて使うことで、来店客のスムーズな購入をサポートしている。
同アプリの会員数は8月20日時点で約190万人。また、今年1月~8月20日まででの手ぶらdeショッピングの利用件数は累計で1万1247件(通販購入が7771件、実店舗購入が3476件)となっている。
そのほかにも、通販購入商品の店頭受け取りサービスも順調に利用者数が伸びているようで、今年1月~8月20日では7万5782件の利用があった。
このように通販と実店舗との各種サービスの連携を高めた結果、相互送客が加速。新生活シーズンの準備に向けた同社最大の繁忙期である3月度だけで見ると、通販・実店舗の両方のサービスを何らかの形で併用した場合の商品購入金額が、今年は5年前の3月と比べて6倍以上に拡大したという。
同社の場合、フランチャイズ店舗を持たず全ての店舗が直営店であることもあり、「実店舗をショールームとして利用してもらい、その後ネットで購入してもらうことは実店舗での作業が減ることにもなり歓迎すべきこと。様々な経費の抑制にもつながる」(白井俊之社長)としている。今後もどちらでも購入しやすい環境づくりを推進していくという。
ウェブ広告でも連携を強化
そのほか、ウェブ広告についても実店舗と通販を組み合わせた顧客分析によるワントゥワンマーケティングに力を入れている。具体的にはデーターハブシステムを使い、通販サイトのログデータや購買情報、実店舗のPOS情報を一元管理。それらの情報を基に、アプリのプッシュ通知をはじめとする様々な媒体で顧客ごとにマッチングした広告を配信し、効率的な集客を図るという。
これにより、前回購入商品との組み合わせで活用できるセット商品の訴求が行える一方、通販サイトへの自然来訪客や、すでにセット商品を購入済みの顧客に対しては広告配信を停止するなど、販促の効率性を高めた。