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2018.07.12
東京都 フリマ監視強化へ、運営会社と連携し健全化に先鞭
東京都が、国に先駆けてフリーマーケットサイト等における消費者間取引の適正化に乗り出す。フリマサイトの運営会社らと連携して連絡会を設置。出品される医薬品や化粧品のパトロールを強化していく。連携した取り組みや情報共有により、運営会社が行う自主審査の質の向上や効率化も推進。出品者のコンプライアンス意識も高め、適正なフリマサイト等の利用につなげていく。
ここ数年でフリマサイトやオークションサイト、クラシファイドサイト(地域密着型のコミュニティサイト)における消費者の個人間取引は急増している。これに伴い、医薬品の無許可販売や化粧品の違反広告も増えている。
とくにフリマサイトは、出品サイクルが短く、短期間に取引が終了するため、違反の端緒が掴みづらいといった問題がある。行政のみの監視には限界もあり、運営会社と連携して迅速に対応することで効率的な監視指導、不適正な出品の未然防止につなげる。
連絡会には、フリマサイト等を運営するジモティー、StardustCommunications、メルカリ、モバオク、ヤフー、楽天の6社が参加する。6社で市場のシェアの約9割を占めるとみられる。これに厚生労働省(医薬・生活衛生局)、総務省(総合通信基盤局)、経済産業省(商務情報政策局)がオブザーバーとして参加する。隔月の定期開催を予定。今年6月末に第1回の会合を開いた。
都では、フリマサイト等を随時監視する。主に薬機法(旧薬事法)に抵触する出品について、運営会社に「削除要請」することで対応する。
また、月1回、サイトパトロールで発見した品目に関する情報を共有する。不適正な出品を繰り返す事業者や個人には、複数のフリマサイトを渡り歩き販売を続けるケースもあり、1社単独の対応に限界もある。こうした出品の傾向を運営会社間で共有することでサイトの適正化につなげる。
パトロールの主な対象は、薬機法第66条(誇大広告等)や第68条(承認前医薬品の広告の禁止)の観点から問題となる出品や広告について。同法を所管する東京都福祉保健局健康安全部薬務課の主導で行う。ただ、サイト内には、景品表示法上問題となる広告も少なくない。景表法を所管する生活文化局など連携が進むことで、健全なサイト運営につながる可能性もある。
消費者庁置き去り、連絡会設置「ニュースで知った」
都のフリマ監視
東京都がフリマサイト等の運営会社と連携して商取引の健全化を進める。だが、設置した連絡会に消費者庁は"不在"。都の取り組みも「ニュースを見て知った」(消費者政策課)という。急激に変化する市場環境に消費者庁の対応が遅れる中、事業者と連携しつつ、健全な市場環境整備に動く都の取り組みが注目される。
フリマサイト等のトラブルは急増している。国民生活センターに寄せられた2017年度の相談件数は3330件。12年度(173件)からわずか5年で20倍近く増えている。
消費者庁は昨年3月、庁内で定期開催するインターネット消費者取引連絡会で、フリマサイトをテーマに取り上げた。ただ、内容は「問題点の共有」(同)にとどまる。都が設置した連絡会に「消費者保護の観点から必要があれば前向きに参加するスタンス」とするが、「個別に(都から)話を聞いていない」という状況。フリマサイトの適正化に具体策も打ち出せていない。
東京都はこれまでもフリマサイトのパトロールを行ってきた。不適正な出品に関する情報や相談は、運営会社や自治体等から日に10件ほど寄せられる。
個人間取引であり、薬機法(旧薬事法)による取締まりにすぐつなげることは困難。ただ、「パトロールで発見しても氷山の一角。運営会社も犯罪の温床にしてはいけないとの思いもある」(福祉保健局健康安全部・河野安昭薬事監視担当課長)と、迅速に行える"削除要請"による実効性確保を重視する。市場環境の変化に応じて増えたトラブルに、事業者と連携して取り組む。
都が15年度からネット関連企業16社と行うショッピングモール等の一斉監視でも、任意に設定した検索ワードで数千サイトを抽出。注意喚起文の通達で違反表示の「7~8割が改善されている」(同)という。
フリマサイトでは、消費者が知らず知らずのうちに「シミが消えた」などと化粧品の広告をしている場合もある。店頭のテスター商品を持ち去り出品したり、個人輸入した商品を出品するケースがある。個人利用の目的で輸入した商品を販売しても「無許可輸入」「無許可販売」で薬機法違反になる。都は、パトロールを通じ、出品者のコンプライアンス意識の向上も図る。