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2018.06.28
JADMA 阿部会長が再任、「消費者の信頼」獲得図る
日本通信販売協会(=JADMA)は、オルビス顧問の阿部嘉文氏が会長に再任された。6月22日開催の定時総会で承認を得た。再任を受けたあいさつで阿部会長は、協会に対する「消費者の信頼」を入会メリットにしていくと話した。このため、新たに迎えた任期で地方の行政官庁との連携を強化し中小事業者と接点を築く。ただ、「消費者の信頼」は2016年就任時も掲げたもの。昨年には「ジャドマ倶楽部」も発足したが、加入は「一ケタ」(事務局)。協会の信頼と認知向上は険しい道のりとなりそうだ。
ジャドマ倶楽部入会「一ケタ」
協会は、発足から35年を迎えた。通販は生活になくてはならない社会インフラになりつつある。
一方、会員数は、前年比(昨年3月)15社減の462社(今年6月時点)。減少に歯止めがかからない。明確な入会メリットを打ち出せず、存在感が希薄化していることが原因だ。
再任にあたり、阿部会長は「利益誘導型の"業界団体"は社会に受け入れられなくなっている。協会の果たすべき役割を考える中、自主規制の取り組みなどで消費者の信頼を勝ち得、これを加盟各社の信頼につなげたい」と話し、新たな協会のあり方を模索する。ただ、同様の目標は前任期でも掲げていた。成果について「正直大きな成果につながっていない」とする。こうした中、今任期で地方の行政官庁との連携を強化する。
昨年は、売上高2億円未満の中小の通販実施企業支援を目的に「ジャドマ倶楽部」を発足。セミナー開催や法律相談を通じ接点を築き、将来的な入会を期待する。
3年前から東京都と連携して産直品を扱う事業者向けのセミナーや商談会も開催。開催は、静岡、熊本など地方自治体にも広がりつつある。一方、成人年齢引き下げなどを受けて自治体からの講師派遣の要請も増えており、自治体との接点は増加している。これら機会を認知向上や企業との接点に活かす。就任後の懇親会では、「地方でビジネスをするとなるとまず通販。支援を種まきに、『ジャドマ倶楽部』、入会につなげたい」と話した。来賓の消費者庁の川口康裕次長は「特商法に基づく自主規制団体として一層の努力、役割を果たしてもらいたい」とあいさつした。
定時総会で決定した新任役員は、副会長の塙雄一郎氏(三井物産)と、理事の津村昭夫氏(TBSホールディングス)。
川口次長「制度は事後チェックありき」
機能性「グラブリジン問題」
機能性表示食品に対する景品表示法に基づく調査をめぐり、消費者庁の川口康裕次長は「制度は、『事前届け出』『事後チェック』であることは各所で説明してきた。『機能性―』はない、というのは違う」と、調査が行われる可能性に言及した。「グラブリジン」を含む機能性表示食品に対する調査(本紙1659号既報)を受けたもの。日本通信販売協会の総会後の懇親会で「個別案件には答えられない」との前提に立った上で触れた。
事後チェックで明らかになった要件の不備に、健康増進法など他法令で対処する可能性には「それもそうだが、(景表法で問題視するか否かとは)別の問題」とした。
「グラブリジン問題」をめぐり、同庁表示対策課、食品表示企画課はともに「個別案件に答えることはできない」と口をつぐむ。
食品表示企画課では、一般論として届出された科学的根拠の疑義が明らかになった場合、「届出要件を満たしていないとして『撤回(もしくは変更)』を促す」とする。ただ、あくまで「撤回」の判断は、届出を行った事業者側にある。強制はできず、「指示・命令等の執行権限を持っているのは表示対策課になる」とする。「グラブリジン」をめぐる調査の経緯の詳細は不明だが、届出側の「撤回」の有無の判断が影響した可能性はあるかもしれない。
「弁明書」はすでに提出されているが、処分の判断はこれから。複数の関係筋の話を総合すると調査を受けたのは、明確に否定する1社を除く「4~5社」とされる。前号掲載までに回答が得られなかった健康食品の製造・販売を行うファインは「消費者庁から指摘を受け、『弁明の機会』があり合理的根拠を説明しているところ」と調査の事実を認めた。
ただ、調査をめぐっては行政関係者から「指導で十分」といった声があがる。制度を活用するある上場企業関係者からは「経営上、(ほかの事業に影響を与える)リスクも高く、活用をやめるべき」といった声があがっていると話す。