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2018.05.24

QVCジャパン 12 月1日から4K放送スタートへ、訴求力アップなどに期待感

 通販専門放送を行うQVCジャパンは12月1日からスタートするBSやCSを利用した超高精細映像4K・8Kの実用放送、いわゆる「新4K8K衛星放送」の放送開始に向けて急ピッチで準備を進めている。米システムインテグレーターのディバーシファイドと独自の4K対応のIPベースのシステムを作り上げつつ、本社内にある編集室と収録スタジオ、マスターコントロールを5月までに、8月までに生放送用の第1スタジオ、9月までに第2スタジオを4K放送に必要な機材・設備に切り替え、新たな機材の使い方や超高精細な映像の力を活かした訴求力の高い撮影方法の研究を進めている。

 
 新4K8K衛星放送とは現行のテレビ放送(2K)に比べ、より精細かつ高画質でなめらかな動きを実現する映像規格である「4K」や「8K」で行われる放送で現行のBSデジタル放送の上位版のような位置づけだ。同放送にはNHKや民放キー局らのほか、通販専門放送局である同社もジュピターショップチャンネル(JSC)とともに関連会社が期間放送事業者の認定を昨年1月に受けて、同放送を12月から始めることになった。
 
 QVCでは他局では新4K8K衛星放送で現行の通常番組を画像処理し4K画質にアップコンバートしたものを放送する番組も少なくないとみられる中で、「(2Kをアップコンバートした)"疑似4K映像"と"ピュア4K"は全く画質が変わってくる。より実際の"見た目"に近い映像を実現できる」(同社)とし、4K映像の撮影に対応した機材・設備に現行設備からすべて切り替え、アップコンバートではない4K映像、いわゆる「ピュア4K」にこだわった4KのHDR(明暗の差をより表現できる新映像技術)で24時間365日にわたって放送をしていく。
 
 QVCは4K放送開始で「非常にきれいな映像を活かし、より商品をリアルに映し、お客様のショッピング体験の質を向上させていきたい」(内田康幸社長=写真)とし、番組で紹介する商品を生の見た目に近い形で映し出すことによって、色味や素材感などを伝わりやすくし、訴求力が今まで以上に高まることや、商品購入後に「番組で見た商品のイメージと実物が異なる」などの理由で発生するような返品が減ったり、「番組映像がきれいだと視聴頂ける時間が長くなり、リピートが上がる」(同)可能性もあることなども期待しているようだ。
 
 また、これまで同社の通販番組が24時間365日放送できる媒体は契約するケーブルテレビ局経由や自社のCSチャンネルなどに限られていた。BSデジタル放送でも4・11・12チャンネルで毎日、数時間、放送枠を確保しているが、BSという基幹放送に専用チャンネルを確保したことで視聴者との接点が大幅に増した点も大きい。新4K8K衛星放送の視聴に必要な設備を備えた視聴者は12月以降、4K対応テレビのリモコンで「BS‐4Kボタン」を押し、12チャンネルを押すことで同社の4K放送「4K QVC」(画像=チャンネルロゴ)を視聴できるようになる。ちなみにJSCは11チャンネルとなっている。
 
 とはいえ、4K放送での収益性については「4Kにしたらモノが売れるとは考えていない。あくまで主役は商品であり、4Kにお客様がお金を払うことはない」(内田社長)とし、過大な期待はしていないよう。また、4Kの高画質を活かした番組作りについても、4K画質で撮影した同じ映像を現行のCSやBSなど向けに2K画質にダウンコンバートし放送することから、「商品のアップの多用」など4Kでは効果的と思われる4K用の演出や訴求方法にすぐに切り替えるわけにはいかない問題もある。
 
 加えて、新4K8K衛星放送の視聴には前述通り、受信機を内蔵した4K対応テレビが必要。また、NKHや民放キー局が割り当てられた周波数は既存のBSデジタル放送用アンテナで視聴可能だが、QVCやJSCらは電波の送り方を変える「BS左旋」という新方式のため、既存アンテナでは視聴できず対応アンテナが必要になるなど視聴のためのハードルは多い。
 
 QVCでは4K放送に期待感を示しつつも「相当な額を投資をした」(内田社長)という4K開始のための投資の回収および収益拡大を中長期で進めていきたい考え。
 
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