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2018.05.17
在京テレビキー局の前期TV通販売上高 ディノス・セシールが首位に、グランマルシェ、TXDは2桁増
在京テレビキー局5社が手がけるテレビ通販事業の前期(2018年3月)の業績が出そろった。前年は五輪開催の影響や番組編成上の都合などにより、各局とも通販番組の休止や目減りなどが目立ち、例年よりも放送枠が減り、売り上げが伸び悩むところも多かったが、前期は概ね各社とも順調に推移し、通販サイトとの連動強化や積極的な放送枠の確保などで2桁の増収を達成した企業もあった。各社の2018年3月期におけるテレビ通販事業の状況について見ていく。
5期続けて増収 4期連続トップに
前期に在京キー局が手がけるテレビ通販で売上高ベースでトップとなったのはディノス・セシール。総売上高である1138億3100万円(前年比1・4%減)に占める通販売上高は1065億5400万円(同1・3%減)でこのうち、テレビ通販売上高は同2・1%増の129億2200万円と5期連続で増収を維持し、4期続けてトップをキープした。
その時々の気候や商品自体のタイムリーさなどに応じてフレキシブルに番組紹介商品の入れ替えを行う施策や訴求を強めたい商品を番組での紹介前後に連動する通販サイトでプッシュしてさらに訴求を強めるウェブ連携施策などの強化、カタログ通販などを含めたディノス事業全体で横断的に展開する販促キャンペーンなどを特に前期ではテレビ通販番組でも積極的にアピールする試みを強めたことなどで視聴者を購入意欲を高め、運動器具などの美容健康関連商材やカニやうなぎなどの食品を中心に売り上げを伸ばした。
通販枠別では主力の平日午前枠「いいものプレミアム」や深夜枠の売り上げは前年並みを維持した。前期中に5回実施した通販特番は前年実績を上回ったようで全体の増収に寄与した。
金曜枠が順調、ネット受注増も寄与
グランマルシェの前期の総売上高は前年比11・7%増の140億5600万円。このうち、ラジオ通販(11億3500万円)やカタログやDMなどの紙媒体通販(8億100万円)、ネット販売(9億円)、店舗事業(8億2000万円)などその他を除いたテレビ通販(「テレビ通販」の約81億5000万円と「系列局との共同通販事業」の約19億円との合計)売上高は同12・9%増の100億5000万円(本紙推定)だったようだ。
テレビ通販は期初から刷新した主力の午前枠が堅調だった。午前枠は前年までは月~金の週5枠だったが、前期から月~木の週4枠となり、料理番組「おびゴハン!」内の1コーナー「おびマルシェ」として刷新した。通常、番組刷新は視聴習慣が定着するまで売り上げが伸び悩むことが多いが、本編の料理番組の視聴者層と通販コーナーの親和性が高かったことなどが奏功し、1曜日分の枠減少に比べて、想定よりも売り上げの落ち込みが少なかったことに加えて、期初から新設した金曜午前の30分枠「キニナル金曜日」が順調で単体で12億円の売り上げを上げるなど主力枠で失った1曜日分および前年下期からなくなった月~金の午後枠の通期の合計売上分を大きく超える売り上げを上げた。深夜枠、土曜昼枠も前年に実施した通販サイトの大幅刷新や「楽天市場」への出店効果が寄与し、ネット受注が大幅に増え、前年実績を上回った。年4回放送した特番も総じて好調で前年実績を上回った。なお、前期の売れ筋商品は「骨盤スリム3Dエアー」や「振動マシン ポルト ウルトラウェーブ」などの健康運動機器や美顔器「パーフェクトリフテンション」など商品の開発段階から同社が関わった独自性の高い商品群が売り上げを伸ばした。
枠の拡大やドライバー販売増が奏功
テレビ東京ダイレクト(TXD)の前期の売上高は前年比17・3%増の94億5400万円。このうち、自社通販売上高(同11・1%増の54億9200万円)と通販枠の販売や管理などを行う通販提携事業売上高(同27・7%増の39億3900万円)をあわせた通販関連事業売上高は同17・4%増の94億3100万円だった。
主力の午前枠「なないろ日和!」および早朝枠「ものスタ」が前年実績並みまたは上回って堅調に推移したほか、BS局を中心に地上波やCS局などでの積極的な通販枠の確保が売り上げ拡大をけん引した。レギュラー枠としては昨年7月からグループのBSジャパンで毎週月・金の週2回の早朝30分枠を、また、10月からは同じくBSジャパンで毎週金曜の午後11時半から番組内で調理器具などを販売する30分枠の料理番組、12月からは月2回、金曜の午前10時から1時間枠で「なないろ日和!」のリピート放送枠を確保した。地上波のテレビ東京でも11月から月~金の午後1時半から3分の帯枠を確保した。スポット枠もBSジャパンで様々な尺で大幅に出稿を増やしたほか、テレビ東京でも8月には土・日の早朝60分枠を2回、10月には日曜の早朝6時台の60分枠を確保するなど積極的に通販枠の拡大を進め、昨年から売れ筋の「かんたん!電気圧力鍋」や「東京西川 AiRポータブルクッション」、前期から販売を始めた振動運動器具「ドクターエアストレッチロール」や座椅子「スイッチエアープレミアム」などの売れ筋を軸に売り上げを伸ばした。また、BSジャパンと連携して同局で4月から放送を始めた30分尺のゴルフ情報番組風通販番組で販売するマルマンと組んで開発したオリジナルドライバーの売り上げが単体で2億円を超えるヒット商品となったほか、昨年10月に創刊した同社初の自社通販カタログを前期は3回発行し、1億2400万円を売り上げ、全体の増収に寄与した。
放送分数減も 主力枠が堅調に
ロッピングライフの前期の総売上高は前年比3・4%増の91億9500万円。このうち、番組グッズなどのネット販売を含めた通販売上高は同2・1%増の82億5700万円だった。
主力の平日午前枠が堅調に着地した。当該枠は前年からそれぞれ2分短縮しており、総放送分数は減っているものの、掃除用布巾「パルスイクロス」や筋肉や関節の動きをサポートする「らくらくテーピングスパッツ」「コンパクト電気圧力鍋」など前年からの売れ筋商品やアクセサリーやバッグなどファッションアイテムを軸に売り上げを伸ばし、前年実績を超える売り上げを確保した。また、深夜枠やBS枠は前年実績比でほぼ横ばいを維持した。このほか、系列局への通販支援事業やカタログ通販が好調で増収に貢献した。
中ヒット少なく主力枠が苦戦
日本テレビ放送網の前期の通販売上高は前年比3・7%減の81億2300万円だった。
おせちが例年よりも売れ行きを伸ばすなどで通販特番は前年実績を上回ったほか、出店する仮想モールでのネット販売などの売り上げは前年比で3割増と順調だったが、美容関連商品などでヒット商品は生まれたものの、売り上げを下支えする「中ヒット商品」に恵まれず、主力の平日午前枠が前年比1割減と苦戦。深夜枠も長尺枠で売れ筋ランキングや生放送など様々な番組形式を試し、一定の手ごたえを得たが、冬季五輪開催など編成上の都合で放送分数が減り、売り上げも伸び悩んだことや今年3月に放送し、好調だった2つの通販特番の売り上げの計上が今期にずれ込んだこともなどもあり前年比では微減で着地した。