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2018.01.18
本紙アンケート 送料無料は賛否分かれる、コスト上昇下でサービス継続
通販新聞社はこのほど、通販実施企業を対象に物流に関するアンケート調査を実施した。宅配便事業者の運賃値上げに動く中、配送料の無料サービスについては「継続の維持が困難」として見直すなどと回答する通販企業が比較的多かったものの、「他社との競争上必要」なため今後とも継続するとの意見も見られた。販売促進として有効な施策ともなる送料無料サービスは賛否が分かれるテーマとなっている。
アンケートは昨年12月に実施し、57社から有効回答を得た。
送料無料サービスの取り組みについては、「不定期に送料無料期間を設けている」が16社(28・1%)で最も多く、2番目が「期限を設けずに送料無料キャンペーンを継続している」で11社(19・3%)だった。以下、「原則、送料無料施策は行わない」と「定額以上の購入で無料」が各7社(12・3%)、「いつでも全品送料無料」が6社(10・5%)、「原則、送料無料施策は行わない」と「その他」が各3社(5・3%)、無回答が4社(7・0%)となった。「原則、送料無料施策を行わない」と無回答の企業との11社を除く8割に当たる46社が何らかの送料無料サービスを実施している。
多くの通販企業が取り組んできた送料無料サービスだが、そのサービスに対する意見を聞いた。「宅配便の値上げ要求があり収益で吸収できる度合いから掛け離れているため顧客負担を検討」(生活雑貨企業)、「今後は控えめに行う」(衣料品企業)、「単純に継続していくことは難しいと考える」(総合企業)、「根本的な改革が必要」(健食企業)とサービス継続が困難な状況になりつつあり見直しや中止を検討するところが多く見られる。
一方、「顧客サービスとしては必須のものと考えており、実際のコストをどのように吸収していけるかといった計画立案とともに継続したいサービスという位置付け」(総合企業)と欠かせない施策と捉えるところがある。また「店舗がないためある意味当たり前のサービス」(化粧品企業)と店舗運営コストを必要としない分、送料無料が顧客側へメリットを提示できるものとの意見もあった。同様な意見として「顧客へのサービスとしては大きな効果がある」(宝飾品企業)とする企業もあった。
コスト吸収が難しくなっている状況にありながら「中小は別途送料を徴収したいところだが、そうするとますます大手企業に顧客が集中する」(健食企業)ために送料無料を続けざるを得ない苦しい立場を吐露する企業も見られた。
通販業界全体の動きに対する意見では「送料無料サービス提供企業は減る」(健食・食品企業)と予想する企業があった。この予想を補足する意見となるものとして「配送便業界の現状が社会問題化しており、消費者もある程度の配送料負担には理解を示す風潮があり、無理なサービスは必要ないと考えている」(音楽・映像ソフト企業)とするところもあった。
ただ、「当然のサービスと考えている顧客が多く、有料化するとどれくらい売り上げに影響するか予測できずに(有料化に)踏み切れないところが多いのではないか」(健食企業)といように顧客に深く根付いているため、簡単に取りやめることも難しいサービスと捉える企業も少なくない。
なお、アンケートでは昨年1年間に宅配便事業者を変更した企業と、顧客から徴収する配送量の改定の有無も聞いた。宅配便事業者の変更については7社が変更したと回答し、変更なしも7社(無回答43社)。顧客負担額の改定は17社が実施し、37が未実施と回答した(無回答3社)。