NEWS

2019.02.28

アマゾンジャパン 5月からの全商品にポイント付与で、原資負担を出品者に強制へ、強権発動に不満の声も

 アマゾンジャパンは5月23日から同社サイトで販売する全商品に独自ポイント「Amazonポイント」を付与する試みを開始するため、同社サイトで商品を販売する「Amazonマーケットプレイス」の出品者にポイント付与の原資負担を強制する。2月20日に同社が出品者に通知した。同社では全品ポイント付与開始で一顧客あたらいの購入頻度増加を狙うとしているが、これまであくまでも任意だったポイント付与を強制化した”強権”の発動に出品者からは不満の声も出てきそうだ。

 アマゾンジャパンでは5月23日から、自社による直販商品のほか、「Amazonマーケットプレイス」で外部のネット販売事業者らが出品する商品を含め、同サイトで販売するすべての商品について、「Amazonポイント」の付与を必須化する。これまでも出品者は販促などを目的に自らの負担でポイントを付与することは可能だったがあくまで設定は任意だった。これが同日からは出品者の自己負担で最低、販売価格の1%以上の付与を必須とするという。なお、ポイントの付与率は出店者が販売商品価格の1~50%の範囲で設定でき、付与ポイントの原資はアマゾンが出店者から徴収する売上手数料などとともに徴収する。

 同社よると出品者が6月3日までに販売商品に自らポイント付与率を設定しなかった場合、未設定商品を対象に一律、ポイント付与を1%に設定するとしている。

 全商品についてポイントを1%以上、付与することで「お客様はより多くのAmazonポイントを獲得できるようになり一層、節約が可能となる。また、Amazonマーケットプレイスに出品されている全ての販売事業者様にとって、販売機会の拡大につながる」(同社)としている。

 「Amazonポイント」はポイント付与による販促策が一般化している日本の市場性を考慮してアマゾンジャパンが2007年から運用を開始した日本独自の施策で、2015年2月からはそれまでアマゾン直販商品のみに限定していたポイント付与権限を出品者にも開放し、季節性が高く短期集中で拡販したい商品や値引きが難しい商品の販売を強化したい際などに、出品者がポイントを任意で付与しアマゾン内での販促強化のツールの1つとして活用され、ある程度、機能してきたようだ。ただ、5月からは出品者の戦略や意志とは無関係にジャンルに限らず全商品に対して、ポイント付与の原資負担を強制するという強権を発動することで、出品者からの不満は高まりそう。最低で1%の原資負担とは言え、利幅の少ない商品や大きな負担になりかねない家電や電化製品などの高額品を取り扱う出品者などは注意や対策が必要となりそうだ。

 無論、競合である仮想モール各社でも出店者によるポイント原資の負担強制は行っており、今回の試みがアマゾンだけの異質な取り組みとは言えないものの、アマゾンジャパンを巡っては昨年3月にメーカーらに差額を補てんさせた疑いがあるとして独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで公正取引委員会から立ち入り検査を受け、現在、公取委は違反の認定に向けて調査を進めているとみられる。さらに現在、アマゾンなどを含めた巨大IT企業の競争環境整備に向けた検討を進めておりアマゾンのようなプラットフォーマーが取引先との契約条件を強制することで利用企業に不公正な取引を強いることがないよう政府や各省庁は指針整備による現行法の運用強化や法改正を含む検討などを進めているタイミングなだけに、この強権の発動がこうした流れにどう影響を及ぼすことになるのか。すでに公取委がこのポイント問題を巡って調査に動き出したとの報道も一部で出てきており、行方が注目されそうだ。

 

メールマガジン登録