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2019.02.07
【イーベイジャパンのジャヒョン・グ本部長に聞く 「Qoo10」の現状と今後㊦】 開発人員を増員、「越境EC」も強化項目に
前号に引き続き、仮想モールの「Qoo10」を運営するイーベイジャパンのグ・ジャヒョンマーケティング本部本部長に、今年の重点施策と日本の仮想モール市場の展望について聞いた。
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――開発体制についてのテコ入れ状況は。
「昨年は50人だが、19年は70人ほどに増える。以前の雑然としたサイトのイメージから脱皮するためにガイドラインを作ったり、メインページを刷新するなど全体的に良くなっている。以前は『ファッション』『デジタル』などカテゴリーベースの構成だったが、今は『タイムセール』『合同購入』などサービスごとになっている」
――サイト構成などはグローバルでそれぞれテイストを変えているのか。
「以前はシンガポールが本部で、日本だけでなく東南アジアや中国など一つのところで各国のプラットフォーム開発を担当しており、ローカライズが難しかった。今回は日本だけにコミットしているので、開発もローカルの顧客ニーズにあった内容が必要ということで動いている。
プラットフォームの改善は1回で終わるのではなく、最優先で継続していくもの。『コスパモール』なので『コスパ商品』を探せないプラットフォームでは意味がない。営業、マーケティング、開発が1つになって動いている」
――今年の強化項目には「越境EC」も挙げている。
「イーベイの差別化ポイントとしては各国に拠点があるので、そことのシナージーによるクロスボーダーが今年の重要な取り組みの1つになる。日本からの輸出、海外からの輸入と両方考えられる。出店者が興味あればこれから活用できるようにもなる」
――どのような日本商品に人気があるのか。
「例えば韓国で売れている輸入品は日本の食品や薬、ファッションなどがある。まだ出店者は認識されていない部分もあるが、そうした点を伝えればきっと興味を持ってくれるはず。(アジア以外にも)ヨーロッパやオーストラリアなどもあり、日本商品ではデジタルやキャラクターグッズ、楽器、バッグなどの反応が良いと聞く。中古品も扱える。
特に韓国についてはイーベイでプラットフォームをコントロールしているので色々とやりやすい。利用者層の違うサイトがあり『Gマーケット』は若い女性、『オークション』は男性中心で年齢層がやや高くなる。それぞれのターゲットに合せて展開できる」
――そのほか、顧客目線での取り組みとしては。
「決済事業者との連携という点では、オンラインをベースに今後、増やしていくことは間違いないだろう」
――日本の今後のモール市場の展望について。
「日本の経済規模は大きいがそれに比べてECのペネトレーション(浸透度合い)はまだまだ低い。EC市場の規模が小さい分、成長率が高いのかなとは思っていた。小売り業界全体の成長率である1~2%よりかは高いが、今は10%程度と聞いている。
その中で、Qoo10としては他社と競争するというよりも、我々のプレーをきちんとしていきたい。日本市場が他の国と違うのは、競争はしているが自分達が生き残るためだけの極端な施策などを打ったりはしていない。市場全体を見て、自分達ができるところをしっかり集中してやっている。Qoo10も自分達が強みとするところに特化してそれをより強くしていくという方向性で考えている」(おわり)