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2018.10.16
【2019春夏東京ファッションウィーク ハイライト1】アマゾン ファッション ウィーク東京が開幕 51ブランドが参加
「ドレスドアンドレスド」
「アマゾン ファッション ウィーク東京2019年春夏」が10月15日、スタートした。今シーズンは10月21日まで、渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズなどを主会場に行われ、初参加20ブランド、海外から参加の10ブランドを含む51ブランドが2019年春夏コレクションを発する。また、Amazon Fashion“AT TOKYO”では、アンリアレイジなどがコレクションを行う。
初日はアシンメトリーや大きな肩ラインなど80年代が目立つ。そこにエレガントな要素など、90年代のように相反する要素をプラスするなどフュージョン(融合)もポイントとなった。また、パリコレクションでも出ていたが、レトロフューチャーとは反対のハンドクラフトや身体の美しさなどもキーワードになっている。
ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)
来年10周年を迎える「ドレスドアンドレスド」は新しい「ドレスドアンドレスド」を創り出すための挑戦をスタートした。
レストランをテーマにした今回。白いジャケットとメタリックなボトムスや半透明のトレンチ、背中の開いたジャケットとアシメトリーなパンツ。スプラッシュコートは工事現場からそのままレストランでの食事に駆けつけたよう。ドレスコードへのアンチテーゼ、着る場所の意外性は80年代や今シーズンのパリメンズなどでも見られたもの。
だが、着席し、視覚をなくすことで味覚を敏感にするように目隠しをしたモデルがスローモーションのようなスピードで食事をする姿は、古典的絵画の1枚のようでもありながら、日常のバランスを崩したシュールレアリズムのような不思議なムードやSM的な怪しげな雰囲気もプラスしている。
「10年と言うことでブランドを見つめ直すことに集中した。アートのように感じていただければ」とデザイナー。これまでのイメージをはぎ取ろうと試みたコレクションだが、服作りや新しい方向性以上にデザイナーの思いや演出の方が際立ったコレクション。新しい挑戦は始まったばかりだ。
ティート トウキョウ(tiit tokyo)
「ティート トウキョウ(tiit tokyo)」は“from here”、今より少し前をテーマにしたコレクション。60年代のレトロフューチャーや80年代のアバンギャルドが注目される中で、一ひねりし、まるで未来から来た女性が2018年の今をレトロな世界として見たようなデザインを提案した。
数種類の糸から作られたオリジナルツイードのジャケットやハンドニッティングの技巧を駆使したニット。そして、デジタルプリントされたメタリックなチェック。体験や経験が共有され、価値観が均一化している今、女性が求める、手作りやクラシックなオートクチュール、リボンをアクセントにしたデザイン。
バックトゥザフューチャーのような未来ではない、ハンドクラフトによって「ティート トウキョウ」のレトロフューチャーを表現したともいえるコレクション。
ディーベック(D-VEC)
アークヒルズ カラヤン広場に滝を作りコレクションを発表した「ディーベック」。水面に映し出される波紋の情景を表現した。
2017年春夏にブランドをスタートし、極限のフィールドで培われた技術力を都会のアクティビティに進化させている同ブランド。スポーツウエアや波のような柄や加工、水の青。ボーダーなども水のよう。
水や海からの発想は60年代のレトロフューチャーとは反対の、自然や生命の根源的な流れとして2019年春夏パリコレクションでもよく見かけたもの。だが、波紋柄はハイテク素材の最新素材とともに、波の柄や日本の庭など、日本を象徴する柄でもある。
ジャポニズムに陥らない、海外の求めるハイテクと伝統の柄がリアルクローズに昇華されたコレクション。
(左から)ショーに登場したモデルの富永愛、俳優の井之脇海
イン(IHNN)
初めてのショー形式の発表となった「イン」はスキンカラーからインスパイアされたコレクションを見せた。
ショーはマーチングバンドの演奏からスタート。スキンカラーや透ける素材とブルー、グリーン、レッドなどのカラフルな色。ハイテクや60年代風のムードの服がスキンカラーや透ける素材で生まれ変わり、ニットも女性の身体の美しさを強調する。また、屋外の会場に雨が降るという状況やアクセントカラーとの対比なども、結果的に透ける素材の服や着る女性のつややかさなどを演出しているようにも見える。「スキンから発想した」と印致聖。
アオイ ワナカ(AOI WANAKA)
「アオイ ワナカ」は、青虫のさなぎが羽化して蝶に生まれ変わるということを意味する「菜虫化蝶」という言葉から感じる春を表現した。
絞りの技術でさなぎの幼虫のような雰囲気を出したシルクのドレスや羽化するように脱ぎかけたワンピース、80年代を思わせる、広い肩のトップスは羽のようなレースや透ける素材、刺しゅう、カットワークなど繊細な素材や技術を駆使したアイテムを組み合わせる。
ニットも肩を強調する。トレンドである80年代のパワフルさや働く女性の力強さにエレガンスやフェミニン、ドレスの要素を融合させたデザイン。トレンドとメッセージのバランスがとれた、ストリートファッションの首都と呼ばれる東京とは一線を画するコレクション。
デザイナー碧和中は「さなぎから羽化して蝶になるように、自分のブランドが始まる、これから羽ばたくという思いを込めた」と話した。
アカリ ミヤヅ(AKARI MIYAZU)
宮津明理がデザインする「アカリ ミヤヅ」。アシメトリーな白のドレープドレスやインナー風のドレス、着物風とクチュール風の融合、ギリシャ風のドレープと身体の線を強調したデザインが共存するドレス。「輪廻がテーマ。女性のエネルギーとしなやかさを表現しました。ブランドの知名度を上げ、上海などでも発表したい」とデザイナー。
スコロクト(SKOLOCT)
Amazon Fashion “AT TOKYO”の「スコロクト」は、コレクションやインスタレーションではなく、作品とTシャツを販売した。今シーズンはコレクションの新しい表現を模索するブランドも目立つが、これも新しい表現のひとつといえるかもしれない。
取材・文:樋口真一
撮影:土屋航(DRESSEDUNDRESSED、tiit tokyo、IHN、AOI WANAKA、AKARI MIYAZU)樋口真一(SKOLOCT、D-VEC)