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2025.08.09

大阪・関西万博のイタリア館でイタリアファッションのトークイベントが開催 イタリアと日本のさらなる文化交流に期待

イタリア館の多目的ホールで開催 Photo by apparel-web.com 

 

 2025年8月7日、「2025年日本国際博覧会(以下大阪・関西万博)」のイタリア館内で、“Made in Italy:永遠のインスピレーション ― 現代デザインから製品保護まで”をテーマにしたイタリアファッションにかかわるトークイベントが開催された。

 

 同イベントは、イタリア外務国際協力省が主催する「イタリア・ファッション・デイズ・イン・ザ・ワールド」の一環として行われた。「イタリア・ファッション・デイズ・イン・ザ・ワールド」は、イタリアファッションに関わる展示を世界中の様々な都市で展開していく移動型イベントで、イタリア発製品の海外生産を促進し、6万社以上の企業と50万人以上の従事者を擁するイタリアファッション業界における企業の国際化を支援すること、および主要ターゲット市場における新たなビジネスコンタクトの創出を目的としている。

 

写真左から、サルバトーレ・パイアーノ(Salvatore Paiano)氏、住吉聡氏、チジアノ・グアルディーニ(Tiziano Guardini)氏  Photo by apparel-web.com 

 

 トークイベントにはイタリアのファッションデザイナー、チジアノ・グアルディーニ(Tiziano Guardini)、八木通商株式会社の代表取締役副社長、住吉聡氏、そして在北京イタリア大使館財務警察のサルバトーレ・パイアーノ(Salvatore Paiano)が登場。チジアノは文化としてのファッションを、住吉氏は経済的観点からのファッションと八木通商株式会社が築いてきたイタリアと日本のファッションの歴史、そしてサルバトーレは、模倣品からブランドを守る立場としていかにして文化遺産を守るか、というそれぞれの視点から見たファッションの世界について語った。

 

 サステナブルファッション推進者を称える「グリーンカーペット・ファッションアワード(The Green Carpet Fashion Awards)」を受賞したこともあるチジアノは、その芸術的なファッションアイテムがいかに自然との共存を大切にしながら紡がれているかにフォーカス。イタリアの伝統的な職人技を継承しながら革新的なデザインで独自の世界観を築いているが、そのアート性の裏側には多くの自然へのリスペクトが詰め込まれている。例えばシルク素材についても、蚕を生きたまま茹でる工程をスキップする「アヒンサーシルク(アヒンサーは仏教用語で不殺生の意味)」を使用しているとのこと。また、松の樹皮や枝を素材として使うなど、自然にインスピレーションを得た作品も多く制作している。

 

 チジアノは、「人と人のコミュニケーションもとても幸せなものだが、同じくらい自然と共感することも大切。ファッションでは環境に良くない加工などをすることがあるが、それを避けて加工したデニムを作ったりもした。自然に介入せず、自然な流れに沿ったものづくりをすることでセンシティブな作品ができる。とても多くの物が消費される時代だが、時と共に価値が落ちる服ではなく、時の流れと共にさらに価値を増していく服を作っていきたい」と話した。

 

 トークイベントの中では、イタリアのファッション業界において日本マーケットはアジアの中でも引き続き重要視されていると語られた。しかしミラノファッションウィークなどは日本でも話題になるが、ファストファッションの台頭や円安の影響もあり、将来的にイタリアファッションの強みである「上質で本質的なものづくり」への関心が減少してしまう懸念もあるという。そんな中で、今世界中から注目されているこの大阪・関西万博でイベントを開催することによって二国間の更なる関係強化と活発な文化的交流が期待される。

 

EXPO 2025 大阪・関西万博公式サイト

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