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2018.06.24
ヴァージル・アブローによる「ルイ・ヴィトン」がメンズコレクション発表 ダイバーシティーを表現
今年3月、突然の発表で大きな話題となったヴァージル・アブローのルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)アーティスティック・ディレクター就任。ラグジュアリーストリートの鬼才が、伝統あるラグジュアリーブランドとどう向き合うのか、世界中から注目を集めたファーストコレクションとなった。ランウェイショーに先駆けて、ルイ・ヴィトン公式インスタグラムでバッグなど一部アイテムを先行公開するなど、ショー本番に向けてボルテージを上げていく。
6月21日(パリ・現地時間)、晴天に恵まれたパリ1区のパレ・ロワイヤルでショーは開催された。序盤で登場したのはブランドの新たな章の幕開けを、真っさらな気持ちで祝うかのような全身真っ白なスタイル。それが17体も続く。もちろんアイテムはそれぞれまったく別のもの。フォーマルなセットアップもルーズシルエットのボトムスとラウンドカラーのシャツで着崩したり、メッシュのTシャツやPVCのアウター、ドローストリングパンツ、そして立体的なポケットが付いたシャツやベストなど、ヴァージルらしいストリート感が表現されている。その後登場したアイテムも、カラーやパターンはのせられるものの、ヴァージル得意の“やりすぎない”ウィットに富んだシルエットや遊び心で、上品なストリートを紡ぎあげていた。
ネオンカラーのチェーンがついたモノグラムのバッグ、カラフルなPVCやホログラムのバッグ、モスグリーンのペイントがされたミンクの白いリュックなど、同ブランドのコアアイテムにもヴァージルの個性をのせた。
ヴァージルが会場で配った語録を読み解くと、彼はこのコレクションに多様性を訴えたのではないか。そのキーは、オズの魔法使いのヒロイン、ドロシーのフォトプリントだ(写真下右)。ドロシーは、仲間たちと一緒に様々な困難に打ち勝つ。仲間になるのは、ドロシーと同じ人間ではない。しかし、自分と違う多種多様な仲間だからこそ打ち勝ったのだ。今は成功しているヴァージルも、黒人ということで辛いことが沢山あったという。しかし、様々な人を巻き込み困難を打ち勝ってきた。自身の半生をドロシーに重ねたのであろう。このことは、レインボーカラーを使用した演出、多様な人種のモデルを採用、オールフロントロウというフラットなシーティング、数百人も及ぶ社員の招待というショーの形式からも読み取れる。
最後に登場したヴァージルが、フロントロウでショーを見守っていた親友のカニエ・ウェストと涙を流しながら熱い抱擁をしたのも、最強の仲間との絆を感じさせるエピソードだ。ファッションの歴史に新たな1ページを刻むショーであった。
取材・文:山中健、アパレルウェブ編集部
来場したセレブリティーたち
画像:LOUIS VUITTON/Saskia Lawaks(来場者スナップでの岩田剛典氏画像:LOUIS VUITTON/Shoichi Kajino)