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2018.03.24

【2018秋冬東京ファッションウィーク5日目】2年ぶりにショーを行ったミスター・ジェントルマン シアタープロダクツ、ハナエモリ、ハイク、ミントデザインズ、ネイバーフッドなど目玉が出揃う

 2018年3月23日、2018秋冬アマゾン ファッション ウィーク東京(以下、AFWT)5日目。シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)、ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscri)、ハイク(HYKE)がミントデザインズ(mintdesigns)ら東京ファッションウィークの目玉が出揃った。ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)が2年ぶりにショーを行い5日目のラストを飾った。また、Amazon Fashion主催のイベント「AT TOKYO」ではネイバーフッド(NEIGHBORHOOD)がイベントを開催。ドイツのバンド「アタリ・ティーンエイジ・ライオット(Atari Teenage Riot)」を招きライブイベントを行った。

 

 

シアター プロダクツ(THEATRE PRODUCTS)

 シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)が掲げたテーマは「オム(HOMME)」。フランス語で男性を意味するワードだ。

 そして、実際ランウェイに現れたのは、全員がメンズモデル。ウィメンズのピースをメンズモデルに着せているのか、メンズラインを新設したのか、それともジェンダーフリーな提案なのか・・・。ゲストたちが混乱して見ながらショーは終了。正解は、女性が着られるメンズウェアだ。メンズの永遠のアイテムである、スーツやユニフォームやワークをシアタープロダクツなりに提案。コック、ファイヤーマン、メッセンジャーなど働く男たちの服をウィメンズに転換した。

 よく見れば、ジャケットの肩や襟のあたりがソフトだ。そして、シアタープロダクツらしい、キュートさやユーモアも随所に見られる。たとえばティアードスカートのヘムを巻きつけたようなニットトップス、「東京牛」という文字をあしらった牛のイラスト、重ね持ちしたかのようなデザインのバッグ、ピンクのブローチで留められた白のダブルブレストスーツなど・・。シアタープロダクツらしい、ギミックに満ちたショーであった。

「シアター プロダクツ」2018秋冬コレクション

ハナエモリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscri)

 今シーズンのテーマは、「Reminiscence」。回想を意味するこの言葉は、アイルランドのトリニティー・カレッジ図書館から想起されたという。このテーマに沿って、会場の正面には図書館の書架、古い床を摸したランウェイを設置した。

 コレクションの前半は、アンティックベージュのストーリー。押し花をイメージしたジャガード、チェックやペイズリーなどのトラディショナルな柄などをレイヤードさせた、ソフトコンシャスなルックが続く。着こなしで目をひくのが、ファブリックづかい。ストールを肩から垂らしたり、ブランケットをパネルに巻いたり、コートを腰に巻いたり…。パターンとパターンを重ねる様は、ブリティッシュスタイルのインテリアのようだ。

 コレクションの後半になると、バーガンディーレッドのストーリーに移行する。すべてのルックが、ワンカラーやトーンオーントーン。パターンとパターンを重ねてその妙を楽しむ前半と異なり、デザイン性の高いディテールで魅せた。花弁のようなドレープや、大きなボタンをアシンメトリーにあしらったり、ペイズリーやレースらをはめ込んだり、クチュールブランドとしての職人技と天津憂氏のモダンな感性が際立つ。フィナーレは、ランウェイがバーガンディーレッドに染まったかのよう。ラストには、いつもダークでシャープな装いの天津氏が、バーガーンディーのスーツで現れてゲストに挨拶。ショーを締めくくった。

「ハナエモリマニュスクリ」2018秋冬コレクション

ハイク(HYKE)

 東京ファッションウィークの目玉の一つとなったハイク(HYKE)。今シーズンのインスピーレションソースは、“MILITARY CLOTHING”だ。ミリタリーを、今の空気に沿って新解釈し、デザインを描くというアプローチは、同ブランドの得意とするところ。今回はエレガンスやリュクスさをまとっているのが特徴だ。

 そのキーは、エコ素材も含めたファーやムートンたち。ファーストルックでPコートの袖にボリュームたっぷりに使用したり、変形MA-1のフード部分につけ胸周りで見せたり、ムートンジャケットを裏返したかのようなインサイドアウトサイドデザインを取り入れたり…。

 ミリタリーでは、防寒のために使用されているファーやムートンにエレガンスやリュクさを与えているのは、その質感とともに、ルックの精緻さだ。例えば、ボレロのようにMA-1を羽織ったその下にはロングジレ状のアイテムを合わせているのであるが、まるでドッキングしているかのようにバランスが見事。また、トグルボタンをアシンメトリーにつけられたミドルフ丈のダッフルコートは、トロみのあるスカートとパンツをレイヤードさせた。

 ますます進化し、研ぎ澄まされていくハイクの世界を実感できるショーであった。

「ハイク」2018秋冬コレクション

ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)

 4シーズンぶりにランウェイショーを行ったミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)は、今シーズンのコレクションを「No Talk In The Test House」と題し、”会話のない実験室”で作られた、デザイナーの二人が考える今現在のベーシックを表現した。

 ベースとなるのは、テーラードジャケット、シャツ、パーカー、スタジャン、ダウン、チェスターコート、そしてトレンチコートなど定番のアイテムだが、そこに”レイヤード風”や”ツギハギ”などの要素でミスター・ジェントルマン流の”違和感”を加えていく。特徴的なのは前身ごろと後ろ身ごろのギャップ。一見レイヤードされているように見えるダウンやシャツ、スタジャンは、前から見ると重ね着、後ろ姿はストームシールドのようなディテールになっているし、前から見るとクリーンなシャツは、後ろは大きく開いていてウエストがガウンのように紐で縛られている。そして、ノーカラーの普通のトレンチコートだと思いきや後ろ姿はジャケットになっていたりと、ベーシックアイテムがミスター・ジェントルマンの実験室の中でどんどんと化学反応を起こしていく。パンツのウエスト部分だけを切り離したようなベルトや、ポケットがたくさんつけられたアームウォーマーなど、小物にも遊び心を盛り込んだ。

 研究熱心でナードな男性像を描いた今シーズンのミスター・ジェントルマン。今後はアパレル以外の音楽レーベルやイベントなど、多面的に様々なアプローチをしていくプロジェクト”WAVE”を展開予定だということで、そちらにも注目が集まる。

「ミスター・ジェントルマン」2018秋冬コレクション

ミントデザインズ(mintdesigns)

 ミントデザインズ(mintdesigns)は、青山の「フレッドペリー ショップ 東京」にてランウェイショーを開催した。テーマは”Miss Gatsby”。「華麗なるギャッツビー」を現代女性に置き換えて、贅沢に装うことを楽しむグラマラスでチャーミングな女性を表現したのだという。

 今シーズンの特徴は自由な発想で装いを変化させられるということ。スリーブが取り外せて、違うアイテムと組み合わせたり、様々な箇所につけられたジップやボタンを開けることによってシルエットの変化をつけられたりと、ドラマチックな着こなしが楽しめる。印象的なニュースプリントは、100年も前のカタログなどの印刷物からインスピレーションを得て作られた。そしてそのプリントを用いたキルティングアイテムはリバーシブルになっていて、こちらも気分に合わせた着こなしができる。

 カラーパレットは柔らかいパープルやピンク、グレー、優しいイエローにグリーン、そして深みを加える強いレッド。女性的なカラーで、インディペンデントでありながらもカジュアルにもファッションを楽しめるチャーミングな女性像を描き出した。

「ミントデザインズ」2018秋冬コレクション

文:山中健、山根由実
撮影:土屋航

 

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